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【初めてのホヤ貝】

今回、仙台にやって来たのは、孫娘の〈お宮参り〉と〈お喰い初め〉の行事を行うためであった。この春の娘婿君の転勤で、娘夫婦が仙台に引っ越したのだ。

仙台での初日の夜は〈牛タン焼肉 利久 泉店〉という店で牛タンを食べることになった。

東京からいらしている娘婿君の御両親と、娘夫婦と孫娘、そして我々夫婦という顔ぶれの、実に賑やかなうたげである。

乾杯のあとに運ばれてきたのが、仙台名物の〈食べくらべ:牛タンの炭火焼き〉である。大皿に、塩焼きや味噌ダレ焼きなど、数種類の牛タンの炭火焼きが盛り付けられている。なんだか本場仙台の牛タンは、そのどれもが分厚いのだ。早速、口に運んでみたが、適度な歯応えがあって実に美味い。

ところで、先ほど皆んなで乾杯はしたのだけれども、実は娘婿君はミニバンの運転手をしてくれているのでノンアルコールビールを飲んでいる。だから彼には申し訳ないとは思いつつ、厚かましくも生ビールのお代わりをしたに後にハイボールまで頼む僕なのであった。

そして次々に出てくる〈仙台牛のタタキ〉や〈牛タンサラダ〉などの料理を堪能した。

牛タンの街なんだからサラダが牛タンなのは充分に頷ける話である。ところがメニューのご飯物のページを見ていてチョッと驚いたのである。

〈牛タン巻き寿司〉

そうかぁ~仙台は巻き寿司まで牛タンなんだぁ・・

壁には色々なメニューが書かれていて、魚介類も充実しているようであった。

のどぐろ・初鰹・ヤリイカ・牡蠣、そしてホヤ貝の文字が目に入ってきた。そう言えば仙台は牡蠣の名産地でもあったのだ。そしてなんと言っても珍しいのがホヤ貝である。

話題がホヤの話になった。僕がホヤを未だ食べたことがないというと、娘婿君が〈ホヤの刺身〉を注文してくれた。

  やがて運ばれてきた〈ホヤ〉は、クラッシャーアイスを敷き詰めた大きめの皿の上に品良く盛り付けられている。氷の上には本山葵ほんわさびと生姜、醤油猪口にはポン酢醤油っぽいものが入っている。

ひと切れを箸で摘まんで山葵ポン酢で食べてみた・・・・

「・・・んん~~~美味い❗️こりゃ美味いなぁ❗️」

初めて食べた〈ホヤ〉の刺身。新鮮なので臭みなし❗️味の喩えようがないのだが・・強いて言えば、磯の香りがする、シャリッとした、柔らかい貝のような食感の刺身、といったところだろうか・・

〈美味い❗️〉

本当に美味いのだが、仙台の〈ホヤ〉は青森とか岩手の漁港から運ぶらしいので、青森とか岩手の漁港近くに行くと、更に獲れ立てが食べられるという。

ところで〈ホヤ〉を食べながら、〈ホヤ〉の横に飾りつけてある皮が気になっていた。それは茶色くなっていて中は空洞だ。

「この〈ホヤ〉の皮、キン●マの脱け殻みたいだなぁ」

思わずそう言いそうになったのだが、今日は東京から来られた娘婿君の御両親の前である。喉まで出掛かったその言葉を〈ホヤ〉と一緒にグッと飲み込む僕なのであった。


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