組織図でリーダーシップを発揮する
こんにちは、GCRMの岸本です。
皆さんは組織図について、どのようなイメージをお持ちですか。
現在の組織を単に図にしたもの、会社内での上下関係を示すもの、企業秘密の一種、あるいは会社のホームページに概略が載っているもの、などが考えられるでしょうか。
大事だけど技術や顧客情報ほどではない。何よりも企業活動のある部分を切り取った、「静的」なイメージ・・・がついて回るという感じです。
組織図をリーダーシップ発揮の原点に
私が人事責任者としてサポートした経営者の中で2人、組織図を非常に活用した方がいました。組織図をリーダーシップ発揮の原点にしていました。
ひとり目は、私が関連会社に出向していた時の社長です。緻密なマネジメントを行う方で、いつも組織図を手元において眺めていました。400名ぐらいの会社でしたが、顧客接点の最前線にあり、人的資本がすべてでした。本社からの期待を超える成果を生み出すために、どのように人を組み合わせるか、組織のどこを強化するか、どのような訓練を施すのが効果的かを、組織図を見ながら考えていました。
もうひとりは、アメリカのハイテク会社の日本法人社長です。この方は、他社を凌ぐ技術をどう生み出すかを常に考えていました。技術開発のための組織強化、開発から量産への技術移転、そして人材開発のために、非常に詳細な組織図を持ち活用していました。
この方との仕事で記憶に残っていることのひとつに、組織のスパン・オブ・コントロールの適正化があります。「スパン・オブ・コントロール(Span of Control)」とは、マネージャ1人が直接管理できる部下の人数のことです。最大7人~8人までが目安と言われています。スパン・オブ・コントロールを適正化することで、迅速な意思決定や情報伝達を図ったり、不要な組織階層をなくしたりすることができます。
このプロジェクトを始める以前は、1人のマネージャに15人以上がレポートしていたり、マネージャ1人に部下が1人だけという組織もありました。日々の業務を回す必要性から、一足飛びに組織変更できなかったため、1年半程度をかけてスパン・オブ・コントロールを4人~7人にした覚えがあります。
ふたりの経営者に共通するのは、企業目的の達成のために、組織図をダイナミックに活用していることです。
組織図から見えてくるもの
GCRM でコンサルティングを行った中小企業の社長も、会社の組織図を作成し手に入れた時に、非常に喜んでいました。そこから、現行ビジネスの持続的発展や、将来ビジネスへのアプローチが、組織・人という形を伴って見えてきたからです。そして社員に組織図を発表した時に、社員からは「何を仕事で求められているのか」「誰からの指示で動けばよいのか」が分かりやすくなったと、好評をもって受け止められたということです。
上記の例のように、組織図を整えアクティブに活用することで戦略的人材配置、組織の効率化、責任・役割の明確化といった、様々な効果が期待できることが分かります。
一度組織図を「攻め」の経営ツールに使ってみてはどうでしょう。