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10分以内で書く、ビジネスでも通用する英文メール (1)

こんにちは。GCRMパートナーズの杉山です。
 
GCRMパートナーズは、グローバルコミュニケーションに関連する研修を提供しています。今回は、そのコンテンツの1つである英文メールの書き方に関連する記事を書いていきます。

世の中には、英文メールに関する沢山の書物があり、またネット上で検索しても、メールの書き方について沢山の情報を得ることができます。ただし、本当に急いで英文メールを送らなければいけない、または、返信しなければいけないときに、それらをゆっくり見ている時間はありません。今回の記事では、タイトルの通り10分以内で、誰でもビジネスに通用する英文メールを書くことができるようになるためのコツをまとめます。
 
かつて、各種の翻訳ソフトがなかった時代や、まだ翻訳ソフトが十分に機能していなかった時代がありました。当時、英語初心者または中級レベルだった私にとって、英文メールを書くことは少し気の重い仕事の1つでした。日本語のメールなら数分で返信できるような内容でも、同じ内容が英文になるとその何倍も時間がかかり、仕事の効率が落ちることが、非常に時間の無駄のように感じられました。
 
しかし、ここ数年で翻訳ソフトの精度が向上し、さらに ChatGPT のような AI を誰もが無料で利用できるようになったことで、英文メールのやり取りの負担が大幅に軽減され、日本語のメールを書くのとほぼ同じ時間で対応できるようになったと感じます。
 
この記事では、ビジネス上で受け取った英文メールに返信する、または、自分が英文メールを送る際に、相手に失礼にあたらないレベルのビジネスメールを、最小の労力と最短の所要時間で書くためのコツを書いていきます。

届いた英文メールを確認する

受け取った英文ビジネスメールに返信する際には、まずそのメールの内容を正確に理解することが最も重要です。
「英文の理解は問題ない」、という方は、英語のままでメールを読んでいただければよいですが、「英文の理解にも時間がかかる」、という方は、まずここでも翻訳ソフトを活用することができます。翻訳文がざっくりとした不完全な日本文であったとしても、英文を読み解くよりは、よほど短時間で理解でき、読み間違いによる誤解も防ぐことができます。
 
受け取ったメールの内容が理解できたら、私は、その返信内容をまず日本語で考え、日本語で書いてしまいます。(この手順は、自分から英文メールを送る場合にも使えます。)

メールの冒頭は決まり文句で

次に、その日本語で考えたメール文を英文メールに変えていくわけですが、英文メールの冒頭には、まず相手のお名前を記載します。日本のメールの、「XXXX様」と同じことです。
“Hello, Mr./Ms. XXXX”
 
続いて、よく日本語のメールで冒頭に書く
「いつもお世話になっております。XX社の田中です。」は、英文メールでは、基本的には不要です。
 
初めてその方にメールを送る場合を除き、誰から来たメールかは、メールの差出人を見ればわかるので、あえて再度名乗ることはしません。
 
「いつもお世話になっております。」は、日本独特の商習慣です。本来は書く必要はありませんが、英文メールでも、どうしても冒頭のあいさつを書きたい場合に便利な決まり文句は、
“Hope this finds you well.”
です。
意味としては、「お元気ですか?」程度の軽い挨拶ですが、誰にでも違和感なく受け入れられるので、私は重宝しています。このあたりまでは1分もかからずに書けますし、必要であれば、テンプレートとして、予めメーラーに用意しておくことも可能です。

メールの本文は翻訳ソフト、またはAIにおまかせ

次に、メールの本文ですが、これは日本語で用意したメール文を翻訳ソフト、または、AI を使って丸ごと翻訳します。
翻訳ソフトの場合は、モードは設定できませんが、AI の場合は、「ビジネスメールに適した文章で」や、「少しカジュアルな書き方で」など、英文のモードの設定も可能です。
 
翻訳ソフトや AI を使うことで非常に助かるのが、多くの日本人が苦手とするであろう
-3人称単数の動詞 s のつけ忘れがない
-つけるべき適切な前置詞を選んでくれる(at なのか on なのか、など)
-冠詞もつけてくれる(a なのか、the なのか、はたまたつける必要がないのか)
-適切な動詞と、その時制を選んでくれる
-適切な言い回しを選んで使ってくれる
などを、ソフトやAIに任せてしまえることです。そのおかげで、私たちはメールの内容そのものやロジックの構築に専念することができます。
 
もちろん、ソフトや AI が出してきた翻訳を、そのまま100%信用することはできないので、自分の意図した内容と合っているかどうかを確認する必要はありますが、ゼロから英文メールを書く労力に比較すれば、かなり効率の良い作業になります。
 
翻訳ソフトや AI の使い方のコツ、また翻訳ツールのインプットとして使う日本文そのものの書き方の工夫、さらに、翻訳後の文章の確認事項にもさまざまな考慮点がありますが、それらについては次の記事で補足します。

メールの〆言葉も決まり文句で

上記までで、冒頭の挨拶から本文まで、ほぼ、日本語のメールを返信することと、そこまで所要時間が変わらずに英文メールの準備ができます。
 
では、最後に、英文メールの〆言葉はどうすればよいでしょうか?
日本語のメールでは、
「それでは、今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。」
などの決まり文句を書くところですが、このような曖昧な文章は、英文メールでは不要です。
 
ビジネスメールとして失礼にならない〆言葉の決まり文句としては、
“Thank you very much.  (あるいは Thank you very much in advance. )
Best regards,
Taro Yamada”
で十分です。
 
“Best regards” の代わりに、”Best” や ”Cheers”、または ”Many thanks” などを使う人もいますが、相手との関係性が安定する前には、私は、あまりカジュアルな言い回しは使わないようにしています。特に、ビジネスメールであれば、ある程度の丁寧度合いを担保しておく方が安全だと感じます。
 
この〆の言い回しもメーラーのテンプレートに入れておけば、つまり、本文のみを日本語で用意し、翻訳ツールを使って翻訳し、その英文を自分で確認後、メールにコピー/ペーストすれば英文メールが完成します。
 
メールのグローバルスタンダートは、一般的に24時間以内の返信と言われているように、グローバルコミュニケーションでは、適切なタイミングでのやり取りは重要なポイントです。延々と考えて、完璧なメールを用意している間に時期を逸するくらいであれば、上記のように使えるツールを駆使してでも、タイムリーなコミュニケーションを取るほうが効果的なケースもあるでしょう。

私たちがすべきことは?

翻訳ツールや AI を使ったとしても、そのメールの内容については、最終的には差出人の責任となります。ツールはあくまでメールの下書きを書いてくれるもの程度に認識し、その内容、丁寧さの度合いなどは、送信前に、必ず自分で確認する必要があります。
今後、このようなツール類がより性能を向上することを想定すると、これからは、自分でゼロから英文を書く力より、コンテクストに合わせて、英文の適切さを判断できるスキルの方が重要になってくるのかもしれません。
 
また、英文メールをやり取りしていると、英語ネイティブから送られてくる英文メールが、非常によいお手本になります。洗練された言い回し、上手な文章の書き方、相手を思いやるナイスなフレーズなどは、どんどん真似させていただきましょう。
 

この『 10分以内で書く、ビジネスでも通用する英文メール (1) 』は、まず、10分以内で書ける最低限のビジネス英文メールについて説明しました。次の『 10分以内で書く、ビジネスでも通用する英文メール (2) 』の記事では、今回書ききれなかった細かい考慮点やコツをご紹介します。