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境界線を越えて part6

ソラが大きな扉に手をかけると、静かな機械音とともにゆっくりと開かれた。中から現れたのは、驚くほど広大なホール。天井は見えないほど高く、無数の星々が輝くように点在していた。ホールの中心には、巨大なクリスタルが宙に浮かび、淡い光を放っていた。まるで時間そのものが結晶化したかのように、クリスタルの中には無数の瞬間が詰め込まれているように見えた。

「これが未来都市の秘密?」ソラは呟いた。目の前に広がる光景は、まるで夢の中にいるようだった。

突然、クリスタルから無数の映像が浮かび上がり、周囲に映し出された。過去、現在、未来、さまざまな時間軸の出来事が入り乱れ、時空が交差する様子を描いていた。ある映像では、古代文明が栄え、また別の映像では、未来の技術が人々の生活を変えている。すべての瞬間がこのクリスタルに集約されているかのようだった。

「ここにすべての時間の記録があるのか…」ソラは驚きに満ちた目でその光景を見つめた。

女性が再び現れ、優雅に歩み寄ってきた。「このクリスタルは、未来と過去を繋ぐ橋。私たちが今どんな選択をするかによって、未来が形作られるの。あなたはこの力を使って、未来に何を創り出したい?」

ソラはしばらく考えた。未来の運命を左右する選択を、今この場でしなければならないというプレッシャーは大きかった。しかし、彼女は決して逃げない。むしろ、無限の可能性を前に、心は高揚していた。

「私は、未来の旅人であり続けたい。時空を越え、人々が繋がる世界を創りたい。すべての場所、すべての時代が一つに繋がる、そんな未来を。」

女性は頷き、笑顔を浮かべた。「その願いは、このクリスタルに宿り、未来を変える力となるわ。」

ソラはクリスタルに手を伸ばした。触れた瞬間、眩しい光がホール全体を包み込み、彼女の意識が一瞬遠のいた。気がつくと、再び未来都市の大通りに立っていた。しかし、何かが変わっていた。周囲の人々が彼女に微笑みかけ、言葉がなくても通じ合っている感覚があった。まるで、すべてが繋がっている世界がそこにあった。

「これが、私が選んだ未来…」

ソラは満足そうに空を見上げた。彼女の旅は終わることなく、これからも続いていく。未来も、過去も、すべてが一つに繋がった新しい世界の中で。

「さあ、次はどこへ行こう?」

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