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平成16年 保育園ママは既存の母親像を破壊するパンクな戦士だった 

平成16年4月、息子が10ケ月で、都心の区立保育園の0歳児保育に入園した際、同じクラスには20代のママが一人もいませんでした。時短取得の人もいませんでした。(息子はポイント獲得のために、8ケ月から私立保育園にお世話になっていて、既にここで2件目の保育園でした)。

ママの内訳は、従業員の生活が懸かっている会社経営者自営業(病院経営、飲食店経営等)の方、私のような外資系勤務勢(ジョブ型なので、育児優先にすることは解雇に直結)、救急病院のエッセンシャルワーカーの方等、時短を取るという選択がないママばかりでした。

裏を返せば、当時は一般的な日本企業では、まだまだ育休を取得する女性は少なかったということだと思います。

所謂、下方婚をしていてパパが3号保険者のママ、社会にでてから大学院に戻ったママ(含む私)等、当時の日本女性としては筋金入りのアウトローの集団。

既存のステロタイプな母親像、いや女性像を破壊してみせる!というパンクでアナーキー?なママの集団でした。私たちは社会通念と戦う「戦友」いや「同志」だったのです。

このママ達(パパや場合によってはお祖母ちゃんも)は、毎週末誰かが幹事となって、BBQをしたり、お祭りにいったり、プールにいったりと集まっていました。休日出勤にいくママの子を預かったり、おさがりを回したり、と昭和の子育てカルチャーもまだ残っていました。習い事をさせられないので、皆で1日ずつ半日休暇をとって、1日ずつ3人まとめてスイミングの3日間の夏季講習に連れて行ったことは、良い思い出です。

私は既に上のお子さんがいるママに
「どうしたら、熱ださなくなるかな?」ときいたことがあります。
すると、医療関係者のそのママは
「○○公園のじゃぶじゃぶ池に毎週末連れて行って、泥んこになって雑菌まみれになっていると、耐性ができるよ!あと、掃除とかしないで不潔にするのもいいよ!手とかあまり洗わないほうがいいよ!

初めての育児にナーバスになっていた私は、このブラックジョークとも自虐ネタともいえるママの助言にどんなに救われたことでしょうか。エンパワーメント。当時はそんな言葉も流行っていませんでしたが、私はこの保育園ママ友集団に「エンパワー」してもらいました。

時は流れ。令和。保育園ママは、今やアウトローではなく主流派に。私の住んでいる区の保育園の数もここ20年で4倍ほどに増加しています。もはや、保育園ママも我が道をいく変人集団ではなく、真面目なフツーの女性が大半なのではないか、と思います。

今のワーママにとって「母親が働くこと」は、勝ち取るものではなく、政府から押し付けられたこと。「制度があるのに働かないのはもったいないから」働いている人も多いのでしょう。今は専業主婦を貫くほうが、よほど勇気のいることなのかもしれません。

noteで現役ワーママの投稿を読んでいたら、以前より政府の支援は進んでいるはずなのに、ママ達の悲壮感が増しているように感じます。

「道を切り開いている」という高揚感も無い。
地域で皆で子育てするという感覚も無い。

その一方で

ママが自らに課す育児のレベルが高い(昭和の大雑把な育児ではない)
ワーママの情報も増えて、他人の育児が気になる

これは大変なプレッシャーだと思います。

何とかできることがあれば助けてあげたい、と思いますが、私たち世代は
母親でも、男と同じように働けることを証明してしまった」忌み嫌われる世代。「あの人たちのせいで、母親も働くことがフツーになってしまった」と恨まれている私たちに、そんな資格は無いでしょう。

道を切り開いていたつもりが、後進はその道を望んでいなかった
何とも虚しいことですが、人生そんなものかもしれません。













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