見出し画像

雇用均等法初期の女子総合職面接は「不適切にもほどがあった」

私は、昭和62年の夏(例のドラマの舞台の1年後)、施行されたばかりの男女雇用機会均等法に則り、大手金融機関の女性総合職の採用面接を受けました。それは、こんなでした。

人事部「あなたは、一生結婚も出産もできないんですよ?いいんですね?」
私「はい、構いません(キリッ)」
ここで、少しでも怯んだ態度を見せたら、即不採用。
共働きが推奨されている今では考えられませんが、当時は「女性が仕事を続ける」=「結婚できない」でした。 勿論、この質問は女子限定。男性は、家庭も仕事も両立できるが、女性はできない。これが、当時の社会通念だったのです。

女性だけがこの質問を受ける事が腑に落ちない、と思いつつ、面接で議論しても不採用になるだけなので、私は「はい」と答えて、結果採用されました。

ところで、「結婚しないで、仕事に注力します」と表明した女子が、数年後に結婚した場合、会社側は実際にどうしたのでしょうか?
「結婚相手との同居が困難な勤務地への人事異動」という必殺技で、実質的に退職に追い込んだりしたのです。
社内結婚で子供を出産したとたん、夫の方を海外転勤。妻がワンオペで育児と仕事を頑張ったあげく、過労で大病を患ったケースも。
人数的にはたくさんいた一般職女性も、こんなのばかり目のあたりにしたら、総合職に転換しようという気にもならなかったでしょう。
2000年代くらいまでの多くの日系企業は、このような方法で女性管理職候補者の芽を摘んでいたのです。

最近になって「女性管理職比率30%目標に対し、候補となる年次の女性がいない」とかいってるけど、そりゃそうだ。ちゃんと背景があるのに、このあたりの黒歴史はなかったことになってますね。

面接の話に戻ると、最近になって就活コンサルの人が、
「採用面接での茶番につきあえるのも、営業力のうち」
と話しているのをきいて、ああ、あの質問にはそういう意味があったのか?と妙に腑に落ちました。
実際に「結婚できませんよ?いいの?」と言われ、悩んでしまうほどナイーブでは営業はできないよ、ということだったんでしょう。

時代は令和。
今の若い男性が結婚相手に求めるものは経済力。結婚しても正社員で仕事を続け、仕事復帰する女性が人気。
1987年 「女性が仕事を続ける」=「結婚できない」
2024年 「女性が仕事を続ける」=「結婚できる」

あれれ、いつの間にか逆になっちゃった。この価値観が逆転したのは、いつ頃なんでしょう?そして、それはなぜ?単に経済が停滞しているから?
このあたりの研究をしてる社会学者がいたら、ぜひ分析結果を教えてもらいたいものです。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?