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銭湯と僕④

大学院生時代に銭湯が身近にある生活を経験した僕は、就職活動を行い東京都内の会社に就職することになった。

「あなた、大学に残るつもりはない?それか研究所で働かない?」
就職活動をしている時に教授にそう声をかけられた。
「凄く嬉しいですありがとうございます。でも、ここまでずっと研究をやってきました。研究だけではなくきちんと外の世界を見ておきたいと思っています。」
「わかったわ。ちゃんとそこまで考えているのね。それなら就職活動をしっかり頑張ってください。」

言葉として記録をすると簡単に言っているように見えるけど、実際は凄く悩んで何度も銭湯の湯船に浸かりながら頭を抱えた。
銭湯でいくら気分を紛らわしても、決断は自分自身でしないといけない。
悩みに悩んで結論を出した時、僕は銭湯にいた。
「人生何があるか分からんから、色々経験しとくのがええんだよ」
そんな風に、お爺さんが高校生くらいの男の子に話していることが聞こえてなぜか僕も決心した。
『研究からは一回離れて企業での就職活動をしよう』
この決断が結果的に僕と銭湯をさらに近づけることなった。

紆余曲折があったけれども、何とか就職が決まった。
1人暮らしをしていたが実家から通えるところであったため、実家に戻ることになった。そのまま一人暮らしをすることも出来たけどお金の問題もあるから結局実家に帰ることにした。
「結局帰ってくることにしたのね」
母が苦笑いをしていた。
「うん。帰るよ。しばらくは実家でお金貯める」
「それが良いわね。」

そうやって実家に帰ったら、実家は引っ越しをしていたみたいで元々知っていた所ではなかった。けれども、その実家の引っ越した先の近くにスーパー銭湯があった。結構有名なスーパー銭湯だけれども価格は800円くらい。
当時の僕の趣味はせいぜいアニメを見たり漫画を読んだりするくらいでお金をそんなに無駄使いしなかったし、元々入浴が好きで既に銭湯と再会してる僕がスーパー銭湯に行かない訳がなかった。

毎週土曜日と日曜日は昼間からそのスーパー銭湯に行くようになった。
『あ~~温泉もあるしリクライニングあるし、何度も入浴できるし最高だな~~~』
『そういえば、サウナって入ったことないな。入ってみるか』
この時にサウナに入ったけれども、全然気持ち良くなかった。
僕がサウナが好きだなって言えるようになるのはもう少し先のお話。

週末にスーパー銭湯に行く生活が半年くらい続くと、今度は他のスーパー銭湯を回るようになった。僕が住んでいたのは埼玉県。そして、埼玉県と言えば実は沢山スーパー銭湯がある。街中にある銭湯はかなり少なくなってしまっているけども・・・・。

週末に県内外のあちこちのスーパー銭湯に行くようになった。
同年代の友達はせっせと会社の人とゴルフ行ったり、彼女を作ってデートしたりしている中、僕は一人で黙々とスーパー銭湯に行きまくった。
この頃はまだ銭湯関係でTwitterはやっていなかったので本当に1人で行っていた。
この時に行ったスーパー銭湯の中だと、テルマー湯・百観音温泉・白寿の湯・清河寺温泉・花咲の湯等が凄く良くって結構何度もリピートしてた。

結局実家には1年半くらいいて、ある程度お金も貯まり1人暮らしをできる目途が立ったので一人暮らしを始めた。
この一人暮らしの開始こそがスーパー銭湯ではなく、街中の銭湯に本格的にのめり込み、SNSも銭湯関係の投稿が多くなっていく。

ここから、僕の生活はまさに銭湯中心になって銭湯やサウナ関係の友達が出来たりサウナにも本格的にハマったりするようになる。

次は街中の銭湯と僕の中で色々と影響を与えてくれた出会いについて記録をしていきたいと思う。


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