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銭湯と僕⑥

荒川区に引っ越しして、帝国湯に行ってから僕はますます銭湯にのめり込むようになった。のめり込むというよりも、僕の生活の一部の中に銭湯というものが入ってきたという方が正しいかもしれない。

元来、僕は物事をマイナス思考に考えがちで人が外から見ている以上に疲弊していることが多い。外側から見ると、温厚で真面目でそれでいてそこそこストレス耐性があるように見えるみたいだけど、全然そんなことはない。
毎日会社帰りの電車の中で、一日の事を反芻して失敗したことばかりがリフレインしてしまい、常にネガティブな方向へ引っ張られていた。

そんなときはとりあえずリフレッシュするのが一番で、銭湯に通う前の僕のリフレッシュ方法はとにかく食べて寝ることだった。そこに、銭湯が加わったことでよりリフレッシュできるようになった。昔なんかのアニメで「お風呂は心の洗濯よ♡」みたいなセリフがあったと思うけど、まさにその通りだと思う。先に言っておくと、僕は別に銭湯が日常に入ってきたおかげで救われたとかそんな大層なことはない。でも、凄くリフレッシュできる方法が見つかったなぁとは思っている。

「なんかさ、銭湯行ってるんだったらブログでも書いてみれば?」
「え?ブログ?」
友達と焼肉を食しているときにそんな話が出た。
この友達は長い事ブログとか書いてて、正直しつこいくらいにブログやればって勧めてきててちょっとうんざりしていたんだけどこの時は僕が食いついた。
「その発想は全くなかった」
「せっかくあちこち行ってるんだったら書いた方が良いよ、絶対に。」
友達は力強く僕に言ったので、僕もやる気になって「うおーー!ブログ書くぞ!」って気持ちになった。そこからできたのが、「アラサーの銭湯日記」。このブログをやり始めたのをきっかけにして僕はTwitterも基本銭湯関係の人をフォローしたりするようになった。

その間にも、僕は色々な銭湯に行っていた。
仕事帰りに、「寄り道しちゃえ!」って向かったのは蓮沼にある「はすぬま温泉(@hasunumaonsen)」。外観が凄くお洒落で、内装はまさに大正ロマンという銭湯。そして、屋号の通り温泉に入れるという銭湯。僕はこの頃まだ銭湯に通い始めたばっかりだったから、都内の普通の銭湯で温泉に入れるなんて知らなくって凄く驚いたと同時に嬉しかったことを覚えている。
「こんな身近なところでも温泉に入れるんだ!!」
「これなら別に温泉旅行なんて行かなくても良いじゃん!!」
そんなことを僕は思った。

行った銭湯の感想をブログにしたためて、Twitterにアップする。
それを繰り返しているうちに、少しずつだけど同じく銭湯あるいはサウナが好きな人達と繋がることが多くなってきた。もちろん実際に会うのは人見知りの僕にはハードルが高いから会ったりはしなかったけど繋がりが増えていくことは凄く楽しかった。

そんな中で、一歩前進してみようと僕の中で切っ掛けになる出来事があった。僕はその日、『金春湯』という銭湯に行こうと思っていたけれども金春湯という屋号は一つだけではなくて電車に乗っているときに「あれ・・・・どっちの金春湯行こうとしたんだっけ?」ってなりました。それをTwitterで呟いたところ、大崎の金春湯さんがリプライを送ってくれました。実際に僕が行こうとしていたのも大崎の金春湯(@kompal_osaki)だったけど、その日は残念ながらお休みですということと、銀座にも金春湯があるよっていうことを教えてくれました。(余談ですが、この当時はお休みの日を調べたりしないで銭湯に行っていました)

この出来事が僕の中では一つの切っ掛けになっている。
Twitterを通してだけれども、銭湯の中の人とお話が出来たという事もあって、実際に銭湯に行った際に挨拶だけでなく少しだけ番台のご主人や女将さんとも話をしてみようって思うようになった。実際に荒川区の銭湯では少しだけだけど番台で雑談をするようになって、人見知りが改善してきていた。

人見知りの改善と同時に、僕はサウナの良さも分かるようになってきた。
ただ、暑苦しいだけじゃなくて水風呂に入れれば気持ち良いことを知ってからはサウナも入るようになっていた。サウナの事については「ザっくりととのうサウナ入門」というブログをいつも参考にしていた。そんなときに「ザっくりととのうサウナ入門」でサウナインタビュー(実際には所謂アンケート回答みたいな形式)に回答してくれる人を募集してますというツイートを見た。
「これは、折角だし僕も回答しちゃおう!!」
と思い切って、リプライを送りサウナインタビューに回答した。
ここで、僕は「ザっくりととのサウナ入門」の管理人であるやのしんさんと繋がりが出来たけれどもこれがこの後の僕の銭湯・サウナ活動というか行動範囲と交流の幅を大きく広げてくれることになる。

そのお話については、また次回に。

※この物語は半分フィクションで半分ノンフィクションみたいな話です。
小説とエッセイの間くらいと思ってもらえると嬉しいです。(会話とかが完全に覚えているわけじゃないので一部フィクションみたいなもんです)

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