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銭湯と僕③

大学生の時に、僕は中学生以来の再会を銭湯と果たした。
それは、僕の記憶としては鮮烈な再会だった。
だって、友達について行ったらそのまま掃除の手伝いをするなんてそれは本当に中々無い再会だと思う。

再会してから、僕は多少ではあるけれども銭湯やスーパー銭湯に足を運ぶ機会が増えた。特に、大学の友人とスーパー銭湯に行くことは多かった。もちろん静かにのんびりをしていたので、迷惑をかけたりしていなかったとは思うけど、周りから見たら複数人で来ていた僕らはちょっと邪魔って思われていたのかもしれないなと反省をしている。

特にスーパー銭湯に行く回数が多かったのは大学院生の時だった。
歩いて行くにはちょっと遠いけど、行けない距離ではないところにスーパー銭湯があって、大体そこに行くことが多かった。

「久しぶりに沢山飲んだな~」
友人は顔を赤くしながら嬉しそうに行っていた。
「そうだな~!まあ、全然久しぶりでもないけどな!」
「確かに久しぶりではないなwあーこのまま歩いて酔い冷まししながら風呂行こうぜ」
こういう流れでスーパー銭湯に良く行っていた。
僕自身は1人で行くときは、再会した銭湯にふらっと行っていたけど圧倒的に友達とスーパー銭湯に行くことが多かった。

スーパー銭湯では僕も友人も大学院での研究からは逃れて、本当にのんびりとお風呂に入っていた。それも特に会話をすることもなく、それぞれ好きなペースで好きなところに入る。そうして、タイミングが合ったところでポソポソと会話をしたりするくらい。大体夜の遅い時間に行くことが多かったから、そんなにお客さんは多くなかったこともあって凄く心と身体を癒して貰っていた。思い返してみれば、この頃から少し空いている銭湯が好きだったんだ。

「ここのスーパー銭湯はさ、昼間とか夕方に来るとめちゃくちゃ混んでるんだよなぁ」
「あ、そうなん?というかよく来るんかw」
「まあな。ほら、俺はバイク持ってるからぴゅーってすぐに来れるんだよ」
友達は信じられないくらいリラックスした顔で僕にそういった。
「羨ましいだろwwま、だから夜に来るときはお前を誘ってるわけだよ。たまには人と来た方が楽しいからな」
「それはありがたいわ。僕もお風呂好きだからなぁ」

そんな会話を友達としたことを覚えている。
銭湯との再会もそうだったけど、僕の銭湯のお話にはいつもそこにはそれぞれ友達がいた。
街中の銭湯もスーパー銭湯もコミュニティスペースとしての役割を果たしているんだと思う。
大学院時代は研究に行き詰ったりしたとき、発表会や学会があったりするとみんなで飲んで、そのあとに一人暮らし組で歩きながら酔いを醒ましてスーパー銭湯に行くのがお決まりだった。

飲み会では話さなかったのに、なぜかスーパー銭湯に行った後の帰り道とかでは話してしまうことがあったりした。それは銭湯の不思議な力なのかなって思う。こうして、僕は銭湯の持つ不思議な魅力に知らないうちにハマっていった。

ただ、この頃は僕はまだサウナには一切興味がなかったからサウナにはほとんど入ったりしていなかった。もちろん友達もサウナには入ってなかった。
僕がサウナにちゃんと出会うのはもう少し先の話になる。

次は社会人になって、本格的に銭湯っていうものの沼にハマっていくことや旅行で温泉にも行くっていう話を記録しておきたい。

※この物語は半分フィクションで半分ノンフィクションみたいな話です。
小説とエッセイの間くらいと思ってもらえると嬉しいです。



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