見出し画像

行政職・公務員と民間企業の違いとは?わかりやすく元民間公募公務員が教えます【公務員は安定しているのか】就職活動・転職活動の参考に

 過日、兵庫県神戸市にある流通科学大学で特別講義「プロデュース論」の1コマを頂き、お話させていただきました。この講義では、4月から7月までの十数回で1人ずつ(自分以外は)一流のプロフェッショナルの方が持ち回りで学生の皆さんに話すことになっており、マスマディアかデジタルメディアに造詣の深い方で構成されていました。自分は最初のキャリアこそテレビ局でスタートしましたが、その後ドロップアウトし公務員になり、任期満了後はメディアを使う側たる民間企業に所属している立場のため、講師メンバーにお声掛けいただけたことが光栄であり、どのようなことをお話しようか逡巡する日々となりました。

 メディアプロデュースに関するお話は他の方がたくさんしてくれると想像し、自分にしかできない話として、民間・公共・民間とキャリアを渡り歩いたからこそ言える話を「キャリアチェンジとセルフプロデュース」と題してさせていただきました。その中でいただいた質問、

公務員は大学生に人気の職業ランキングでいつも上位であり、その理由として"安定している"と言われるが、実際どうなのか?

について自分なりに回答したいと思います。

"安定=クビにならない"ならYES

 公務員はそもそも国家公務員法や地方公務員法に定められた職業であり、広義にはエッセンシャルワーカーにも位置づけられる、国民生活に必須の仕事として、その身分は守られていると言えます。また、地方自治体は全国に約1700あまりあり、今まで財政破綻つまり潰れたところは北海道夕張市の1例だけとも言われていますが、そこでも職員が全員解雇になったわけではなく大幅な減給を受け入れた人はそのまま残れたようですから、従業員の観点からはよほど問題を起こさない限り雇用は守られ、安定していると言えます。

 しかしながら、どのレベルで安定しているか、一般的に言われる給与テーブルは自治体によって異なります。わかりやすく言えば給料が良い・悪いは働く役所によって変わるということです。この情報も開示されていて、ひとつの目安として「ラスパイレス指数」というものがあります。これは「全地方公共団体の一般行政職の給料月額を同一の基準で比較するため、国の職員数(構成)を用いて、学歴や経験年数の差による影響を補正し、国の行政職俸給表(一)適用職員の俸給月額を100として計算した指数」であり、要約すると国家公務員の給与を100とした場合の各自治体の給与水準をあらわすものです。

 総務省「令和2年地方公務員給与実態調査結果等のポイント」によれば、全国加重平均値は令和2年4月1日現在で99.1ですから地方公務員と国家公務員では大きな差はないと思いきや、市町村ごとに見れば75.1(東京都御蔵島村)から103.9(千葉県芝山町)と格差が存在します。なので、職業としては安定しているものの一律に同じ給料ではないことから、地方公務員をめざす人はそれぞれの自治体での待遇をしっかり調べておく必要があります。

安定重視なら民間企業にもたくさんある!その見極め方

 職業選択の一大要素として「安定性」というのはますます求められますが、公務員だけに狭めなくても、民間企業でも安定を求めることができ、それを見極めるための指標があります。ここでは3つ紹介します。

①自己資本比率

 自己資本比率は貸借対照表(バランスシート)から割り出せるもので、どのくらい「自分のお金=返済不要なお金」があるかを示す値です。自己資本比率を見れば、会社の健全性がわかります。数式は

自己資本比率(%)=純資産÷総資産×100

で求められ、資産のうちどの程度が純資産(返済不要なお金)で賄われているのかを表します。当然この自己資本比率が高い方が、「返済額が少ない→自分たちの力だけで運営できている→会社が健全」と評価されます。

②経営安全率

 経営安全率は損益計算書から求められ、限界利益を経常利益がどのくらい上回っているかを表す比率のことです。数式は

経営安全率(%)=経常利益÷限界利益×100

で割り出せます。仮にこの比率が5%あると、経常利益が5%減少しても赤字にはならないということです。つまり経営安全率が高いほど倒産しにくい黒字企業であり、体力のある安定性の高い企業だと判断できるのです。

③自由資金比率

 自由資金比率はキャッシュフロー計算書から導き出される指標で、

自由資金比率(%)=フリーキャッシュフロー÷利益剰余金(自己資本)増加額

で求められます。この自由資金比率によって、稼いでいる利益がキャッシュになりやすい企業体質かどうか、資金繰りは順調かどうか、キャッシュ面で会社経営が良いか悪いか判断できます。

結論:安定はいつでも求められる!したい仕事を選ぼう

 このように、公務員でも民間でも「安定」を得ることは可能なのです。地方自治体でも、最近中途採用(民間企業等経験者採用)の機会が増加してきました。ということは、究極の安定は社会人になってからでも享受できます。自分が今したい仕事に何かしらのリスクがあったとしても、それが自己実現に近づくと判断するなら、まずはそれができるよう努力し、それが合わない・うまくいかないと考え出した時から公務員への転職を考えても良いのではないでしょうか。

 さて、では「安定」を求めて公務員になった人たちは本当にその通りになっているのでしょうか。自分が3年間の公務員生活での経験、自分が勤めた市だけでなく市外の公務員たちと接して感じたことについて、また後日記したいと思います。

 お読みいただき、ありがとうございました。

【お知らせ】
これから公務員になる方、とりわけ広報や事業担当実務者になる方は必読です!

https://koumuin.base.shop/items/36896450


サポートいただける方は、どんな記事をご所望かを是非お伝えくださいませ。日頃の発信に活かし、還元させていただきます。