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銀メダル獲得🥈ロコ・ソラーレのマインドセットはビジネスパーソンも見習い向上できる

 日本カーリング史をアップデートし続けるロコ・ソラーレ(カーリング女子日本代表)がまたやってくれました!2018年平昌オリンピックでの初メダル獲得に続き、2022年北京オリンピックでは準決勝で予選トップのスイスに勝ち、決勝進出を決め、日本同競技史上初の銀メダルを獲得しました!これまでのプロセスを含め、チームロコ・ソラーレの選手、スタッフには称賛と感謝の気持ちでいっぱいです。

 みなさん、こんにちは。「公務員のための新しい広報の教科書」「中小企業・個人事業主のための新しい広報の教科書」著者の西垣内渉です。1998年の長野オリンピックでは現地観戦し、その時からカーリングに魅せられ日本選手権・世界選手権・オリンピックをほとんどすべて観戦してきたファン歴20年以上の私が、今日はここまで6勝4敗と4つの負け・失敗を経験しながら世界一への歩みを進めるロコ・ソラーレ(Loco Solare)の強みについて、ビジネスパーソンとして見習いたいポイントを共有させていただきます。

とにかく前向きである

 2月16日の予選第8戦、アメリカ合衆国戦はそれまでロコ・ソラーレがイギリス・韓国に連敗して上位に進出するには勝たなければならない一戦でした。しかしながら連敗の内容も芳しくなく、大量得点を許してコンシード負け、チーム状況も良くなかったことは結果からわかります。

 米国戦では第2エンドでの3点スチール(不利な先攻での得点)を含む5対3と優勢で前半を折り返しました。予選第1戦スウェーデン戦では前半の好調を後半に引き継げず別人のように敗北した苦い記憶が再来し、第7エンドでは一挙4点を奪われ、同点に追いつかれました。それでも後攻の第8エンドで2点取って突き放し、第9エンドにはスチールを決めたことで勝利をぐっと引き寄せた戦いとなりました。彼女たちを応援する側はヒヤヒヤものの勝利でしたが、試合後のインタビューを聞くと課題も良かった点と捉え、終始前向きな言葉ばかりだったのです。

▽吉田夕梨花 1点でも、とにかく前半で食らいついて行くのが大事だと思っていた。後半に課題はあるんですけど、試合の入りは良かった。
▽鈴木夕湖 全体的にかみ合っていて、そこが良かったと思います。
▽吉田知那美 心のアドバンテージを使ってプレーできたのは、このチームで積み上げてきたものだと思う。
▽藤沢五月 この勝ちはすごく大きなものになった。メンタル的に難しいのが予選の後半。落ち込みそうになった時もチーム全員で声をかけて、最後まで勝ちを信じてやることができた。

https://www.nikkansports.com/olympic/beijing2022/curling/news/202202160001378.html

 また、2月18日の準決勝スイス戦も第5エンドの4点獲得以外は、全体を通じてロースコアかつ魔の第7エンドで3点の大量失点があったにも関わらず、予選1位に対して臆することなく勝利しました。体力的には疲れはあるだろうけれど、準決勝を「ごほうび」と捉えプレッシャーを感じずに戦えたことが試合後のインタビューからうかがえます。

-決勝に進出した
吉田夕梨花「本当に勝ちたいというよりも昨日のゲームよりとにかく良いショットを、1つ1つチームショットを決めたいのと。アイスのこの準決勝に立ててる時点でご褒美だったので、今日は4人、(中略)全員の気持ちを背負って、みんなが一緒に氷の上に立ってくれてくれてるって思って、今日は本当に自分たちらしい試合ができたのかなと思います」
-序盤はシビれるような展開だった
鈴木夕湖「本当に相手のチームがとても上手で、ここぞというときにしっかり決めてきて、ずっと本当に私たちも危ない展開だったり、耐える展開だったんですけれども、本当にさっちゃん(藤沢)がずっとナイスショットを投げ続けてくれて、それでちな(吉田知那美)が本当にナイスコールで、チームですごくいいショットを決め切れて、すごくチーム力を見せつけられた試合だったのかなと思いました」
-7エンド3点取られても、落ち着いていた
吉田知那美「4位上がりの私たちの最大のアドバンテージはラウンドロビーで他の3チームよりもたくさんのミス、たくさんの劣勢を経験できたので、私達は3点取られることも4点取られることも既に経験していたので、特にそこに関しては3点取られたって驚くことなく、1点アップなんだっていうふうな気持ちで冷静にエンドの展開を作れたのがすごく大きかったなと思います」
-9エンドのピンチも乗り切った
藤沢五月「プレッシャーも正直感じてなくて、というのも昨日の試合で私の中で迷いというのがあって、それが作戦だったりショットにも影響が出た部分があった。今日午前中だったり、夕方ぐらいまで時間があった中で、しっかりチームみんなで話し合って、今日の試合をどういうふうにしたいかっていうふうにしっかり話して、気持ちをしっかり持ってこの試合に入れたことがすごく良かったのかなと思います」

https://news.yahoo.co.jp/articles/fb44e804336f71a28c7ea4ecea75fe6a83698ab8

彼女たちからは、
◎試合で良くなかった出来事をどう変換して次につなげるか
◎前進させることで生まれた成果をどう咀嚼するか

ということを瞬時に解析してアウトプットできているように思います。これはまさにチームで仕事をする際に失敗をどう活かし、業績を推進させるかということに似ています。ロコ・ソラーレは単に前向きということではなく、自己分析や表現の力も総合的に高いことで、世界一を引き寄せるチームになっていると言えます。

プロダクトアウトである

 ロコ・ソラーレのこれまでの10戦、あるいはオリンピック以外の試合を見ていて感じる強みは、対戦相手に対する極端な苦手意識や得意意識を持っていないことだと考えています。どういうことかと言うと、相手がどんな戦い方をしてそれに対応することに拘泥せず、まず自分たちがベストを尽くすことに腐心しそこにKPI(重要業績評価指標)を置くことで、シチュエーションによって力を発揮できる・できないの差が生まれにくく、常にハイパフォーマンスで勝負できるチームビルディングができているということです。

 マーケティングの考え方では、
■マーケットイン:市場に向き合い対応する、つまり顧客の意見・ニーズを汲みとって製品開発を行う
■プロダクトアウト:会社の方針や作りたいもの、作れるものを基準に商品開発を行う
と二分したアプローチがあり、フィリップ・コトラーが提唱する現代マーケティングではマーケットインの考え方をとって業務を進めるケースが多いように思います。

 この2つのアプローチに優劣はありませんが、デジタル化の進む各業界の市場情勢は変化が激しく、マーケットインを継続していてはコストがかかる局面もあるように思います。あるいは、市場ひとつひとつが先鋭化しているところでは、マーケットインでは費用対効果が生じないケースも考えられます。私は21世紀になってからは徐々にプロダクトアウトの優位性が出てきていると感じますが、ロコ・ソラーレの振る舞いはまさにそれを体現したように思います。彼女たちがカーリングにおける高いスキルを持っているように、向き合う市場に対する基礎調査等の取り組みはもちろん不可欠です。そこから先は、自分たちの強みは何かをチームで共有し、メッセージとして伝わるものになるにはどうすれば良いかをよく話し合うことが重要と思います。

マインドセットは誰でも今日から変えられる

 勤め先での立ち位置や人間関係といった、他者が介在する環境を大きく変化させることは時間と労力がかかるものでなかなか向き合いにくいところですが、自分の意識付けは誰に干渉されることなく変えることができます。ロコ・ソラーレのオリンピックでの活躍を生かさせてもらい、その活躍を見た人(私も含め)がそれぞれの置かれている状況をさらに良くできれば、彼女たちの努力がもっとも報われるのではないかと勝手に考えています。

 このように、チームスポーツの過程や成果はビジネスパーソンにとって見習えることが多いですね。ただ楽しむだけではなく、日頃の生活のヒントにしていければ毎日の景色を変えていけるのではないでしょうか。

 今回もお読みいただき、ありがとうございました。


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