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【 これはただの夏 】燃え殻 読書記録(短文1分弱)

≪確かに『これはただの夏』の出来事。しかし、この独特の哀愁には中毒性があります≫

【 内容 】
なんとなく独身で、テレビ制作会社の仕事に忙殺されて生きてきてしまった夏、ボクにバグが起きる
ボクたちは誰かと暮らしていけるのだろうか
『ボクたちはみんな大人になれなかった』から四年、待望の小説第二弾。

広告文より

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題名通り、確かに『これはただの夏』の出来事。

本のPVには仲野太賀さん、なんともお洒落な感じに仕上がってます。レモンサワーがおいしそう。

物語の主要人物は職場関係者の結婚式に出席し、偶然仲良くなった妖艶な女性(優香)

朝帰りの日、自宅マンションのエレベーターホールで居合わせた大人びた少女(明菜)

昔からの仕事&遊び仲間(大関)から突然の入院告白。

この三人との、ひと夏の思い出。

秋の物悲しい季節と共に……旅立っていった。

主人公のボクは取り残されたやりきれない気持ち(感覚)を切なく思いながらも、

彼らとの過ぎた愛おしい思い出を頭の片隅に置いて、これからも変わらずの生活は続いていく。
そしてその大切な出来事も徐々に忘れていく。

しかし、皆で聴いたあの曲のイントロがどこかでかかる度に、

カーテンを揺らした夏の風が、少女が作ってくれたチャーハンの味が、楽しかったあの日の夜のことを、どこかで急に思い出すんでしょうね。

プールサイドで「左耳に水が入って気持ちが悪いなっ」て時に思い出す、あの、暑かったけど短かかった、子供の頃の夏の場面と同じように。

燃え殻さんのお話は思い出スイッチが沢山あって、それは形は違えども、誰にもあるモノだから、きっと誰も共感してしまうんですかね。

最後のネクタイを締めようとする場面を読んだ後、栞の紐をキュッと挟んで本を閉じました。

表紙の断片的な記憶の写真と燃え殻さんらしい文章で、今回も読み終えた後はモヤっとした深い余韻を味わえました。

この独特の哀愁は中毒性がある気がします。

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「ハハハ、ふたりともへんな顔」ボクはじゃぶじゃぶと自分の顔に水をかけた。明菜は声を出して笑いながら、
「そんなことしても、へんな顔はへんなままで、元には戻らないよ」と言った。(P168)

※この台詞、注文の多い料理店みたいで笑ってしまった。確かに、優香と主人公のボクは嘘つきだから、へんな顔なのかな。
きっと、終わりの来る、絶好の幸せを感じてしまったんでしょう。

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