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【 夜行飛行 】カツセマサヒコ 読書記録(短文1分弱)

≪この本は人によって、誰の行動が許せなかったかで感想が分かれそうですよ。≫

【 内容 】―それは、彼女と僕だけの秘密です。

映像作家のトップランナーとして孤高に生きる宮部あきら。ファンの域を超えて宮部に執着する富永早苗。SNSから突如ブレイクしたバンド・ブルーガール。脚本家を夢見て小さな劇団に所属する岩崎凜。居場所を失った高校生・松田英治。秘密を抱えながら暮らすナツメとメイ――。

それぞれが迷い、悩み、嫉妬し、決断をしては、傷つき合う。恋の輝きと世界に隠された理不尽を描いた、鮮烈なラブストーリー。

広告文より

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【 感想 】
孤高の天才、脚本家として成功を納め、自社の経営も順調、飛ぶ鳥を落とす勢いの人物『宮部あきら』と、

SNSで偶然に一曲バズったことで世に出るチャンスを掴んだ、売れないバンド、ブルーガールのボーカル『岡本音色』

この二人の出会いから、他者の人物達の思いもよらぬ負の連鎖が始まっていく。

『宮部あきら』ホント、悪い男です。
才能溢れる天才なのは凄い事なのですが、ここまで傲慢で自己中心的で平気で人を傷つける、人として良心が欠除している所が多かったケド、世の注目度も高ければ高いだけ、没落も凄まじい。

あれだけ自信のあった人でも他人に一斉に叩かれれば、こころはいとも簡単に壊れる。

自分の行った行動が些細な事だと思っていたのとは違う方向へ流れて行ったときの対処できない歯痒さ、築き上げてきた物が崩れていく様は、さすがに気の毒でした。

『岡本音色』スーパーの食品売場でバイトしていた『岩崎凛』との出会いはとても初々しく、お互いに貧しくとも幸せそうで良かったのですが、

『宮部あきら』の登場により、崩れていく関係性にはとても淋しく、『岩崎凛』の激情にも驚くばかり。

『富永早苗』の『宮部あきら』への愛も正直、愛なのか。世に出た作品を愛し、出会いに運命を感じて、侮辱されても嫌いになれず愛し続ける。一方的な執着を感じました。

『ナツメ』SNSは諸刃の剣。思いもよらぬ世間の反応に心傷つくのは結局は当事者の被害者と加害者。

自分の思い込みで、自分を追い込んだり苦しめたりする事はよくある。自分の感情とは他者の想像以上に繊細でメンドクサクテ、不安定で脆い。

思い込みをたち切るには信頼できるそれぞれの人に勇気を出して告白する事、信頼できる人達の声が一番大切だと思います。

最後に家庭に問題のある高校生『松田英治』思春期の純粋さがそのまま、恨みの執念へと導いてしまったのか。『岩崎凛』との最初のエピソードがラストへとつながる構成、流れが見事でした。

『カツセマサヒコ』さん、今回の作品で思った事は男性はモチロンの事、女性の気持ちを描くのがうまい。女性作家が描きそうな女性の心の機微や頑固さや勢いが上手く表現されています。

皆、不幸な結末を振り返る時にあの時こうしていればとか、選択肢を悔やむ人多いですけど、

僕の場合、どっちに進んだって、進んだ先からが勝負なんじゃないかなって思っています。

この本は人によって、誰の行動が許せなかったかで感想が分かれそうですよ。

最後にどんな理由があったとしても、女性に暴力を振るう男は絶対に許せません。

⬆️『夜行秘密』ホームページ

川谷絵音率いるバンド「indigo la End」と、コラボしていて、この小説はアルバム『夜行秘密』から創り出した激情の恋愛譚だそうです。
近頃、本にもPVが増えてきて面白い販売方法ですね。

⬇️indigo la End『夜行秘密』

個人的には『 チューリップ 』が好きな曲で、PVに出ている中国出身モデル、る鹿ちゃん、実は昔からファンです。
一緒に出ている上杉柊平君も格好いいですよね。
る鹿ちゃんは「サカナクション」の『多分、風』のPVにも出ていて可愛いのでオススメです。

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⬇️ 『チューリップ』indigo la End

⬆️『多分、風』サカナクション

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