【映画】「主戦場」ヤバイ政治エンターテイメント
今話題になっている「従軍慰安婦」問題について追いかけたドキュメンタリー映画「主戦場」を観てまいりました。
感想というと
めっちゃンコ、面白いです!!!!!
本当に面白い、久々にこれぞ映画だなと太鼓判を押すレベルの娯楽映画になっていました。
僕はあくまで映画はアートであれ政治的題材をテーマにしていても「エンターテイメント」であると完全におもっています。
この映画もエンターテイメントとして間違いなく傑作だと断言できる映画になっております。
従軍慰安婦という題材を扱っているから「反日映画なんでしょ?」と思う御仁もおられるかもしれませんが、そうでもないです。
まず従軍慰安婦という存在に目を向けなかった韓国社会に対しても監督は批判している。
なるほど韓国は男性社会だからこそ従軍慰安婦の存在を黙殺し臭いものにふたをしすぎた結果反動でこの騒動がでてきたわけだな。
日本だけが従軍慰安婦をやっていたわけではなく、ベトナムでも韓国人は従軍慰安婦を作っていたことを監督は認めている。(ここも好感がもてる。)
「従軍慰安婦がどれだけ被害にあったかその数はわからない」・「従軍慰安婦経験者の話には客観的な根拠は実はあまりない」・「韓国側も実は誇張している」などといったものを認めたうえで勝負を仕掛けている。
これはかなり勇気があるのではないだろうか。
そのうえでネット上ではびこっている多くの「従軍慰安婦はプロ娼婦であった」「強制連行はなかった」というような話に対して真っ向勝負から論戦をしかけており、そのうえで論破しているのだ。
また、多くの保守派論客が出てきては彼らの意見がナレーションで論破されているが・・・まさかあの「テキサス親父」まで出てくるとはおもわなかった。
そして、ずーっと謎だったテキサス親父の右腕である日本人の正体も明らかになり個人的にはテキサスマニアとしては大いに満足のいく展開だった。
テキサス親父がやや牧歌的な狂気を見せたかと思えば、ケント・ギルバートがフリーザ的な紳士的・知性的な側面を見せ、櫻井よしこが圧倒的カリスマ性でつつみこむ。
この圧倒的情報量の詰め込みっぷりにはさすがの俺も完敗である。
そして忘れてはいけない杉田水脈さん、あのあふれんばかりの小物オーラは創作系の悪役では決して出せないものだろう。
徐々に映画が進んでいくにつれて本作の黒幕である「日本会議」の存在が明らかになっていく、この点と線がつながる気持ちよさと恐ろしさ、まるで「キャプテンアメリカ/ウィンターソルジャー」のヒドラの正体が明らかになるシーンのまんまである。
そして、本作では実はラスボスである日本会議の重鎮が出てくるのだが(安倍政権などともつながりがあるらしい)、この爺さんの陽性の狂気には俺は目がくらくらした。
いわゆる「新しい教科書をつくる会」の黒幕なのだが、ひょうひょうとした中にあふれでん狂気とその圧倒的な威厳、まるで「からくりサーカス」のフェイスレス総司令のようであった。
「子供たちに明るい歴史教科書で学んでほしい」という純度100%の善意の中でおこなれる狂気、そしてその圧倒的な存在感。
いやあ・・・・日本にはまだこういう「ラスボス系のジジイ」がいるんだなと感動のあまり涙が出そうだった。
全体的に言えばかなり俺はこの映画を不謹慎な楽しみ方をしているが、その圧倒的な論破力の前では俺も「やっぱ従軍慰安婦の強制連行はあったんじゃないか」となってきてしまいそうであった。
本作を保守派が「プロパガンダ」というのであれば、カウンターになるような映画を実際に制作してほしい限りである。
物足りないことをあげるなら・・・・
今話題になっているネトウヨ系Youtuberの「KAZUYA」をなぜ出さなかったのか、ここがすごく疑問がでてきてしまう。
彼を出していれば、爺さんばあさんばかりではなく若い世代の人間もネトウヨになっているということに対してもっと踏み込んだ映画になっていたのではないかとおもってすらいる。
結論としては本作は
80/100点
ぜひ、公開できなくなる前に映画をみてほしいものである。
本作を批判できるのは実際に見た人間しかいないのだ。
最後に注意点を一つ
俺はあくまで視点の一つとしてこの映画を評価しているだけである。
俺は映画が大好きだが、映画というのはやはり政治的に偏ってしまうのはしかたないことだし正直プロパガンダ映画ではないかといわれれば「そうだろうな」としかいえなくなってくる。
だからこそ、この映画に対して文句を言う保守派の人がいればカウンターになるような映画を作ってほしい。
映画には映画をぶつけるしかないのだ。
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