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【開催レポート】オンラインセミナー|障害のある先輩のキャリア選択エンジニア編「エンジニアって働きやすいですか?」

障害学生ライフキャリア支援プロジェクトGATHERING(ギャザリング)では、さまざまな障害当事者の先輩の就活の話を聞くことができるオンラインセミナーを開催しています。

この記事では、2月7日に開催されたソニーグローバルソリューションズ株式会社(以下SGS)で働く2人の当事者の先輩をゲストにお迎えしたセミナーの一部をお伝えします!

ゲスト:高山さん
神奈川県出身。原因不明の股関節の病気により障がい者認定を受ける。2001年からIT関連企業に入社して実務を経験した後に転職。複数のIT企業に勤務した後、2019年2月SGSに入社。入社後はエンドユーザーサポートで業務の自動化などを担当。趣味はゲーム、アニメ、DIY。

高山さんの写真。黒いノートPCが開いており、その前に笑顔で椅子に座っている。白いシャツを着ており、明るいオフィスで撮影されたと思われる爽やかな印象の写真。

ゲスト:菊地さん
北海道出身。新卒の一般採用枠でIT系企業に勤めていた中、2019年に障がいが発覚。2022年11月にSGSに入社し、ソニーグループのウェブサイトの制作・運用依頼の管理業務をメインで行う中、制作業務やウェブアクセシビリティのチェック業務などにも携わる。趣味は料理、お菓子作り、食べ歩き。

菊地さんのバストアップ写真。耳が覆われるくらいのショートカットの女性。黒のジャケットを羽織って椅子に座っています。背景には何もないのでオフィスの会議室などで撮影されたのでしょうか。

はじめにSGSの人事担当者鈴木さんより、会社のご紹介を頂いた後、ゲストお二人に学生時代の就職活動を始めるころから現在に至るまでの軌跡をお話いただきました。


これまでのキャリアライフ

はじめにお二人の現在のエンジニア職を選ぶに至った背景をうかがいました。お二人のお話の共通点としては、学生時代からIT領域への経験もあるからか、環境を自ら変えていく選択肢をとっているところにあると思います。

また、今回お話のなかで印象的だったのは手帳を使わない就活を最初にされていたことです。学生時代に障害が明らかになっていても、手帳の取得を選んでいない理由は人それぞれですが、途中から手帳を取得しながら、障害者雇用枠・一般雇用枠におけるメリット・デメリットを検討し、環境を変えていらっしゃる点も参考になると思います。

高山さん:
IT業界の面白さや障害があっても働けるところに魅力を感じ、学生時代にIT業界を目指し、卒業後は知人の紹介でIT企業に非正規で就職しました。
その会社で実績を積んだ後、正社員として雇用してくれる企業へ転職しました。
2社目では仕事の幅も広がり、新しい領域でのチャレンジなどをしましたが、会社の考え方と自身の考え方が合わず、更なるキャリアアップのためSGSに転職することになりました。

菊地さん:
はじめは一般雇用でIT企業に就職しました。もともと学生時代に情報技術を学んでいたので、ソフトウェア開発などに携わりたいと思ってSIerやシステムエンジニアなどを目指して就活をしていました。

社会人になって、業務関係や職場の人間関係に適応できず不安障害とADHDの診断を受けました。診断を受けて半年ほど休職したあと、別部署に異動となり総務・広報担当として復職をしました。しかし、業務でのマルチタスクに困難さを感じるようになり、体調を崩しかけたこともありました。

そうしたなかで改めて自分のキャリアを考えた時に、何か1つに絞って、主軸を持ってキャリアを積んでいきたいという気持ちが芽生えて、転職活動をしようと思いました。
はじめは一般枠で転職を考えていましたが、周囲と相談して障害者雇用も視野に入れて、自分の中でのキャリアや体調面、特性などを考えた上で障害者手帳を取得して、SGSに入社することになりました。

高山さん:
11歳のときに障害が発覚してから長らくは手帳を取得していませんでした。手帳を取得することによるキャリアへの影響に不安を感じていたからです。ただ、同じような障害を持つ友人からの勧めなどもあり、23歳で手帳を取得し、社会人の途中からは障害者雇用枠で働いています。


PCの2つの画面をみながらオフィスで仕事をしている女性の様子。女性の後ろから撮影されている構図です。デスクの上にはPC画面のほか、デスク電話やスマホ、ノートや書類が置かれています。
写真はイメージです

手帳を使わない学生時代の就活

新卒入社のタイミングで手帳なしの就活をしていたお二人に、学生時代の就職活動はどのように進めていたのかについても聞いてみました。特に高山さんの場合、障害がその時点で明らかだったこともあり、当事者のリアルが垣間見れるお話を聞くことができました。また、高山さんの時代は現代とは異なりインターネットでの情報も多くなく、アナログな就職活動も多い時代だった影響も受けていることがわかります。
ただ、高山さんは率先してSNSのつながりを活用している点が特徴です。高山さんの就活時代と比較すると、現代はSNSのつながりも作りやすい時代だと思いますので、大手求人サイトにこだわらない就活もありなのかもしれません。

高山さん:
私の時代はまだインターネットも発展してない時で、障害者雇用枠というのも全然なかった時代なんですね。手帳取得もしてなかったこともあり、障害者ということをあまり意識せずに就職活動を進めていました。海外に留学をしていたのでそうしたアピールをしていても、なかなか厳しかったと振り返っています。

最終的に私はSNSで知り合った知人のつてで、最初の会社に就職することになりました。とにかくキャリアを積む経験をしなければいけないと思ったので、そういったちょっとした繋がりでもチャンスがあるんだったら掴んでいこうという思いでした。今の学生さんはSNSでのつながりで就活をしている人もいるかもしれませんが、2000年代でこういう形で就活した人は珍しかったと思います。

手帳取得による働く環境と合理的配慮

手帳なしで働く経験と、現在障害者雇用枠で働く経験と2つの経験をお持ちのお二人だからこそ、働き方や考え方で変化について感じている点についても聞いてみました。

大きな違いが実はあるのかも?と思いきや、お二人とも業務内容に関して違いを感じたことはないと明言されていました。

菊地さん:
仕事の見つけやすさでいうと、一般枠のほうがプラットフォームも様々ありますし、選択肢の数は多いと思います。ただ、現状障害者雇用における雇用条件や業務の差があるわけではないですね。違いがあるとしたら、選べるプラットフォームや相談窓口の分母の差くらいでしょうか。

デスクでノートにメモをとっている男性の手元の写真。PCのキーボードも見えます。
写真はイメージです

さまざまな環境で働いてこられたお二人に、現在の働く環境をどのように調整されているかも聞いてみました。手帳があることで、合理的配慮の調整のためのコミュニケーションにおける心理的負担が下がっていることが特徴でした。
ただ、お二人とも共通してテレワークで働いていることもあり、オフィスワークよりも配慮についてお伝えする機会もそんなになく、働きやすい環境にある印象を受けました。

高山さん:
手帳があることのメリットは、まず一つは公的な制度やサービスを使えるということですね。

もう一つは合理的配慮を求める際に説明がしやすくなり、納得感や説明のしやすさを得られるようになったと感じます。「甘え」と思われることが少なくなったという感じでしょうか。

例えば私は移動の困難さがあるので、近場の移動でタクシーが必要になる場面では、一般的には贅沢なものだと思われます。しかし、私の場合は贅沢のために使うわけではないので、そうした説明のときに手帳があると納得してもらいやすいです。

菊地さん:
自分のことについて説明するとっかかりであったりとか、ほかの社員に説明する時に分かりやすくなったのかなというふうに感じます。

配慮としては、注意力特性で会議などの内容を聞き逃してしまうことがあるので、部署の方にお話してウェブ会議のレコーディングや会議内容の文字起こしなどの配慮をいただいています。

自身の障害については、私が中途入社のタイミングで部署の全員に話をさせていただいたり、SGSの社長とも直接お話させていただく機会があり、関係者の方みなさんにお伝えしています。

高山さん:
チーム内ではできないことを明確に伝えるということを意識しています。例えば出勤に時間がかかってしまうため急な出社が難しいことや、雪が降った日などは移動中の転倒のリスクが高まるため在宅での仕事に切り替えてもらうなどの配慮をしていただいています。

お話を聞きながら、まずは自分自身が状況を把握し伝えていくことが大切なのだと感じました。ただ、伝えられるべく状況を把握するためには、把握できる経験が必要になりますよね。学生のみなさんは面接等で合理的配慮について話をするとしたら、学生時代のアルバイトや活動、大学での合理的配慮の調整の状況などを振り返りながら、可視化しておけると良いのかもしれません。

学生のみなさんへメッセージ

高山さん:
私が今の時代で学生に戻って就活をするなら、インターンをいろいろ受けたりすると思います。会社の様子や雰囲気自体を、足を運んで自分の目で実際に見て、働くことを想像していくと思います。
障害者の法定雇用率が上がったり、合理的配慮が義務になったりと社会全体が変わってきているので、そういったものをどんどん自分でキャッチアップして、障害がある中で自分が何を使えるのかを把握した上で、キャリアの選択肢を広げるために活用していただければと思います。

菊地さん:
障害のあるなしにかかわらず、特にSGSは個人が持っている強みや得意にしていること、できることの方に目を向けてそれが最大に発揮できるように相談に乗っていただいたりしています。就職活動をするにあたってはご自身で考えるところも大事ですが、周りの人にたくさん相談して、さまざまな選択肢があることを知っていただければなと思います。


SGSでは、障害を理由に業務内容や雇用形態、昇進昇格などの人事評価などの違いを設けていないそうです。実際に働かれる高山さん、菊地さんのお話を伺って、障害の有無に関係なく自身の強みを生かせる環境であると感じました。

SGSでは障害学生新卒採用向けイベントとして、障害のある社員の方の働き方や障害者雇用などについて、個別に質問ができる人事質問会の申し込みが始まっています。まずは話を聞いてみたいという方は、まずは気軽に申し込んでみることをおすすめします!高山さんや菊地さんとも直接お話できる機会になるかもしれません……(お問い合わせしてみてください!)

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