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歴史の教科書は最初に読んではいけない

受験勉強をする時に、教科書は入門書として位置づけられます。基本的な事柄を「これは教科書レベルだよ」なんて言ったりしますね。

そのため、勉強を始める時は教科書の内容を一通り理解することをまず目標にしますが、小学生の頃から歴史が苦手だった私の経験からすると、初学者の場合は歴史(日本史、世界史問わず)だけは最初に教科書に手をつけない方がいいです。

以下でその理由と、教科書のいい活用法をご紹介したいと思います。


出来事のつながりが印象に残らない

歴史の教科書は膨大な情報を限界までシンプルにまとめてあり、ある程度勉強した後なら「よくぞここまで」と思わされるくらいスッキリしています。

しかしスッキリしすぎているがゆえに、初学者からすると出来事のつながりや人間関係がわかりにくいのです。

例えば山川出版の歴史総合の教科書の、第一次世界大戦の勃発に関する記述を見てみましょう。

1914年6月、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの中心都市サライェヴォで、オーストリアの帝位継承者夫妻がセルビア人により暗殺された。これをきっかけに7月末にはドイツの後援を得たオーストリアがセルビアに宣戦を布告し、8月にはドイツがロシアに宣戦を布告した。フランスやイギリスもつぎつぎと参戦し、極東では日英同盟を結んでいた日本がドイツに宣戦を布告した。
こうして戦争が地球規模に広がり、第一次世界大戦となった。

「歴史総合 近代から現代へ」山川出版社 P105

前半はオーストリアが報復で宣戦布告したと理解できるのですが、
歴史が苦手な人間からすると後半のところで
「ドイツがロシアに宣戦布告」→ 何で?
「フランスやイギリスも参戦」→ 何で? となるわけです。

この小さな「何で?」がどんどん積み重なっていくので、だんだん整理がつかなくなり「分からん」「めんどくさ」となってくるのです。その上、教科書の最初は原始時代や古代から始まり、中世以降と比べるとほとんど出来事の羅列だけで単調かつ覚えることが山ほどあるので、「やってらんね」と教科書を投げ出したくなります。


では、どうするか?

歴史が苦手な人は文字だけで情報を整理するのが難しいので、マンガや資料集、あるいはテレビ等の映像(以下のリンクのNHK高校講座など)でとにかく頭に印象を残す作業から始めると効果的です。最近はYouTubeでも歴史の解説系で面白いものが多いですね。

ストーリー仕立ての動画やマンガであれば、人間関係や国家間のいざこざを分かりやすく描いてくれているので、歴史の流れを頭に入れやすいです。

さらに同じ内容を複数の媒体で見聞きすると、「これはYouTubeで言ってた人物だな」、「この戦争はマンガで見たな」という風に情報が繋がっていきます。

こうなると教科書で文字だけ読んでも、それらの情報やイメージが想起されるようになるため、記憶に定着しやすくなります。

また、その次のステップとしては予備校講師などが出している参考書もオススメです。教科書の倍以上の内容量なので、出来事や人物の周辺情報が豊富で、先の例のような「何で?」が起こる心配はほとんどありません。もし興味が湧いてさらに深く知りたくなったら、ネットで検索すれば大抵の場合は事足ります。

こうして何か一つのことを覚えるために、それに関連する情報をどんどん結びつけて忘れにくくする作業を地道に繰り返し、少しずつ理解を深めることが歴史の勉強においては必要になります。


情報過多で混乱 = 教科書の出番です

こうして様々な情報を頭にいれていくと、整理しきれなくなるタイミングがやってきます。

知識がつけばつくほど新しいことが覚えやすくなるのは事実ですが、受験においては試験で得点を稼ぐことが第一の目的なので、勉強の効率を考えた時にどこまでが必要な情報で何が不要なのか分からなくなることもあると思います。

そこで頼りになるのが教科書です。最初に述べたように教科書は極限までシンプルにまとまっているので、その知識が必要か不要かの心強い判断基準になります。

何せ共通テストと国公立大学の入試においては、原則的には教科書の範囲外の内容は問われないわけですから、教科書に書かれていることだけを改めて整理すればいいのです。

私の例でいうと、フランス革命を勉強しているときに何度やっても目まぐるしく移り変わる政治体制が整理しきれなかったので、最後は教科書に書いてある内容だけを覚えることにしました。参考書などにあった大量の情報が、こんなにスッキリするかと感動した覚えがあります。

この記事を書いている現在、受験生の方はちょうど歴史の勉強がある程度進んで来た頃合いだと思います。もし今まで勉強してきた内容がごちゃごちゃして整理できなくなっていたら、試しに教科書を開いてみて下さい。驚くほどシンプルにまとめられているので、きっと理解の役に立つはずです。

結論としては、歴史の教科書は最初に読むものではなく、ある程度力がついた後の道しるべとして活用するものだということですね。

この記事の内容が、歴史が苦手な人や歴史を勉強する人の何らかの参考になれば幸いです。

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