見出し画像

【読書感想文】「もしあなたが50の質問に答えられるのなら?」理想の人材がほしい。そんなあなたへご紹介。

今回の本は、正直かなり良かったです。

お付き合いでアドバイスしてるカフェのオーナーさんが

ちょうど事業拡大において、
人材確保に悩まれており

自分も人事的なあれこれに対して
ドイツとはいえ就活中なこと、前職の人事がカオスだったことから
興味もあった分野だったので

amazonで評価が高く、今回の話に近いものをピックアップして
読んでみました。

初め、流石に本としてかなり高いな〜と思ってしまったのですが
多くの人が高評価をつけているように
自分もかなり学びの多い本で、かつ実践的だな〜と感じました。

結局は経営本というものになりますが
部や課の単位でも使える本であり、
人的資本という見えずらい概念を
色々な手法で見れるようにできる
そんな感じの本です。

何より、「図解」の通り
ものすごく図が多いことや
購入者特典のフォーマットが素晴らしい!

なんというか、最近だと本で釣って
コミュニティに入って追加でお金を払うと受けられるセミナーに
ついてくるような図面も普通に入っているので

むしろこの本はお得感がありますし
しっかりと引用元も記載されていて好印象。

総じてマネージャーポジション以上を目指す人たちには
買って読んで損はない、そんな本だと感じました。

ただし、実践的とはいっても、概念的で
実際の管理手法などのより具体的な内容は入っていないので
すでにプレイヤーとして活躍している人事などにとっては
求めている内容と違う可能性はあるかもしれないな〜
と、そう思いました。

そんな本を、自分の感じたことからご紹介してみます。
個人解釈たっぷりなので
若干間違いがあるかもしれないことは先にお伝えしておきます。


ある意味タイトル詐欺です。簡単に実現できると思ってる人、絶望すると思います。

まず第一に、表紙に「50の問いに答えるだけ。」
そう書いてありますが、

めちゃくちゃ重たいです。

これがスラスラ回答できる人がいるならば
すでに相当人的資本という概念を理解し
それを現場に落とし込むために考え抜いている人しか無理。

少なくとも僕はだから人事というのは学問として独立するんだな〜とか
勝手に思ってしまいました。

問い自体は単純に50問。
ですが、それぞれが一言や数字で表せないものであったり
例え回答したとしても、評価として5段階に分かれており
最大レベルの5になっている段階は
相当な取り組みがなされていないと実現が難しそうに見えます。

評価者の中に、「大企業向け」と書いている人がいましたが
確かにこれだけの量を思考しきり、組織として編成することを考えれば
全てをハイレベルにするためには専門の部隊は必須だろうなと思います。

ただ、著書自体にも、優先順位をつけたりできるような言及はありますし
付属の資料を使って本当にエッセンシャルなところを詰めることでも
効果はあると感じます。

むしろ、本当に重要なところだけでも、考えきれていない大手なんて
いくらでもいると思うくらいです。

人材がテーマですが、小手先ではどうにもならないみたいです。企業としての本質を考えましょう。

結局、必要なのは今の経営で流行りの「パーパス・バリュー」であると
本著では言及されています。

なぜかといえば、欲しい人材を考えるときに、結局将来像を描く必要があるから。

パーパスとは、組織の存在意義のことで、「私たちはなんのために存続しているのか?」を明確に提示することだとされて言います。

パーパスがはっきりしていれば、どういう仕事にリソースを注ぐか、そしてリソースをかけないかの四捨選択が可能となります。
そして、パーパスに基づいた人事的戦略とマーケティング対策をとれば
企業が理想とする人材を集め・育てやすくなるというのです。

僕は、特にこれはスタートアップ企業に見られる傾向で
それなりに馴染み深い感覚だなと思いました。

大体スタートアップの社長の周りには、友達やファンのような人たち、業界人が
チームにジョインして仕事を回している印象があります。

それは、立ち上げた社長がパーパスを体現しているため
その人と会社が提供する価値差がほとんどないことが理由だと思います。

実際のところは、そこからさらに拡大するにあたり
社長が人材を管理できなくなっていくため、こういったパーパスを定義し
チームに周知して活動はしていく必要性が発生していくと思うんです。

それに加えて、以前にも読んだHIGH OUTPUT MANAGEMENTの考え方が
事業を大きくするに当たっては必要だろうな〜と。

本著では、別にそこまでパーパス経営に言及がなされているわけではないのですが

質問自体に、これらが定義されてストーリーとして成り立っていないと
答えられない問いがかなり多く

結局経営してる人たちって「なんで仕事してるのか?」といった
哲学に行き着くんだな〜
なんて思うような内容でした。

あなたは自分のパーソナリティを全て「見える化」できますか?最終的に求められるのは人的資源の「見える化」です。

見えない要素を見える化すること。
全体を通してにうっすら言及されているな〜と思ったところです。

本著では、人材のことを資源(商品)のような位置付けで
説明をしています。
詰まるところ会社の利益の源泉として捉えるようにと言及しているみたいです。

人が価値を生み出すのですから、ある意味当たり前ですが
商品自体に重きを置きやすい日本人(主観)にとって
結構意識しないといけない要素な気がします。

その人的資本の価値を見出し、引き上げるためには
人間という最も見えずらい複雑な資源の見える化が必要です。

詰まるところはあらゆる活動を観測できるように
結構考えてね。といったメッセージが見えます。

大企業の例なども出しながら
正解はないため、自分にあった内容でカスタマイズをしてね。

と、そんな内容でした。

ただ、評価するにしてもリクルーティングから通期での評価、そして退職や
退職後の関係性に至るまで、非常に多義です。

本当に人事というのは複雑だなと本著を通じて感じることができました。

最近パーソナリティ分析でMBTIが流行ってる?のだと思うのですが
あれも一種の「見える化」です。
ただこの本の内容から見てみるとMBTIで人的資源を判断することは
正直表層的すぎてダメだと
揶揄されてしまうかもしれないですね・・・

※僕は課金して使ったことあります。あれはあれで自己分析のきっかけとして
とても良いものだと思いますが、多分企業がそれで検討してはダメな感じがします。

結局会社にとって理想の人的資本を獲得するには、人を育てるしかないし、自分の理念に共感する人を獲得するほうがいいらしい。

本著の最後に、
こういった「人的資本経営というのは、日本を変えるために必要だ」
という著者の言葉は特に自分の考えを改めさせられるものでした。

日本というのは、OJTを含めても労働者に対して教育する機会も少なければ
学ぼうという意識の労働者も少ない。というデータがあるそうです。

だから、人的資本経営というのは、経営にとって必要な人材を獲得して成長するだけではなく、社会貢献としても重要であると著者は言及をしています。

僕も思うことはある。特にカフェには多いことですが
勉強したいから雇ってください。というロジックで
応募してくる学生さんたちが多くいる。

カフェは特にバイト先としても人気な職場の一つ。
だが個人経営をしている人たちにとって、
受動的な人間を雇うことのほうがリスクが大きいと考える人が多い。

なので、SNSでも定期的に
「学びたいを理由にするのではなく、雇用主である自分に何を提供できるのか、プロフェッショナリズムを持って面接に臨め」
といった旨の投稿がバズる。

確かにそうだと思う。日本にいるうちはそう考えていました。
実際に受動的な要因で入ってくる人はリスクが高い。
学校と同じく学ぶ場として考えると、テイカーになりやすいからです。
自分ももちろん初めはそうでしたしね。

ただ、ドイツに来ると少し思うのが
そういった「学ぶために働く」というキャリアステップが用意されています。

それも年齢を問わず、学歴が一定以上あればある程度は自由度高く職業経験する機会があります。

ただ、日本ではある意味「新卒」という制度がメインで、他に学ぶための機会が少ないようにも思えてしまいます。

バイトなどの雇用形態でプロフェッショナリズムを求めすぎてしまう今の世の中は一体どうなのだろうか。とも思うことがあります。

だったら、本著で書いてあるように、人的資本経営に基づいて、その現場にほしい人材を適切な予算で最大限活用できるように教育できる環境を用意するほうが
個人的には正しいような気がします。

本著は本当にわかりやすく、かつ内容の濃い本なような気がしますし
色々と今後も参考にしながらいろんな用途で使用するだろうなと思わせる本です。

ただ、結局のところ理想とする人の獲得や教育をよくする事は
すぐにできるようなものではなく
企業として考え抜き、そしてアップデートし続けないといけない
容易ではないテーマなんだなと、改めて感じることができました。

ですので、正直特典であるワークシートや図だけを見ても
本質的には理解しづらく、本を熟読する必要もあれば、引用元も調べてみて
そこから自分たちのこととして下ろしていくことが求められる内容である気がします。

ただそうだとしても、値段以上の価値があるような本だった気がします。

改めておすすめです。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?