東京大学大学院情報理工学系研究科 UMP-JUSTプロジェクトの iPI( industrial Principal Investigator )に就任した話とお願い
東京大学大学院情報理工学系研究科とは?
「東京大学大学院情報理工学系研究科」というところには、コンピュータ科学・数理情報学・システム情報学・電子情報学・知能機械情報学・創造情報学の修士・博士課程があります。
私はその研究課を母体としたちょっと新しいUMP-JUSTという産学連携のプロジェクトで活動します。実はまだ決まっていないことだらけですが、逆にそれは自分次第という気もしています。動き始めたら公開できることは公開してゆきたいと思います。
UMP-JUSTとは?
UMP-JUSTの概要です。
UMP-JUSTでは、従来の共同研究の枠を超えて、技術創出・応用展開、社会人教育、教育連携、マッチング支援などを含む幅広い教育研究サポートを、産業界と大学とが一体となって進めていく仕組みを提供します。
ね?ちょっと面白そうですよね?
iPIって何?
正式には東京大学大学院情報理工学系研究科 UMP-JUSTプログラム iPI ( industrial Principal Investigator ※) という立場です。
※ iPIは、UMP-JUSTにおいて実施される恒久的ではないプロジェクトの推進にあたって、リーダーとして貢献するエキスパートの呼称
令和3年4月より大学院の産学連携について、どちらかというと産業サイドから関わらせて頂きます。
経緯を少し。
ある日「武井さん UMP-JUST という面白い産学連携のプロジェクトが東大の情報理工学系研究科ではじまったよ! 」と、知人からMessenger。更に「興味あったら、ちょっと遊びに来ない?」というお誘い。こんなご時世なので zoomで行けるし。ホイホイ参加してみたんです。これってコロナ禍ならではですよね。
画面の向こうに居たのは WIDE代表の江崎浩先生やACCESSの創業者、鎌田富久さんなど、日本のNETを背負って来た大先輩もちらほら。私もこの世界では相当古株だけれど、1980年代WIDEの頃は高校生で「萌」の啓蒙とか、パソコン通信とかリチャードストールマンの GNUとかにハマっていてパソコン(とパソコン通信)でUNIXを動かすことやオープオンソースコミュニティの運営に腐心してたので、アカデミアなインターネットからは遠かったんですよね。というか彼らは「表」の人で私は「裏」の人だったとも言えるでしょうか。1990年代に東大で唯一知っていたのはHHKの和田先生 だけでした。
(以下写真 2000年頃? 遊びで創ったHHKベースのOpenBSD機)
私がコミットした理由
私の会社・MARSFLAGに十分なお金や時間が無いのもあるけれど、それでもこれまでの旧態依然とした産学連携にITベンチャーとして可能性を感じていなかったんですよね。大学院が強い基礎研究と企業が強い事業応用には文化的に大きな谷があったと感じていました。しかしUMP-JUSTがこの谷を解消するために(も)デザインされている点に私は着目しました。
更に、私の会社からも大学院に対して3つほど貢献できる可能性があると思いました。「活きたビッグデータの提供」、「西海岸的ハッキング・カルチャー」そして「サーチエンジンのコア技術」です。
活きたビッグデータという価値
私たちMARSFLAGはB2Bサーチエンジンという狭い世界ながら実業で孤軍奮闘Googleと闘ってきていて思うんですが、AIって人材は大前提として、理論や実装のスマートさも大事ですけど、その辺はコモディティ化もしてきてるんです。で、結局「活きたビッグデータに研究者やプログラマがどれだけ触れられるか」と「仮説がすぐに検証できるか」が勝負なのかな、と感じていて、だからAIの牽引にはサーチエンジン企業が強いんでしょう。コロナ禍以前は北京大学やスタンフォード大学へ実際に産学連携について見てきたりしていましたので、つい私会議で叫んじゃったんですよね。
スタンフォード大学にGoogleがある。
精華大学・北京大学に百度がある。
だから、東京大学にはマーズフラッグが必要なのだ。
...と。企業規模とか、赤色巨星とニュートリノ素粒子くらい違いますけど、まあいいや。まず大事なのは気持ち。とはいえ結構な時間とお金を使う以上、結果が全てですから、私は私の会社の精鋭たちとこのプロジェクトで結果を出したいと思っています。
意思を持って中の人になった
当初はUMP-JUSTに産学連携の参加企業として加わるだけの予定でした。しかし、私が貢献できると考えた価値を大学院に提供するにはブレイクスルーしなければならない壁があるのも認識しはじめました。
その壁の解決方法を考え進めるうちに「いち、参加企業の社長」ではダメで「自分事として取り組み、外部にも発信して、大企業や政府にも仲間を創って行かないとだめだ」と感じたからです。
「XXXがやってるこのプロジェクト面白いから乗りましょうよ!」ではなく「私がやってるこのプロジェクト」でないと誰も乗ってきてくれないんだろうなぁと。それで手を挙げさせていただき、承認を頂きました。
東大の情報オープンプラットフォームの夢
みなさん、考えてもみてください。コロナ禍で情報空間は更に拡張されて、情報社会が一気にリアルにも入り込んでいますが、データの利活用についてはどうでしょうか?特に個人情報。何を守り、何を提供すれば便利なのか。このトレードオフ問題で語られなければならないのは「誰が」ではないでしょうか。政府でしょうか? ITのメガカンパニーでしょうか?なんか怖くないですか? 社会的価値は最大ですか?
これをやるとしたら、東大なら素晴らしいですよね。この夢は江崎先生が熱く語っていましたので、私にできることから少し追いかけてみたいです。どこまで実現するのか解りませんが、このコロナ禍を好機として捉えず行動しないならば、逆にいつがチャンスなんでしょうか?
理系力を推進力にするために
私、武井塾 という理数ギフテッドの子供達に集まってもらって「もんのすごい講師とごった煮にする」というのをやってますが、その発起人のデイジーさんの魂の叫び、少し量がありますが、是非読んでみてください。
... 読んで頂けました? で、私は少なくとも現時点で理数系のギフテッド達を政治の世界に送り込んでも台湾のような雰囲気へとは変わっていけないと思っています。オードリー・タンさんが実力を発揮する為にはその前提もあったわけです。でも日本を変えたい。変えるなら大人より若者ですよね。
武井塾の塾生らも、東大の情報理工学系学生も同じ若き理数ギフテッドですから、少しでもこの「ブっ壊れたオッサン」と触れ合うことで何かを感じ、将来その中から面白い人材が排出される可能性があるのならば、そちらの面でも今回はやってみたいと思いました。
まとめ・iPIとして取り組みたいこと
・大学院生に超スピードのIT生体験を
これまでの産学連携にあったような狭い分野の専門的なもの以外にも、柔軟な視座でアーティスティック、クリエイティブに富んだ発想をベースに学生と楽しくアイデアソンや開発をやってみたいです。現在コロナ禍で在宅研究でしょうから在宅リモートで学内インターンを体験して欲しいです。論文の邪魔をしない程度に。
・情報オープンプラットフォームへの貢献
活きたビッグデータを国の管理下ではなく、いち巨大IT企業の私物でもなく、アカデミアで中立的な場所に置いて活用したいし、してもらいたい。それはWIDEの思想にも似ているし江崎先生ならできるかもしれない。
お願い
実現には皆さんの協力が必要です。今後相談やお願いをする事があると思いますが、何卒よろしくお願いします。「それは前例が無いから難しい」ではなく「面白そうだね、どうすれば出来るか一緒に考えましょう!」と受け入れていただければありがたいです。
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