八日目の蝉 解説編(3)
「社会の慣習と調和しない個性を排除して既存の慣習に縛られたままでいると、世の中は進歩しない」。
「多様性があれば、みんながもっとよくなるような秩序を手に入れられる」。
といった J.S.ミルの主張を「都合よく誤解(笑)」している人たちがいます。
「既存の慣習に縛られるな」を「法律を無視しろ」と解釈するなど論外ですし、「多様性」は「反社会的行動に寛容である」ことを意味しません。
ミルが注意喚起したかったのは、考え方や生き方が異なる人に「行動規範を押し付けたり、特定の文化でしか通用しない掟を押し付けたり」といった無知な人々の専制を防止するための方策が必要、ということですので、お間違いなく(笑)。
アイザイア・バーリンが「消極的自由を『権利』として保障すべき」と主張したのは、民主主義においては積極的自由に基づく専制になる危険性を孕んでいるから。
民主主義国家にあっては、国民の選択能力が低くなると、「判断力の未熟な個人に、国家や階級や民族が合理的な選択肢をあてがう」という形で強制が行われる危険性があるってこと。
あるフォロワーさんが、熟慮し、議論することの大切さを訴えてきたオイラの真意を理解してくれなかったこと、大変残念に思います(笑)。
民主主義国家の衆愚政治への転化だけでなく、ムッソリーニのファシズム、ヒトラーや社会主義・共産主義による全体主義で、自由、独立、多様性の抑圧が起きたからこそ、バーリンは消極的自由を積極的自由の上位に置いたのでした。
世の中は時間と共に直線的に良くなるわけではありません。
なぜなら、人間は歴史に学ばず、過ちを繰り返す存在だから。
中国の習とロシアのプーチンは、強い国の「復活」を約束しました。
そして、ポピュリスト(大衆迎合主義者)の愛国主義に訴えて排外主義をあおり、国営メディアを使ったプロパガンダで、力強い指導者のイメージを作り上げてきました。
両者は、世界の脅威でしかありませんね。
アリストテレスによれば、「正義」は人間が善い人であるための「徳」であり、法を破らず他者に正しく行為できること。
そして、「正義」の本質は平等であると。
であるなら、被害者の人権と加害者の人権は平等でなければなりません。
暗殺者の減刑嘆願は、「既存の慣習に縛られるな」や「多様性」とは別物ですし、明らかに正義の定義から外れていますから。
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心理学の実験から、
「自分に起きる可能性」ー「他人に起きる可能性」≒ - 30数%〜58数%
であることが判明しました。
この結果は、人間は「自分だけは大丈夫」という非現実的な考えに陥る習性を持っていると解釈できます。
現実的に考えると不愉快な気分になるから、考えないようにする〜歪めて解釈しようとする(非現実的な考え(妄想))ことで、心の安寧を得るってわけ。
自分のイデオロギーと合わない政治家が暗殺されたことを喜ぶあまり、間違った法の運用を嘆願するとは、なんと愚かなのでしょう。
犯罪に出会うリスクは誰にでも等しく存在しているのですし、刑が正しく執行されなければ、ホッブズの言う「人間が人間に対して狼たる」戦争状態となってしまいますからね。
https://note.com/gashin_syoutan/n/n47b4f6467a72
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何かを語るには、「実際に~したら(起こったら)」という脳内シミュレーションが欠かせません。
https://note.com/gashin_syoutan/n/n8c77cdb4d12c
脳内シミュレーションと言えば、ミラーニューロン。
オイラたちの脳にミラーニューロンがあることで、あたかも幽体離脱しているかのように他人の視点から自分を眺められます。
要するに、ミラーニューロンとは、他者の意図をモニターする回路ってこと。
さらに、模倣することで実体験しなくても、TPOに合った行動ができるようになり、他者との関係性は良好に。
「子供は親の背中を見て育つ」と言われています。親をモデル(見本)として子供は、日々、親と生活することで、知らないうちに「人の心を持つようになる= 社会化される」のです。
さらに、学校生活でも、利己性を抑制できる作法を身につけていきます。
「心は脳の外からやってくる」ってところでしょうか。
ところが、どの立場にも属さず自分を安全域に置いたまま理想論を振りかざす親の子供は人を信用できず、疑心暗鬼に陥ります。
互いが自己保身に走ってしまい、相互不信が増幅されると、人権はただの「機械仕掛けの人権」になってしまいます。
そして、「機械仕掛けの理性」がもたらす社会は、赦しのない社会。
そうならないためには、承認の有無を目安にするのではなく、自他のアイデンティティを互いに認め合おうという共同主観的なシステム思考が大事。
認めたくない人もいるでしょうが、家族や信頼できる養育者って大事なんですよ。
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https://note.com/mikochan/n/n00273ea0d543?magazine_key=m7591be16a385
オイラは、因果応報を知ってますし、ホイッスル・ブロワーを自認しています。
ホイッスル・ブロワー: 会社が違法行為、不正行為をしている時、それを止めるよう勇気をもって声を上げる人のこと。
つまり、オイラは「長いものに巻かれろ」が苦手なタイプってこと。
ところが、一般的には「この意見は多数らしい」と推測する能力が備わっている ➡︎ 「長いものに巻かれろ」となるのでした。
https://note.com/gashin_syoutan/n/n14fd1b25fbdd
表現を変えれば、「あるイデオロギー」に傾倒している人に混じって、何も考えておらず、自分で選んだ気になっているけど、ただただ同調圧力に推されやすいのが、大衆ってこと。
そんな大衆を洗脳し、扇動するのがマスコミ。
コメントから、猫ムスメちゃんはオイラと同じホイッスル・ブロワーとお見受けしました(笑)。
猫ムスメちゃんが指摘しているのは、アラン・バディウのいう超越論的腐敗への懸念です。
超越論的腐敗とは、規範的な判断、徳や善の価値を持った判断の場が失われてしまい、多様で、散乱している利害だけが対立している状態のこと。
では、判断力の未熟な個人による利害の対立を正し、国民が徳や善の価値と高い選択能力を持つようになるために、必要なものは何なのでしょう?
答えは、言うまでもなく教育ですね。
J.S.ミルは言いました。
人間性の完成に至るためには、知性教育、道徳教育、情操教育の3つが揃うことだと。
明らかに、戦後教育とはモノが違います(笑)。
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以前も書きましたが、ヘソ曲がりのオイラ、中学生の頃から、紅白歌合戦と高校野球を観ていません。
聞くところによると、高校野球では、ガッツポーズをするのは禁止だとか。
ガッツポーズは無意識に出る喜びの感情表現です。
「喜ばしい時に喜ぶな」とは、さすが朝日・毎日新聞が主催しているだけのことはありますね。
オイラと同じ位、ヘソ曲がりですわ(笑)。
勝者が喜んではいけないのですから、優勝したら、お祭り騒ぎどころか、お葬式並みに沈んでいるのでしょうね。
前回の記事で減刑嘆願を出すに至った理由をいろいろ考えてきました。
https://note.com/gashin_syoutan/n/n0710dac6ddd7
ところが、減刑嘆願の理由を知ると、思わず膝が折れてしまいました。
なにしろ、オイラが考えたことと別次元なんですから(笑)。
これで赦されるって考える人がいることに驚き(笑)。
奇抜な行為をする人は芸術家としての評価を高めるという心理学的実験がありますが、まさか、芸術家気取りで減刑嘆願した訳じゃないでしょうね。
オイラも子供の頃、先生にお願いすればよかったなぁ(笑)。
って。
まあ、努力家でもないし、生育環境についてもウソですから、ダメでしょうがね(笑)。
「勝者が喜んではいけない」高校野球を主催するヘソ曲がりの新聞社にとって、「暗殺された被害者 安倍元首相の死を悼んではいけない」がデフォルトでないことを祈りたいものです。
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ボッサードの法則では、近くに住んでいればいるほど、結婚する可能性が高まるのに対して、遠く離れた者同士では、可能性が小さくなります。
理由は、遠く離れた者同士では、お互いに顔を合わせる機会がなく、恋愛がスタートすることがないから。
ところが、いました、いました。
大阪教育大学附属池田小学校に侵入し、児童8人を出刃包丁で殺害、15人を負傷させた宅間守と獄中婚したA子さん。
A子さん、まさか、見合い結婚を否定する人ではないですよね(笑)。
結局、A子さんたちの赦せる気分、わかった気分はイデオロギーのせいでした。
死刑廃止の「手段でしかない結婚」の相手に選ばれたんですから、宅間も自業自得ってやつですね(笑)。
A子さんのミラーニューロンは明らかに機能不全に陥っています。
もし、遺族の気持ちを脳内シミュレーションできているのであれば、何はなくとも、被害者家族ファーストとなっていたはず。
ところで、結婚を手段にしているって、それ福島瑞穂さんも同じじゃないですか(笑)。
https://note.com/mikochan/n/n9a2dd5e9eb40?magazine_key=m7591be16a385
to be continued
懺悔 : 3回にわたってお送りしてまいりましたが、次回で終わりですので、ご勘弁を(笑)。
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