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文学フリマ東京35に行ってきました。

 2022年11月20日に開催された文学フリマ東京35に参加というか、遊びに行きました。私はねじれ双角錐群のアンソロジー「故障かなと思ったら」に『故障とは言うまいね?』という作品を上梓させていただきました。アンソロのテーマが「説明書」ということで、説明書の価値が爆上がりした世界で説明書作りをする少年少女の話となっております。何だそれは。

 久々の同人誌への寄稿&オフイベントへの参加ということで、いつもは自己完結する小説への取り組みが一変し、外気に感性を触れさせる刺激ある機会となりました。このような機会を与えてくれた、ねじれ双角錐群という超名門SF文芸サークルの主宰。そして、拙作にコメントを寄せてくれたり、アイデアをくれたりした群員の方々には感謝の言葉しかありません。ありがとうございます。

 大した結果も出ぬままに出るのは腹だけとなった、ベテランの域に達した小説書きは孤独です。昔から一緒に書いていた仲間たちは一人二人とプロになったり別の分野に進んだりと偉くなったりすごくなったり丸くなったりして、次第に交流が減っていってしまいました。加えて、私自身も何だか書けば書くほど人間の声を聴くのが嫌になってしまい、次第に自分の殻の中に閉じこもりがちになってしまいました。別に作品についてああだこうだと言い合う交流がどうのではなくて、誰かの思考と自分の思考を並列化することで誰かと自分の声の区別がつかなくなって怖くなったのです。そういう環境から最近は逃げ続けていました。

 結果として、小説への取り組みは以前よりも真正面からぶつかっていけるようになり、縦横無尽に思考が広がるようになりました。それ自体は良いことなのですが、それはそれとして自分の小説を読んでもらって感想をもらうのとか、誰かの小説を読んで感想を吐き出すのとか、そういうのもやっぱり好きなんだなと今回のお誘いを頂いて再確認しました。だから、どこででも何度でもお礼を述べたく思います。

 近況にも書きましたが、12万字の原稿をボツにして新しいのを書き始めました。行き詰まったとかそういうことではなく、もう10万字いった辺りから終わりは見えていてあとは書くだけだったのですが、きっとこのまま書いていても面白くはならないし、推敲でどうのこうのするよりは書き直したほうが早いなということでボツにしてしまいました。なので、精神的には一作書き終えて推敲を開始くらいのノリなので、別に当然の流れじゃね? といった感じです。二ヶ月ぐらいゴミに捨ててますが、まあ、それはそれで。

 こういった決断が迷いなく出来るのも「面白さ最優先でやっていこう」と考える自分がしっかり確立できているからで、いい傾向だと思っています。

 そんなゴダゴダというかグダグダの最中で今回のようなイベントに足を運び、様々な創作に打ち込む人達を見ると、何だか自分もこのまま歩いていて良いんだなあと思えて癒やされました。良いイベントでした。後半はバロック音楽の古い楽譜を研究している方が居られたので、興味本位で話しかけて長々と中世音楽の楽譜と楽器の歴史についてをお話してもらったので、とても刺激ある一日となりました(もちろん本も何冊か買わせていただきました。機会があればまたご紹介します)。

 ねじれ双角錐群のアンソロジー「故障かなと思ったら」は後日、通販も行われるようなので、気になった方は是非ともお求めくださいませ。すごく良い本です。内容もそして表紙もうっとりするほどです。本としても美しくて、絶対にお部屋に飾りたくなりますよ。よろしくおねがいします。

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