奈良旅行記2「大化の改新を巡る冒険のロマン」
はるか古の、ある朝のできごと
夜半から降り続いた雨は夜が明けても止むことはなかったと言われている。
長方形の建物の周囲には武装した多くの人々が行き交っていた。彼らが気にするのはぬかるんだ足元などではなくて、どうやら不審者の接近のようだった。
多勢に守護された建造物は、周囲を多くの柱に支えられて持ち上げられている。横長の屋根は山々の尾根を思わせるほど広く長かった。
後に「板蓋宮」と呼ばれることになる、この国の政の中核を担う場である。
日の出の時刻より続く雨のせいで辺