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映画 関心領域

設定が面白そうで気になって観に行った。感想については後述します。

いつも映画を観たあとは、2000円分完ぺきに楽しめている自信がないので映画評や鑑賞レビューを読むんだけど、毎回まじでありがたいな〜と思う。
"映画を観て自分の中で消化して感想を述べる"って
簡単なことに思えるけど私には中々できない。まず1人で咀嚼出来ない。映画に散りばめられたメッセージがウィットに富みすぎて自分じゃ噛み砕けないのだ。なので他人のレビューを助けに消化を進める。
そしてそのままレビューを読み進めると、鑑賞中にかすかに覚えた感覚が華麗に言語化された状態で出てくるので、それをさも自分の生み出した感想だと思い込んで自分の引き出しに片付ける。
時々友達に、元から自分のものだったように披露したりすることもある。上げ膳据え膳からの他人のふんどし。なんとも情けない。映画を観てるのかレビューを読んでるのかどっちがメインか分からない。

映画を観てる時は、もちろん喋ったりスマホで調べたりが出来ないので、時代背景とか映画独特の表現とかを、その場で自分の持ち合わせだけで受け止めないといけない。だから前提知識が少ないと結構詰んでしまうし、ストーリーを追うのが精一杯なときもある。ちゃんと吸収しきれないのなら戦争映画や歴史映画を観なければいいと思いながら、毎回映画館で観る時はそういうのを選んでしまう。
あと、映画はみんなで観てるから止まって待ってくれない。なにかのシーンから別のことを連想したり他の考えごとをしてる間にストーリーは着々と進んでいく。
単に集中力がなくて映画に向かないタイプなのかもしれないけど、キャラメルポップコーンの匂いに包まれて真っ暗な部屋で観る歴史の映画は最高なのだ。

という訳で、なんとかストーリーを追って楽しく映画鑑賞するところまではいけるんだけど、そこから映画通しか分からないオマージュを楽しんだり、作品を通して伝えたい監督のメッセージとかを読み取って、自分の中に落とし込んでアウトプットする、という余力はない。
だから他人の映画知識と感想をつまみ食いして、映画を観た実体験とドッキングさせて片付けておく。もうたいていこれがワンセットだ。
昔から映画評論のラジオをよく聴いてきたし、ほんとは映画より人の映画評をエンタメとして楽しんでいるのかも。

タイトルにした関心領域について全く触れてこなかったので、ここから感想を書きます。
ちなみにさっきまでの話は、世の映画評に対するありがたさをいきなり説いただけなので、このあとの話とは一切関係がない。すみません。

この映画についてだけど、上記で述べたような難しさはなく、作品を通して伝えたいことがある程度予想出来る映画だった。

特殊な空間における異常なまでの無関心さを、敢えておどろおどろしくない表現で描き、浮き彫りにすることで、自分たちも彼らと同じように領域外のことに無関心を決め込んでいないだろうか?という内省を観客に促している作品に思えた。
もしこれが分かりやすく殺人とか大量虐殺とかであれば、自分はあの時代に生きたとしてもこんなことしたりしない、とはっきり言えるし、内省には繋がらないだろう。

ただ、自分の感想としては
比較的メッセージが強く分かりやすい映画だったけど、(監督の思惑とは裏腹に)彼らの異常性を怖がることはあまり出来なかった。実際にレビューでも怖かった、つまらなかったの賛否が分かれている。
あの空間で聞こえてくる人やその他もろもろの音については、舞台設定上聞こえるだろうなと鑑賞前から思っていたし、当時のドイツサイドから見たユダヤ人像からすればあれくらいするだろう、と予想を上回るまでいかなかった。
なんというか、人のキャパなんてそんなに大きくないんだし、そうなっちゃうよな、という気持ちが先行して、自分と比較して彼らの異常性を怖がる、という体験には至らなかった。むしろ今の世の中でもそうだけど、例えば自分の生活と直接の関わりが薄い地域の、現在進行形で起きている紛争や水・食料不足問題など全てに自分ごととして足を突っ込むことなんて不可能だと思う。ネットがあるからみんな知ってるだけで、全然人間のキャパ超えた話だから。それをこの映画から感化されて、自分の無関心さに改めて気づきを得て欲しい、と思って作ってたとしたらやだなあ、と思った。


ここまで読んでくれる人なんてそうそういないだろうから正直に言うと、あれは出オチ映画ですね。
設定自体はめちゃめちゃ面白そうで、目の付け所ががいいな、と思う。ピュートのコントの設定くらき好き。だから結構楽しみだったし、その分期待を上回らなかった、という事実だけが残ってしまった。

あとこれは映画の良し悪しに含めるのは申し訳ないけれど、観に行った映画館が食事禁止のためキャラメルポップコーンの香りがしなかったのも個人的には残念だった。

おわり!

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