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「がんばろう 日本!国民協議会」第11回埼玉読者会(12月)

これは、「がんばろう 日本!国民協議会(http://www.ganbarou-nippon.ne.jp/)の機関紙、「日本再生」の読者が毎月行っている読者会のうち、埼玉の会の報告です。
日本再生1面のPDFはこちら

「今回のテーマ」
① 合意形成における共通用語とは 
② あなたの自己承認欲求とは 
③ 完全無欠の理論的無関心とご都合主義 

【SUMMARY】
新自由主義がバラバラにした人間同士の信頼や尊厳をとりもどす。そのためには民主主義の復元力が必要である、それにはあらゆるところにコモンズが必要であり、そのコモンズを形成するための共通用語、共通理解を作り上げていく土壌が必要であるということが今回のまとめとなりました。まずは私たちが社会に関心を持ち、自分自身の考えを深め、また周囲と話し合う機会を作ることが最初のステップになります。

社会にコモンズが成り立つための「共通用語」とは

2020年最後の読者会は、「合意形成における共通用語」とはどういうことなのかについて論議を開始。まずは私たち自身が、複数のテーマに関して自分たちの現状や意見を聴きあい、その中で共通していることが沢山あるという理解ができるようになってきているという感想からはじまりました。これは単に相手の話を聞いて理解する、ということではなく、1年を通して各メンバーの取り組みや考えてきたこと、行動してきたことをお互いが知り、発言に関して当事者の視点で考えられるようになってきたことから見えてきたものです。ただ、これが小さな集まりではなく、複数のコモンズを「社会」として受け入れあう大きな「場」を創る場合はそう簡単ではなく、例えば他国の民族も文化もすべて違う人々を受け入れていくためには様々な人が様々なところで骨を折り、苦労をする、相当な覚悟が必要であるし、同じ言葉を使っていてもそれが「共通の認識(用語)」であるかどうかについては度々確認しあうことを忘れてはいけないという新しい課題も見えました。(スウェーデンでの外国人流入ついての国民の困難事例等)
また、各自の活動において、「保険」に入る意味についての話題が提供され、保険は確かに便利で安心だけれど、例えば子ども食堂を実施している団体はすべて「子ども食堂保険(中毒などが起こった場合の保障)」に入る必要があるのだろうか、提供する側も受ける側も、子ども食堂という「共同体」の一員としての役割をそれぞれが果たしているのだというパブリックに対する共通認識があれば、そこには連帯感や責任感が生じてくるのではないかという発言があり、誰か一人が頑張って責任を負うのではなく、誰か一人が頑張るという状況をつくらないような社会を創ることが大きなテーマであるという意見につながりました。

新しい価値観で自己を肯定するために

次に、「自己承認」については、アブラハム・ハロルド・マズロー(アメリカの心理学者)の、「自己実現のための欲求の5段階説」が挙げられました。自己責任が問われる社会では低所得者層のところが生存と安全(1段階と2段階)以上の段階を踏むことができず、仮に1段、2段をクリアした場合でも3段階目の社会帰属の部分を新自由主義が壊してしまったために集団に属するという欲求が完全には満たされないまま、4段階目(承認欲求)を求める人が多いのではないかという意見が出されました。自己承認に関してはこれまでの30年間は物質的な豊かさを評価の基準としてきたが、新自由主義が破綻し、世の中が非物質的な価値観に推移してきた現在では自分が認められる指標がわからないために満足をしないのではないか、各自が自分で納得し、自分を肯定できるように生き方を変え、社会を変えていかなければという意見もだされました

高度不信社会からの復元のカギとなるものは

「完全無欠の理論的無関心とご都合主義」に関しては、各自がこの言葉についてどういう印象を持っているかについて発言がありました。機関紙の、キング牧師の発言「この世で本当の無知と良心的な愚かさ程危険なものはない」を引用し、この言葉自体が完全無欠の理論的無関心とご都合主義を言い換えたものであるという意見。新自由主義が台頭していた時代に、とても長い時間をかけて理論的無関心な社会をつくってきてしまった、また自分もその社会の形成に加担してきたのも事実であるという意見。人間関係も含め、社会がここまで破局してきたのは確かだけれど、ではここからどう復元していくのか、民主主義の復元力とは実際どういったものになるのかといった意見が出されました。
これを機関紙では「民主主義とファシズムや、権威主義を隔てているのは、万里の長城ではなく、「やわらかいガードレール」(レビツキー&ジブラット「民主主義の死に方」)でしかない。その柔らかいガードレールの復元力や自己修正力こそが、民主主義の強さであり、その源泉は人々の自己統治や自己決定の絶え間ない深化とそこから生み出される新たな公論だ」と表現されています。まずは私たち自身が「絶え間ない深化」に関心を持ち、読者会に臨む。そのうえで議論を繰り返していくことが、「コモンズを作る」上で重要である、「「異なる立場ではあるが、合意できる共通の価値は何か」という議論を積み重ねていく多様なプロセス」(機関紙497号)につながるというまとめとなりました。

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