見出し画像

離婚をすると決めて、生活を共にしていた時に発覚した母の癌

タイトルにも前回の記事にもある通り、僕と彼女は離婚をすることを決めて生活を送っていました。

籍を外すことで様々な面でめんどくさいことや、生活をするにあたっての不便があったので、籍を外すのは実際に離れる時にしよう、という2人の話し合いの元生活をしていました。

そんな生活をしていた時のこと、母とは数ヶ月に1度顔を合わせ、食事をしたりしているぐらいの関係性には戻っていました。

母が突然と姿を消してしまったり、色々なことはありましたが、僕にとってはたった1人の母であり、そのことがあるまではとても親身になって、僕のことを育ててくれていたと僕は感じていたので、どうしても嫌いになることはありませんでした。

結論から言うと母は肺がんを患ってしまったのですが、最初の初期症状はとてもわかりにくく、

「最近肩こりがひどくてね、時々背中も痛くなるんよ、階段とかあがってもすぐに息切れもするし、歳とるのは嫌やわー。」

と言っていたので、僕も「歳とったらみんなそんなもんよ、歳には勝てんしね」
なんて呑気なことを言っていました。

この時に病院で検査をしていればまだ早めの発見だったのかもしれなかったのですが、まさかそんなことにもなるとも思わず生活をしていました。

当時の母は59歳とそれなりの年齢だと思っていたのですが、後々に知ったことですが、病院の先生からするとまだ若い方に入るので、病気の進行は比較的早いんだということを教えられました。

それを知る前の段階で、1、2ヶ月空いて会話していると、会う度に背中や肩の痛さが増していたり、息切れするのが早くなったりしていました。

最初は体のコリだと判断して整骨院に通っていたのですが、2週間ほどしても一向によくならないということで整骨院の先生から、「1度検査してもらった方がいいですよ」と言われ、病院へ向かいました。

その日は仕事で付いていくことが出来なかったのですが、検査後に母と一緒に暮らしている人から連絡がきました。

「だーすけ、肺癌やったわ。ステージIVらしい。リンパにも転移してるって言われた。」

僕は仕事終わりで駐輪場にいたのですが、頭が真っ白になり、まともに立っていられなくなりました。

僕は
「そうですか…わかりました。ありがとうございます。」
としか言うことが出来ず、そのまま電話を切りました。

電話を切ると同時に、涙が溢れて止まりませんでした。
たくさんの人が行き交う中、僕は下を向いて涙を流すことしか出来なかった。

早過ぎる。
まだ親孝行を何もしていないし、なんでこんなに辛くてしんどい人生なんだ。

全てが嫌になり、そのことしか頭の中が巡らなくなり、1時間以上その場から動くことが出来ませんでした。
 
ようやく落ち着きを取り戻した時には、「まだ終わりを迎えるって確定した訳では無いし、母には出来るだけ普通に接しよう。」

そう思ってはいたのですが、母と会ったり話をする度に自分の心がすり減っていく感覚がありました。

全てのことは一応彼女にも話をし、励ましてくれたりもしてくれていました。

そんな僕の心が弱っていた時に優しくしてくれる彼女をみて、もう一度最初からやり直せないかという気持ちが出始めて、改めて話をしてみましたが、彼女の答えはNoでした。

そのこともまた、僕の心を少しずつ蝕んでいく要因になっていました。

話は戻り、母はすぐに片方の肺の半分を摘出し、リンパ節もとり、怪しいと思われる場所も全て手術で取り除きました。

それから1ヶ月すると、抗がん剤の治療が始まることになっていったのですが、母は僕たちの前では辛そうな顔を見せることはありませんでした。

時折、「しんどいわー」と言葉に出すことがあったのですが、そのしんどさを見せない母の姿に尊敬の念を抱きつつも、逆にそれが、無理をしてそうしていることがわかるが故の辛さがありました。

そうこうしている時に、社員として働いていたパチンコ屋の主任から連絡があり、人があまりに足りなくてどうにも回らなくなったから助けてくれないか?と言われ、格安SIMカードの販売員は残業があったり、時間の融通が聞かなかったこともあり、母のお見舞いや看病に使える時間を増やすため、パチンコ屋にバイトとして戻ることに決めました。

母の抗がん剤治療は、母の体力的になかなか上手くいかず、途中で中止にすることになりました。

それからは毎月、検査の為に丸一日病院に通ったり、癌の他にも甲状腺の病気があったので、大体2週間に1度は付き添いで病院へいっていました。

そして手術から約1年が過ぎた頃、離婚の手続きをし離れることになりました。

母の癌も落ち着きを見せていたのですが、その頃僕は借金の方へ回せるお金は残っておらず、母の治療費などに費やしていたりして、その日を生きることで精一杯でした。

余裕のない毎日を過ごしていたのですが、無事に離婚も終え、再スタートを切ろうとしていた矢先のこと。

僕の人生の歯車はまだ良くなる兆しを見せず、また気持ちの落ちる出来事が襲ってきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?