【がん治療記x受験奮闘記】手術

 手術室の前に来た時僕は若干の緊張と興奮を覚えた。初めて入るその部屋に興味をそそられていた。部屋に入るとそこにはドラマで見るような大きなライトがあり、その他の設備ももっと観察したいと思った。ただ、そんなことを考える暇もなく看護師さんから再度チェックを受け、上半身の服を脱いでベッドに座るよう指示された。こんな状況でも女性に脱げと言われることに何かを感じてしまう僕は異常だろうか。ベッドに横たわった後、点滴による全身麻酔に入る。だんだんと体が熱くなってくることを伝えられる。その数秒後、まさにその言葉の通り、体の内側が燃えるように熱くなっていくのを感じた。その感覚は興味深く、どこか心地良く、そのまま僕の意識は遠退いていった。
 目を覚ます。あっという間だった。一瞬の出来事のように感じた。両親が声をかけている。頭がボーっとしたまま僕はそれに答えた気がする。ただ何を言われたのか、何を言おうとしたのか、全く覚えていない。
 気が付くと僕は集中治療室(GICU)にいた。足では機械がふくらはぎを圧迫したり、弛緩したりを繰り返している。陰部には尿道カテーテル入っていて、とてつもない違和感を覚えさせてくる。頭の傷口が痛む。頭がぼやけている中、体中に不快感を覚えた。

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