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ゲーマーなエンジニアの読書術

自分はエンジニアを生業としているものの重度のゲーマーで、本質的にはゲームをしたり、ゲームに付いて考えたり、ゲームのレビューをする事が自分の目的であり人生であると考えています。

仕事は社会的に、或いは身体的にこの世界に存在するために必要なのでやっているけど、本質的には仕事に向いている脳でもなく、仕事への方向性を嗜好もしていないのです。

ただエンジニアは考える・調整(交渉)する・何かを作る(設定やコーディング)・何かを書く(資料や手順書)という4つの主な工程・作業があり、それらはゲームを考える際にも役立っています。

後は、何かを読むという作業もエンジニアには非常に多いです。
特に技術書、何かの技術的なサイトの文章、会社の部内や他社の人間が書いた設計書、手順書のレビューやメール・・・これら読む必要がある物が大量にあります。
その全てを詳細に、事細かに見てはいられないので、どこを注視しどこを端折るかのテクニックが合った方が良いです。

如何にして苦痛を感じずに読み飛ばしながら本や文字を読むか。
その一部をnoteで掲載します。
(見出し画像クリエイター:月猫ゆめや様)


ゲーマーなエンジニアの読書術

ほとんどの本はどうでもいい内容で水増しされている

まず、市販の普通の本はページ数が多すぎて読む気がしません。
特に技術書は大体大判で、何100ページもあるのが普通です。
元々読書は嫌いではなかったものの、資格の勉強のために600ページ以上はあろうかという分厚い本を読んで、本を読む事が苦痛に感じるようになりました。
今では、ページ数300ページを越える本を読むのは、読む前に体質的に拒否反応が出て無理と思うまでになっています。

300ページもある本は一字一句読んでいられません。そこで、本を読む時は、重要そうな部分はちゃんと読みますが、重要そうでない部分は流し見で端折るか、もしくは全く読まずページを飛ばしたり、章自体完全に飛ばしたりします。

市販の本というのはページ数が決められていて、極端にページが多い本や短い本は出版社からは発売されません。(個人出版は除く。)
著者は書きたい部分を書いても、(売り物の本としての)ページ数が足りない場合、編集者から「後何ページ書くように」等と言われているのではないでしょうか。
つまり、そこで起きるのがページ数の水増しです。

世に出ている本を読んで思うのは、
・大して重要でない
・著者が書きたいと思っているわけではない
・本の核心ではない部分
これらにも多数のページが割かれていて、その水増しされた部分は「読む価値がない(薄い)」という事です。

大体、本の3割は読む価値がない内容で占められていると感じます。

<市販の本の一般的な構造>

  • 【著者が書きたいパート/核心的な情報】(7割)

  • 【水増しされた部分】(3割)

極端な例を挙げます。
<例えば、大学で取った講義で担当教員や教授が講義の教科書として指定している本があり、学内の生協でそれらの本が置いてあります。
学生は単位を取るためには指定の本を買わざるを得ないのですが、それらの本の大半は内容が薄く水増しされているか、または学生には到底理解出来ない、著者にしか分からない独り善がりの内容で埋め尽くされているかのどちらかが多いです。>

※こうした「駄本」は当然書店やECサイトでは売れないため、少しでも売り上げを稼ぐために講義で指定の教科書としているのだろうと思います。
これらの本をまともに一字一句読む事は時間の無駄です。

これに近い事が市販の本でも行われています。
こうした
・水増しページ
・今の自分にとって価値を感じないページ
・どうでもいいと感じられた章
を読み飛ばす事で、300ページを超える本でも何とか読み終えられます。
仮に水増しページが(300ページのうち)90ページあるとすると、その部分を読まないことで残りは210ページになり、何とか読み終えそうなページ数まで減らすことが出来ます。

勿論最初からそうした駄本を買わないに越した事はないのですが、残念ながら本の内容を把握するには、ある程度(大体30~50ページ程度)読むまでは分かりません。
結局、当たりの本は1割程度と割り切って、ある程度数を打って当たりの本を引く精度を高めて行くしかなさそうです。

読書で飽きないため何冊かを平行して読む

一冊の本を集中して読むと、必ずどこかで飽きて読むのが億劫になります。
特に自分は飽きっぽいため、同じような内容が書かれた本のパートが延々と続くと投げ出したくなります。

そういう時は読み飛ばすのもありですが、一旦その本を閉じて別の読み掛けていた本を続きから読む事も多いです。
すると、また別の本なので、新たな気持ちで飽きずに読む事が出来ます。
が、そこでも飽きてしまう場合は、一旦本を閉じて別の事をした方がいいかもしれません。
とにかく読書では無理をせず、読みたいと思った時だけ読むのが一番いいです。

重要そうな部分はハイライトを付けておいて後で一気見する

自分は電子書籍のAmazon Kindleで本を購入していて、漫画も合わせるとKindleの本は300冊以上あります。
Kindleにはメモや注釈、ハイライト等で気になる部分をマークしておける機能が幾つかあります。
自分が主に使うのはハイライトです。

スマホアプリでも本を読めますが、文字が小さいため、主にKindleを読むのはPCにHDMI接続した大画面モニターです。

Kindleで本を開き、文字をマウスでドラッグするとその部分に色が付けられます。色の部分がハイライトです。
ハイライトを引くと一目で自分がどこに色を付けたのかが分かり、重要な部分を見分けられます。
更に、ハイライトを付けた箇所のみを一覧で見る事が出来ます。
以下のURLは自分のアカウントでKindleにハイライトを付けた箇所が一覧表示されます。

https://read.amazon.co.jp/notebook

これは自分がハイライトを付けた本を上記のURLで開いた例ですが、ハイライトを付けた場所が本毎に一覧表示されるので、自分がどこを重要と思ったのか直ぐに分かります。
(黒字は文字を全て載せないため画像に黒を入れているだけで、ハイライトには関係ありません。)

重要な部分はハイライトを入れておいて、取り合えずそのセンテンスは読み飛ばします。
後でハイライトの所だけピックアップして一気見したり再読すればいいのです。

リアル本だと本が汚れたり却って見づらくなるため、重要と感じたページに付箋をいれて置く程度に留める方がいいかもしれません。
ただ、付箋だと後で一覧表示出来ないため、付箋を付けて後で重要な部分だけ一気見、ということは難しいため、やはり読書はKindle本の方が効率がいいです。

ハイライト出来ないKindle本もあるので注意

便利なハイライト機能ですが、全てのKindle本で使えるわけではないです。
例えばこれは今年1月に実際に買った本ですが、「固定レイアウト型に関する注意事項」という但し書きがあります。

固定レイアウト型に関する注意事項(必ずお読みください)
この電子書籍は、全ページ画像の「固定レイアウト型」で配信されております。以下の点にご注意し、購入前にプレビュー表示をご確認の上、ご購入ください。

■使用できない機能
・文字拡大(ピンチイン・ピンチアウトは可能ですが、画面におさまらない場合は画面をスワイプ)/文字のコピー/マーク/ハイライト/文字列検索/辞書の参照/Web検索/引用

ここに書かれているようにハイライト他の機能が使えません。
ハイライトが使えない本はこのような大判の書籍や雑誌、漫画等です。
これらの本は中身が文字ではなく画像データなのでハイライトが使えません。
ハイライトが使いたい場合は、買う前に一度確認しておくべきでしょう。

詳細な読書メモを付ける必要はない

人間の脳は重要な事以外は記憶しないので、「忘れる」という事は「重要ではなかった」という事になります。
そのため、詳細な読書メモを付けないと記憶できない本であれば、その本は自分の脳にとって重要ではなかったという事です。
その本を重要に感じているなら、何度も読んで記憶出来るくらいには読み込むはずです。

なので、詳細な読書メモは基本的には付けなくていいと思っています。
結局付けた所でその時の雑感を記すくらいで、重要でないなら本の内容と共に読書メモの内容も脳から忘れられてしまいます。

自分が付けているのは購入日と読了日、感想を書く場合も一言くらいです。
沢山感想を書く事もありますが、大体本の内容や作者への不満点をぶち撒けてスッキリしたい時だけです。

読む価値がこれ以上なくなったらクローズ扱いにして心を軽くする

上記に書いてきたように本に書かれている事全てに読む価値がある本というのはまずありません。
特に新書で買える市販の本ではほぼゼロに近いと思います。

そこで、買った本を最初から最後まで読むのは本の読む価値がないパートも読んでしまっているという事になります。
自分がやっているのは本を途中まで読んで、まだ未読ページが残っていたとしても、これ以上読む価値無しと思った本は「読了扱い」にする事です。

具体的には買った本のタイトル・購入日・読了日・リアル本かKindleかといった本の属性をOneNoteに記録で付けているのですが、途中までしか読んでいなくてもこれ以上読まなくていいと思ったら、本の名前の頭に【読了】と記し、一言メモとしてこれ以上読む必要なし、等と書いてその本は自分の中でクローズ扱いにします。

例)OneNoteに読書クローズの記録をする
【読了】本の名前(Kindle版)
2024/2/1購入済み
2024/2/10読了済み(これ以上読む必要なし)

クローズ扱いにしないと、これ以上読む気がない本でも、いつまでも読むべき本として残ってしまうため、上記のように読了とする事で、読むべき本が一つ減って心の負担が軽くなります。

※本当はこの辺りの「本の読了状態管理」は、Amazonのウィッシュリストでやりたい所ですが、何度か試したものの、上手く運用が出来なかったため、OneNoteでやっています。

※OneNoteは自分が使っているデジタルノート(Microsoft OneNote)ですが、記録に適しているものであれば、紙のノートや手帳、PCのデスクトップに作ったエクセルのファイルでも何でもいいです。

本を読み飛ばしする省略思考は将棋棋士の思考に似ている

一時期将棋の本を結構読んでいたのですが、本の意味のない部分を読み飛ばすのは、将棋の対局時の思考に似ている気がします。

将棋は近年AIソフトが台頭してきて、2017年には当時名人の佐藤天彦を破り、それ以降人間棋士とAIとのガチ対局は行われていないのですが、AIと人間の大きな違いに、可能性のある指し手を全て読むか、省略するかがあると言われています。

AIは機械的に全ての手を思考して点数を付けていき、点数の低い手を切り捨てて最終的な指し手を決めるプロセスを行っています。
人間はそのような思考はせず、無意識に無駄な意味のない手を全て省略して局面を読んでいるとされています。

例えば以下の将棋の序盤の局面で、先手・後手が互いに3手ずつ指した局面ですが、次の先手番の手で、何が有効でしょうか。
AIであれば9八香、6八銀、6九玉と順番に総当りで読んでいく所ですが・・・。

正解から言うと、「2五歩」「7七角」「6六歩」「4八銀」「5八金」は全て意味があるため、先手番の次の手で指される可能性がある手です。

  • 「2五歩」飛車先の歩交換と飛車の稼動域の拡大

  • 「7七角」後手の8六歩を未然に防ぐ 角の配置転換も可能

  • 「6六歩」角道を閉じて角交換を防ぎ持久戦に持ち込む

  • 「4八銀」銀を上げて歩を守ると同時に前線に出す

  • 「5八金」金を上げて歩を守ると同時に玉の囲いを目指す

一方で、「1八香」「1八飛」「2七飛」「8六歩」等を指す棋士はまずいないでしょう。
駒がその場所に移動しても何の意味もなく一手パスになるか、敵に利する悪手になる可能性があり、序盤早々で不利になる可能性が極めて高い手です。
そして、それらの無駄な手を、棋士は無意識に切り捨てて(考えから排除して)います。

何故、思考から無意識に切り捨てられるかというと、それまでの膨大な思考や実戦データからどこが局面の焦点でどこを中心に考えれば良いかに無意識にフォーカスしているのだと思います。
データの蓄積がないと、価値が判断出来ないため、そのような排除する思考が出来ません。

将棋の対局における思考のように、本の無意味な文章や章部分を無意識の内に切り捨てて、省略思考が出来るようになりたいものです。
そのためには、将棋におけるデータの蓄積のように、本をある程度読んで省略が可能かどうか判断出来るようにデータを蓄積するしかないのかもしれません。

本当に面白いと思ったものは何度も繰り返し読む

ここまで、如何に読書で読み飛ばしや端折り、省力化を行うかを書いてきましたが、本当に好きな本や漫画は何度も読み込んで理解します。

例えば漫画ですが、『ザ・ファブル』が自分は大好きで、これまで何周も読んで、読むたびに新たな発見をしています。

周回が浅い時は、表面的に描かれている事しか理解出来ませんが、ファブルという世界の構造や、主人公の佐藤明とバディの佐藤洋子、彼らが世話になる太平市の真黒組、ヒロインの清水岬と明達の職場のオクトパスといった関係者の配置を理解し、登場人物たちの行動や台詞の奥にある、「コマの間の行間」を読み取れるようになると、面白さがグンと増して来ます。

特に一つの漫画を10周くらいすると、そこからかなり違った視点や発見が出てくるようになりました。
ここまで来ると周回する事の面白さがようやく分かってきます。
周回前の表面的な面白さ+コマの間や奥にある行間を想像し読み取る面白さで、二重に作品が楽しめます。

そういう事から、『ザ・ファブル』は自分の中では、「行間を読む事で真に面白くなる漫画」だと思っています。

『HUNTER×HUNTER』や『喧嘩商売/喧嘩稼業』といった漫画も周回に耐える内容があり、行間の読み解きや考察が面白い漫画です。

漫画は周回がし易いので、繰り返し読み易いというのはあると思います。
文字がメインの本だと中々周回が大変な部分はあります。

以上が自分が現在している・思っている本や漫画の読み方という事になります。
また、何か思い付いたら随時追記したいと思います。

小説は文体が合うかどうかで判断する

(2024/4/20追記)
小説、特に中編・長編小説は大抵ページ数が多い(1つのメインストーリーに対して。短編やアンソロジーを除く)ため、最初の一章、または5-10ページを読んで、文体で判断する方が無駄なページを読まなくて済むのではと思っています。

例えば電子書籍のKindleでは最初の1章等がサンプルとして無料で読めますが、大体全体ページの5%から10%程度を読む事が出来るようです。
そのサンプル部分を読んで、購入して全部読むかどうかを判断する材料にします。

(小説の場合の)具体的な判断基準については、

  • 文体が自分に合うかどうか

  • 最後まで面白いと感じて読めそうか

  • ページを流れるように読み進められるか

  • イメージが鮮明に頭に浮かびながら本を読めるか

等を重視します。

例えば、やや古い本ですが『ブラックロッド』(古橋秀之著 第2回電撃ゲーム小説大賞受賞)というSF小説があり、最初の1章を読んだだけで、文体から迸るイメージの奔流に圧倒され即買いをしました。

サンプルが読めるので、是非読んで見てください。

逆に、(作者や小説の名前は伏せますが)小説家が著した著名な文学賞を受賞した小説を、受賞した位だからさすがに外れではないだろう、と購入したものの、最初の1章を読んで文体がどうにも合わず、即読むのを辞めた経験もあります。
何でこの本が受賞して話題になっているんだろう、と全く面白いとは思いませんでした。

そのような事もあるため、小説では最初に文体が合うかどうかを判断するためサンプル部分を読むか、または無料・サンプルで1章を公開されているなら、最低でも1章読んで判断した方がいいと考えています。

何らかの受賞作や話題作とは、「技術的・内容的に素晴らしいから選ばれる」のではなく(勿論一定の技術的・内容的な面もある程度考慮はされるでしょうが)、出版社や編集者が話題作りのため「本年度の○○賞受賞作」という冠を被せて帯に付ければ大きく売り上げを伸ばせるであろう事を目論んでやっている面が大きく、内容の喧伝、つまりマーケティングの要素や、ある種作られた偶像的な部分があるため、自分と合わないという事も、何冊も見ていれば往々にして出てきます。

また、小説を読むという事はつまり、書かれている文章を脳の中で一度再構築してイメージを浮かべる事になり、それを行うのは自分の頭なので、そもそも文体が合わない・イメージが浮かびづらいと思ったら、如何に傑作といわれている本でも脳が「つまらない」と感じてしまうのです。
それなら、(必要がない限り)最初から別の本を探したり、読む時間に充てた方がいいでしょう。

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