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note17 謎の用語「ゲーム性」を説明してみた(3)~高けりゃいいってもんじゃない編

※この記事は2013年公開のブログ記事を一部加筆訂正したものです。

ごあいさつ

やっほー。かいぽんです。

前回前々回にひきつづきゲーム性のお話しですよー。
今回は、ゲーム性は高ければいいってもんじゃない。というテーマになります。
ではいってみよー!

おさらい「ゲーム性」の3段階

広義のゲーム性 = gameplay(ゲームプレイ体験)
狭義のゲーム性 = core game play mechanics(ゲームルール)
ゲーム度 =  fun factor(おたのしみ度/ユーザーが感じる面白要素の多彩さと量の尺度)

ソニックブラストマン

古い作品だが、ソニックブラストマンというパンチングゲームの例をみてみよう。みなさんも、一度は街のゲームセンターでみたことがあるはずだ。

ソニックブラストマン筐体

ソニックブラストマン ©TAITO CORP.


このゲームのストーリーは明快だ。「あなたはソニックブラストマンとなってさまざまな災厄から町の人々を守る。それもパンチ3発で。」

広義のゲーム性(ゲーム体験)はこうだ。「パッドを殴ると、TV画面の中のターゲットが壊れていく」「ターゲット破壊に成功したら嬉しい」「失敗してもおもしろEDが見れる」じつに単純だ。

狭義のゲーム性(ゲームメカニクス、ゲームルール)はさらに単純だ。「パンチ3発の合計値が既定値を超えていればクリア。そうでなければゲームオーバー」「難易度は5種類から選べる」。これだけ。ほかにはなにもない。

ではゲーム性(ゲーム度)の評価はどうだろうか。ゲーム性(ゲーム度)は極めて低い。アホのように低い。3発なぐるだけだからすぐゲーム終わる。そしてせいぜいが「スカッと殴ってストレス解消」ぐらいしか得られるものがない。そのうえたいていは実力以上のターゲットを選んでしまいバッドエンドを迎えることになる。これだけ聞くと酷いゲームだな。しかもゲームかどうかすら微妙なレベルだ。

にもかかわらず、この単純きわまりないゲーム「ソニックブラストマン」は市場で大人気を博した。稀代のバカゲー? として面白さは評判になり、20年以上を経た現在でも多くのプレイヤーの記憶に残っている。(なお現代風にリニューアルされたリメイク最新作もあるよ!)※本記事2013年執筆時点

この「ソニックブラストマン」でいえば、たとえば「タイミングをはかってパンチを出すと高得点」「RPG要素を加えてパンチ力が成長していく」などのゲームルールやメカニクスを追加することも可能だったろう。実際に制作当時にそういうアイデアもあった。だがそれらのアイデアは冗長な蛇足だと判断され、ゆえにそれらの追加ルールは捨て去られた。ゲームっぽくすればするほどかえって面倒くさくてつまんなそー、ってなったからです。

ソニックブラストマンは、狭義のゲーム性(ゲームメカニクス)を極端なまでに単純化し、さらにゲーム度を下げた(つまり成功か失敗かだけの2つの単純分岐の結果しかない)ことによって、逆にヒーロー体験、パンチ体験としての面白さが研ぎ澄まされたゲームとなっていた。(ぼくはこの端的な事実に非常に強い感銘を受けている)

もはやビデオゲームというより、クレーンゲームのそれにちかい。娯楽としての構造もほとんど同じといってよい。いわゆるゲーム的なゲーム局面の振れ幅を狭く、可能なかぎり削ることでむしろ成立させていく、いわゆる「引き算のゲームデザイン」の好例かもしれないな!

ソニックブラストマン
・広義のゲーム性:単純
・狭義のゲーム性(メカニクス):単純
・ゲーム度(面白要素の多彩さ):低い

では狭義のゲーム性は単純なほうがいいのか? さにあらず。こんどは狭義のゲーム性が複雑なゲームの例をみてみよう。

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