note15 謎の用語「ゲーム性」を説明してみた(1)~問題提起編
今回のお話
ヒャッハー!かいぽんです。
今回はゲームデザイナーが避けては通れない謎の用語「ゲーム性」についてのお話しです。ついにキタ! この話題!
本マガジン「ゲームデザイン奥義の書」では、この「ゲーム性」という言葉に、完全かつ最終的な説明をつけよう~! と考えています。おおっ?! が、まずはその前知識として「ゲーム性」ってなんで謎の用語なの? という話からどうぞ。
なおこの話題、全3回に渡ってお送りする予定です。
あやふやな「ゲーム性」という言葉
「ゲーム性」という言葉は、しばしばそのあやふやな定義が問題となり、過去長年ゲーム制作現場を悩ましてきました。
ある著名ゲームデザイナー(ぼくじゃないよ)をして「安易にゲーム性という言葉を使うやつは信用ならん! 使用禁止!!」とまでいわしめた逸話もあるぐらいです。
いろんな場面でいろんな文脈で使われてる「ゲーム性」ですが、代表的な用法を集めてみました。
ゲーム性が、高い←→低い
ゲーム性が、新しい←→古い
ゲーム性が、深い←→浅い
ゲーム性が、豊富←→乏しい
ゲーム性が、複雑←→単純
ゲーム性が、厚い←→薄い
ゲーム性が、優れてる←→劣っている
ゲーム性が、斬新←→平凡
ゲーム性が、熱い!←→クソ!
ゲーム性が、尖ってる←→ありふれてる
「ゲーム性」をあらわす尺度だけでも豊富にあり、なにがなんだかよくわかりません。
誰かが(しばしばディレクターやプロデューサーが)
「ちょっと~、これなんだよ?! ゲーム性最悪だろおい」
と言ったとき、なにをどう修正すればゲーム性が最悪ではなくなるのでしょうか? 操作性? 難易度? ゲームシステム? アイテム配置? それともそれらの複合効果? さっぱり具体性が見えませんよね。
「ゲーム性」という言葉が、あいまいな定義で濫用されることにより、開発現場でのコミュニケーションロスや作業精度の悪化など、悪影響が無視できないレベルで発生しかねないわけです。
さすがに近年では「ゲーム性」という言葉の定義がある程度明確になってはいるものの、その使い分けの難しさゆえ、また個人ごとの解釈のブレなどもあり、依然として現場に混乱を呼ぶことは避けられていません。
このように、「ゲーム性」という単語は、忌み嫌われ、頭の悪いバズワード扱いになっているのが現状です。
「ゲーム性」定義の歴史
「ゲーム性」という言葉を定義するにあたって、過去に様々な議論があったようです。歴史をなぞるととてもとても長くなるので、手短に結論だけまとめれば、現代ではだいたい以下の6グループに分裂して固定化しちゃっている感じだと理解しています。
ちょww俺w複数にあてはまるwwwって猛者の方もおられると思いますが、まあそれはそれとして。
ところで海外ではなんて言ってんの?
海外には、そのまま「ゲーム性」に相当する言葉がありません。なんとびっくり!
海外ゲームローカライズを数多く手がけている英語堪能なプロデューサー・長谷川亮一氏に聞いてみました。
長谷川「日本語の ”ゲーム性” はあまりにも広義で直訳はありません。強いて言えば "gameplay" か "fun factor" あたりが近いかと。純粋にシステムに限定するなら "core game play mechanics" ですかね。」
だそうです。英語はわかりやすくて混乱がなくていいですね~。海外ゲームの出来がいいわけですわ。
なにしろコア・ゲーム・プレイ・メカニクス! ですからね。CGPM!
かっくいいネ。
問題提起編おわり
今回は「問題提起編」ということで、ここまでです。
「ゲーム性」って言葉に潜むさまざまな問題点を認識していただけたでしょうか。
さて次回の「解決編」では、なぜ日本ではこんなに混乱してしまうのか、そして「ゲーム性」の完全かつ最終的な説明とやらは何か。それを華麗に! わかりやすく! 紐解いてみます。乞うご期待!
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