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雨の色が変わるとき

季節ならではの…

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お出掛けできない今こそ
出来る最高の美味を

こんにちは、ひと月ぶりですね。
絵本作家のまつしたゆうりです。

早くも梅雨入り、しとしと雨の季節になりました。

6月4日から旧暦五月。
“五月雨(さみだれ)”の降る季節です。

「お出掛けしにくい季節だなあ」
と思われる方も多いかもですが、そんな時だからこそ
お家で楽しめることを増やしたいところ。

読書、映画、動画を見たり…もいいですが、
この季節ならではの、美味しいものを作るのはどうでしょう。

最高の保存食

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おばあちゃんが教えてくれた、
ひと粒のための手仕事


今しか作れない、美味しく体に良いもの…
といえば、もちろん梅干し!

「え? 梅干しって自宅で作れるの?」
「作るの大変そう…」

の声が聞こえてきそうですが、
材料は、梅、塩、赤紫蘇、ホワイトリカーだけと
いたってシンプル。

赤紫蘇の塩揉みの工程だけ、
ちょっと握力を使うので最初は「おおお!」と驚きますが
慣れてきたら、手の良い運動にも。

《はじめての梅仕事に》

そんな大変な思いをしてまで作らなくても…
と思ったそこのあなた!

このクエストをこなした人だけが食せる、
とっておきの美味があるのです…それは、
「干したての梅干し」。

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まだほのかに残る梅の実のジューシーな食感、
果物の甘酸っぱさとパンチの効いた塩、
お日様に干されたばかりの温かさもあいまって、
ふにふにと柔らかな食感と、香り高い味は
ちょっと他では味わえないものです。

このご褒美のひと粒のために、
漬けているといっても過言ではない!(笑)

幼い頃、おばあちゃんと一緒に縁側で干した梅を
ころころひっくり返すのを手伝ったあとに
「ひとつだけよ」と貰えた特別な味。

私にとって、懐かしい陽だまりの景色と繋がって、
毎年の大切な儀式のひとつになっています。

夏の簡単ドリンク&おやつ

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めんどくさがりさんにこそ
オススメの一品


「良さは伝わったけど…」
と、梅干し作りの時間がとれない忙しい方へ
オススメの簡単楽チン梅仕事もあります!

それは「梅の蜂蜜漬け」

作り方は、蜂蜜と黄色く熟した梅を用意して…
蜂蜜の中に梅をイン!するだけです。

どうですか、これならすぐ出来ますよね?(笑)

冷蔵庫で2、3日で梅からエキスが出てくるのですが、
それを炭酸水で割るもよし、お酒と割るもよし、
ヨーグルトにかけたり、なんてことも…。

私は白湯で割って飲むのが好きで、
夏の暑さでヘバリかけた体をスーッと楽にしてくれます。

そして、蜂蜜に漬かったこの梅の実の
美味しさたるや…!

初めて食べたときの衝撃は、未だに忘れられません。
暑さに負けない体にしてくれる、黄緑色の爽やかなおやつ。
甘酸っぱ好きの方は、きっと気にいるはずです。

ほんとに簡単で激烈に美味しいので、
これだけでも、この夏ぜひぜひ試してみてください。

※余裕のある方は、紫蘇ジュースもオススメです

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《レシピ》

・赤紫蘇 200g
・青紫蘇 100g
・水 2リットル
・甘味 750〜500g(私は蜂蜜で作ってます、お砂糖でも可)
・酸味(私はレモン汁で作ってます(50ml)、クエン酸(25g)でも可)
 
①沸騰した水に洗った紫蘇を加え、沸騰したら弱火で10分
②酸味を加え、溶けたら濾す
③甘みを加え中火、溶けたら完成(アクは取る)

煮沸した密閉容器に入れ冷蔵保存、1〜2月程保ちます。
飲むときは、水や炭酸水で割ります。
牛乳で割るとヨーグルトドリンク風に。

変わらぬ雨、変わる心

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昔々から変わらない雨との
向き合い方、付き合い方


雨が降ったら出掛けたく無くなる…
というのは、1300年前から変わらなかったよう。
万葉集にこんな歌が残っています。

雨障み 常する君は
 ひさかたの 昨夜の夜の雨に 懲りにけむかも

 
(あめさわみ つねするきみは
  ひさかたの きぞのよのあめに こりにけるかも)《訳》雨を嫌がるあなたは、久しぶりの昨夜の雨に嫌気がさしてしまったのかしら

「雨のせいで今夜は来ないのかしら…」と
やんわり心情を探っているところが
「さすがだなあ〜」と思う大人な歌です。

雨の日は気圧も下がって頭が痛くなるし、寒いし、
何より濡れたくない! と、私も大いに敬遠していました。

が。

数年前、初めて屋久島に旅した折の体験は、
そんな生っ白い考えを吹き飛ばしてくれる衝撃でした。

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「一年の半分は雨」
と言うくらい雨の多い島、屋久島。
屋久杉を見に行くトレッキングの日は、
「軽めの台風かな?!」というくらいの土砂降りでした。
(それで普通なよう(笑))

完全防水のアウトドア装備で全身を固めたものの、
「晴れてたらな〜」なんて思っていたのですが…。

歩き始めてみたら、雨でしっとり濡れた森は驚くほど美しく、
苔生した杉肌を潤す雨粒も、頭上の葉末から滴る水滴も、
ひと粒ひと粒が森から溶け出た命に溢れていて
「この景色を見ることが出来て良かったな〜」と
心底感謝したくなるものでした。

何より、人がいなくて森の空気も澄んでいる!(笑)

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そして。
旅から帰ってからも、思わぬ心理的効果が…。

それは「多少の雨ならたいしたことない」
と思えるようになったこと。

普段の散歩で雨に降られても
「あの豪雨の中を、3時間も歩けたんだから大丈夫」
という新しい目線を得られたため、
小雨くらいならへっちゃら、鼻歌まじりで出掛けられます。

降る雨は何ひとつ変わっていないのに
こんなにも景色が変わって見える不思議。

同じ現象でも、受ける側の視点ひとつで
良きものにも悪しきものにも変わっちゃうんですよね。

「禍福は糾える縄の如し」より
「人間万事塞翁が馬」の方が好きなのはこの点で、
何事も、今ここにいる点としての自分には
「広い視野からの幸も不幸も判断しきれないな」という、
そんな当たり前のことを、
ちょっと偏屈なおじいちゃんのエピソードとして
面白おかしく教えてくれているからかもしれません。

あなたにとっての「雨」は何ですか?

それがいつかの旅の果、幸いと恵みになりますよう
この梅雨の終わりの虹を胸に描きながら。

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《名前を知ると、ちょっと雨の日が変わるかも…?!》

《雨の日、生き物たちのことに気持ちを馳せてみるのも》

《私の愛する古典文学の傑作、こんなに美しく鮮烈な景色を描けるかと何度も思います》

【まつしたゆうり・プロフィール】
絵本作家・イラストレーター。
「心をつなぐ、扉を描く」ことを大切に、ここではないどこかへ、心をつなげる絵を描いています。
滋賀出身、大阪在住。大阪芸術大学デザイン学科卒。
植物と日々着物暮らし、鳥は愛でるのも食べるのも好き。
 
2021年【出版予定】
● 絵本『イナバのしろうさぎ』(よはく舎)
 古事記に登場する物語を、新しい視点と解釈で描きます。
● 書籍『大伴家持くんの本』(河出書房新社)
 万葉集の面白さ家持くんの良さを、ゆるっと楽しくお届けします。

典文学を今の感覚で、分かりやすく楽しく伝える活動も。
▶共著『よみたい万葉集』(第5刷)
▶インスタライブ「歌と古典のおはなし」毎週土曜AM11:00〜
(アーカイブはインスタアカウントから無料で観れます)yuuli_illust

■インスタライブ「歌と古典のおはなし」
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