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ガリレオ新訳・英語解説|Winnie-the-Pooh Ch.1 #6

そんなわけで、ウィニー・ザ・プーは、なかよしのクリストファー・ロビンのところへ訪ねていったのでした。森の中の少し離れたところ、緑色のドアの向こう側に住んでいたのです。
So Winnie-the-Pooh went round to his friend Christopher Robin, who lived behind a green door in another part of the Forest.

画像引用元:https://www.gutenberg.org/cache/epub/67098/images/illus8.jpg

round

イギリス英語で aroundと同じように使われる。ただし roundだからこそ生きる表現というものもあり、例えば『チャーリーとチョコレート工場』で “square candies that look round”という double meaningを活かしたお菓子が登場するのだが、これは aroundに変えると台無しになってしまう。

behind a green door

実写版クマのプーさん『Christopher Robin/プーと大人になった僕』の中では、森の中にあるこの緑色のドアが、突然 Londonにつながったり、Sussexの別荘の裏庭につながったりというシーンがある。

このように元々の原作の英語表現を見ると、Christopher Robinは “behind a green door”に住んでいるとしか言われていないので、その先がどこにつながっていようと不思議ではないのかもしれない。想像力をかきたてる描写と言えるだろう。


「おはよう、クリストファー・ロビン。」
「おはよう、プー。」
「あの、もしかして、風船みたいなもの、持ってないかなぁ?」
「風船?」
「うん。来るとき、こんなふうに思ったんだ。『クリストファー・ロビンのとこになら、風船みたいなものがあるんじゃないかなぁ?』って。風船のことを考えながら、こんなことを思って、それで、どうだろうなぁって。」
「風船なんて、どうするの?」
‘Good morning, Christopher Robin,’ he said.
‘Good morning, Winnie-ther-Pooh,’ said you.
‘I wonder if you’ve got such a thing as a balloon about you?’
‘A balloon?’
‘Yes, I just said to myself coming along: “I wonder if Christopher Robin has such a thing as a balloon about him?” I just said it to myself, thinking of balloons, and wondering.’
‘What do you want a balloon for?’ you said.

‘Good morning, Christopher Robin’ / ‘Good morning, Winnie-ther-Pooh’

‘Good morning’の後、お互い名前を呼び合っているのはなぜなのか?

日本語で話す際に「おはよう(ございます)」と言った後に相手の名前を呼ぶことはあまりなく、小さな子どもに「〇〇ちゃん、おはよう」のように呼びかけるくらいではないかと思われる。

対して、英語であいさつを交わす時には、この場面のように ‘Good morning, 〇〇!’と相手の名前を呼ぶことが非常に多いということが、ロンドン留学で実感を伴って気づいた「英会話」の息遣いであった。ともすれば、相手の名前を覚えていなくても ‘you’で済ませることができる英語において、相手の名前を呼ぶということは、クラスメイトやフラットメイトといった仲間意識を生み出すために重要な役割を果たしていると言えるだろう。

そのように意識を向けていてもなお、日本語の「おはよう」の感覚のまま ‘Good morning.’で止まってしまうことが多かった記憶が残っている。日常英会話こそ最も奥が深くて難しい。

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