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【プレビュー】別れを乗り越える 4節 アトレティコvsセビージャ(H)

セビージャ戦。これまでの成績。

vsバレンシア(H) ×1-2
vsアラベス(A) ×3-4
vsジローナ(H) ×1-2

セビージャは開幕3連敗。20チームで唯一勝ち点ゼロで4節を迎える。




●先季の対戦

7節 ○2-0

24節 ○6-1

そういえば6点取った試合はセビージャでしたね。


●開幕3試合振り返り

基本スタメン

3試合で8失点はいただけないが、先季終盤にメンディリバルが就任してからハッキリと狙いが見えるサッカーをしている。実際に27節から34節までの間を6勝1分1敗と勝てていたわけで。今季も基本的には継続路線ではある。
Transfermarktの情報だとアクーニャとフェルナンドは怪我。パプ・ゴメスは退団した。

そもそもセビージャの不調のきっかけは先季の開幕前にジエゴ・カルロスとクンデという何もかもやりきれてしまう2CBの移籍から始まっている。余力があればこの記事もご参照ください

そういえばマルコンて何してるんだ
ロペテギ監督はやる気を失ったのか思考停止したのか、辞めさせてほしかったのかわからんが戦術の肝となる2人が抜けても改善も修正もしないまま負け続け、監督交代。サンパオリが何を変えられるでもなく、メンディリバルの到着まで選手を取っ替え引っ替えして負け続けたのであった。

現状のスカッドも抱えている悩みはそこまで変わりはない。CBがPA内に鍵をかけられず、トランジションバトルで後手に周り、試合終盤の過ごし方にも課題がある。という感じ。クロス爆撃を連打する攻撃パターンは普通に効果的なので個人的にはそこに疑問はあまりない。

まず開幕戦では絶賛崩壊中のバレンシア相手にプレスがハマらず、主導権を明け渡して敗戦。
続くアラベス戦では合計7ゴールの撃ち合いで、セットプレーと理不尽なサイド攻撃の可能性は示したもののそれ以上にアラベスが用意した3個くらいしかない得点プランを全部やられて4失点。ハイサイドに蹴り込んでくるアラベスとの体力勝負にも苦戦し、どこの強度が課題かといえば全部ですみたいな負け方をした。さぞ疲れただろう。
3節は今季ラリーガの新たなボール保持集団ジローナ相手に糸口を探っている序盤にCKから失点。運もない。ただ、この試合も得意のセットプレーからグデリが同点ゴールを決めている。後半は保持形を変えたジローナを捕まえきれずに勝ち越しを許すと、カウンター狙いでブロックを低くしたジローナのロングボールにまたしても苦戦。敗戦となった。


●予想スタメン

予想スタメン

カラスコが移籍。不動の左WBが別の選手に変わることとなる。候補はサムエウ・リーノとハビ・ガランの2人。あとはロドリゴ・リケルメ。一応ハビ・ガランと予想。後ほど触れる。

セビージャの話。
最終ラインはロイク・バデがプレシーズンから周囲への声掛け含め中心的役割をやってるのかなという雰囲気を感じる。配球には課題があるがたぶん彼が軸にならないといけない。相棒がグデリなのは怪我人の影響などもあるのかもしれないが、スピードに晒されると2人とも無防備になりがちである。前への対応もあまり良くない。なのに裏を取られる。まずいです。2節スタメンしたキケ・サラスもお話にならなかったので怪我人が帰ってくるまではこのままでしょう。

右はヘスス・ナバス。モンティエルがプレミアに行ったので彼が不動になる。彼のクロスは今もチームのメインウェポン。左はアクーニャが中心だがアトレティコ戦はフィジカル性能でずば抜けているペドロサの方がいいんじゃないか、というところでアクーニャが怪我した。ペドロサは斜め内側方向へドリブルで突き進む謎の推進力に定評があり(おれの中で)、オカンポスの大外待ちと相性が良さそうである。CBのビルドアップ性能に不安がある現状、ドリブルで解決できる選手への要求はあっていい。

中盤にはフランクフルトから移籍してきたジブリル・ソウがおり、"こいつを真ん中に置いとけばネガトラ対策はもう完璧です。簡単これ一本!"みたいな選手を想像していたが別にそうでもなかったのがジローナ戦。「おれのマークはどこですか?これはおれが行く箇所ですか?ちゃんと決めてください。」みたいな感じで相当遠慮しながらプレーしており、丁寧なコンドグビアみたいになっていた。全盛期のフェルナンドみたいなのじゃないんかい。
ちょっともう少しフィットしてこないとアトレティコ戦で使うのは難しいかなという印象。この手の選手は使っとけば勝手に良化しそうではあるが。
ということでCHは35歳と36歳の平均年齢警察に怒られそうないつものコンビがメインとなる。このポジションに20台前半期待の若手がいないスペインのクラブってのも逆に珍しい気もするがいないもんは仕方ない。そしてこの試合はフェルナンドが欠場濃厚なのでまあジョルダンでしょう。


2列目は今季はスソが中心でオカンポス&ラメラか、オリベル・トーレスが入る。

・スソ
スソは個人で問題解決ができる選手であり、メンディリバルはこういう選手好きなんだね。という感想。重宝されている。
スソの良い所はハーフスペースでボールを引き取って前を向けるところと、左足から高精度のアーリークロスを入れられるところ。これは走り込んできて異常ジャンプ力でヘディングを決めるエン=ネシリと相性が良い。開幕戦はこの2人で一点取った。シュートも上手いけど案外点にはならないタイプ。
チームの設計というよりは彼の資質だと思うが、右のハーフスペースに常駐するタイプなので駆け上がってくるヘスス・ナバスと相性がいい。左でも似たようなことができるイスコがいらない子扱いされてしまったのは何だったんでしょう。ということでスソがトップ下の場合の配球にはだいぶ左右差が出る。右ハーフスペースに常駐するスソをどうやって止めるかは相手チームのテーマ。

その他、オカンポスは昔から右にいるんだか左にいるんだかよくわからん選手で、一応これはラメラと補完関係になれるのは良いところ。また、トップ下でも大外でも仕事ができるオリベル・トーレスとの組み合わせも何となく形にはなる。ネガトラを考えるとあまり良いことではない気がするが、これが原因でボールロストからカウンターを喰らっているわけではないと思う。たぶん
3節ジローナ戦では相手の左SB(ミゲル・グティエレス)がIHタスクを担当していたため、その背後を狙う意識でスソを右に置いたが効果は限定的だった。

で、FW。スソを中心としたいのなら相性を考えるとエン=ネシリが選ばれるようで、ここまでは3試合全て彼がスタメン。ただ、プレシーズンからラファ・ミルの状態が良く2節でも意味不明なベイルみたいなの決めてた。そろそろスタメンで使ってもいいんじゃないでしょうか。


●セビージャの攻撃

セビージャといえば2CBと2CHで前を向いて大外へ展開し相手を押し込む。PA内に密集を作ってクロス爆撃。セカンドボールを拾ってずっと敵陣でプレーする。

セビージャのビルドアップ形

という形を目指す。2CBと2CHで中央保持。アトレティコ側は何人でこの相手をするかという話になる。
両SB(ナバス&ペドロサ)をあまりフリーにするとここから前進されることになるので、あまり人数をかけたくないというのが本音。これはアトレティコに限った話ではなく、セビージャのビルドアップはそういうもの、という事。

もう一つ。アトレティコは前節(と開幕戦)のレビューでも書いたが左WBが相手SBまで出ていくのが今季のアトレティコの形。

3節ラージョ戦より

さて、セビージャである。
中央のビルドアップから狙っているのはハイサイドへのロングボール

アトレティコはCBが連れ出されるのを避けたいというのが基本線。ここのせめぎ合いがある。アトレティコは以下の2択から対応を選ぶ必要がある。

①ロングボールで左CB(エルモソ)が釣り出されることを許容して前節上手くいったプレス形を継続するか
②後方5枚残して3CHの機動力で圧力をかけるのか

左WBの対応2種

・カラスコ不在の影響

ちなみに先季の24節ではカラスコが相手右SB(モンティエル)とランデヴーする形を選び、ほぼ最終ラインに戻らず戦った。

先季24節より

今回はアトレティコ側の話をすれば、そのカラスコがアル・シャバブへ移籍するため、配置のキーとなる左WBが変わる。予想はハビ・ガランを入れている。
この箇所の守備対応でカラスコが特別良かったというわけでもないが慣れていたのは間違いなく、ハビ・ガランにしてもリーノにしても、はたまたリケルメにしても不安な箇所になりかねない。本来ならなんとなく今のシメオネは①を選びそう。だが、リスクヘッジする意味でもハビ・ガランのスタメン起用、②を選択、になるのではないかと予想。これはセビージャに押し込まれることを受け入れることになるが、個人的には今のアトレティコのロングカウンターとプレス回避ならラインを下げちゃえばいいんじゃないか感がある。

5枚揃えて構える選択もあり

こうなるとバリオスがスソのマークをそこまで気にしなくても良くなるという利点もある。前節ラージョ戦のレビューで書いた通り、真ん中からいなくなるトップ下のマークはちょっと心配があるので。
ただし、プレス回避局面におけるカラスコの能力の高さは言うまでもなく、ハビ・ガランでどこまで出来るかは検証箇所となる。プレシーズンを見る限りリーノは相手を背中に置いてボールを受けるのがまあまあ上手かった。細かいパス&ムーブはどうでしょう。


続いて押し込んだセビージャのパターン。
右から押し込む場合は右WGもFWとしてPA内へ移動。クロスはナバスとスソの2人から入れる。こうなると近いCB(エルモソ)がPA内から出にくくなり、外側のサポートに行けなくなるので嫌でも2vs2が生まれ、クロスは上がってくる。3枚入ってくる相手を跳ね返しつつセカンドボールの拾い合いになり、ここでの仕事がジョルダンがずっと重宝されている理由になる。アトレティコはバリオスが球際強化月間でもあり、怖いもの知らずな飛び込み方をするのでここはボール奪取のポイントになる。

あとはアトレティコ側がラインを上げようとするタイミングでFWが背後を狙うランニングをして、ここに良いボールが入るとチャンスになる。オリベルやラメラがポケットを取って前を向いてそのままゴールへ、みたいなのも上手いので何度も繰り返されるとどこかで穴が生まれる可能性がある。

ずっとセビージャのターンだなと感じたら危険であり、どこに穴が出来そうかなという目で見守りたいところ。


●セビージャの守備

一方、セビージャは常に課題となるのは守備対応で、上記の押し込みフェーズでもカウンターで抜け出された時にバデ&グデリの対応が心許ない。バデは本当に頑張ってるんだけどね

アトレティコはグリーズマン周辺で局面をひっくり返して高速カウンターを繰り出せばチャンスメイクできる。攻撃の構築上、そしてメンディリバルの非保持設定上、撤退してブロックを置くという考え方は基本的にないので、アトレティコのボールの奪い方は重要な要素となる。

前回対戦ではアンカーポジションのジョルダンが撤退時最終ライン真ん中に入るというどう考えても3日前くらいに思いついてそうな無理やりな配置で乗り切ろうとしたがアトレティコに6点取られている。

その場しのぎ感満載だった前回対戦

今回はシンプルに4-4ブロックになるだろうが、CBコンビはハイボール対応もあまり得意ではなく、アラベス戦でも前からプレッシャーをかけつつロングボールが飛んできて競り負け、一気に後ろ向きの守備をさせられる場面が多かった。

そこからルイス・リオハ、ルベン・ドゥアルテにミドルシュートを決められている。エリア外からのシュートに対しても守護神のボノが移籍した影響は見られている。


●まとめ / セビージャの都合

そんなこんなで、まだ未完成箇所の多いセビージャである。本来なら最適解を探しながらチーム作りをしていきたい時期だが、セビージャはなかなかそうもいかない。無論CLがあるからである。組み合わせも決まったし、もう始まる。そこで勝ち点が取れる形をツギハギでもその場しのぎでもいいから準備しなければならない状況にある。先季のアトレティコも怪我人続出でそんな感じだったから、気持ちはわかるよね。試行錯誤の時間すら与えてもらえない苦しさもなんとなくわかる。CLを突破するためにもどうにかきっかけを掴みたい試合であり、アトレティコに通用したらそれなりに使える戦い方かもという予測も付く。かもしれない。

アトレティコとしては現状完成度に差がある相手で、確実に勝ちたいホームゲームとなる。押し込めば点が取れるし、低く構えてプレス回避、ロングカウンターも上質。非保持のバランスをどうするかだけ間違えなければ特に問題はないでしょう。引き続き早めの先制点が欲しいところ。カラスコの移籍を乗り越えるような勝利を期待したい。


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シビタス・メトロポリターノ
アトレティコvsセビージャ

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