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【商圏】商売の対象エリアは「近く」じゃない場合だってある

商売の業態や業種にもよるが、自社にとっての顧客層は必ずしも近くにいるとはかぎらない。許容範囲内のエリアで顧客がいるエリアが商圏である、という話

仕入先の営業マンと打ち合わせの際、「対象顧客」とは?という話になった。

「対象顧客」とは自社の商品(製品・サービス)を購入してくれるお客様のことを指すが、その顧客層が自社にとって最適な消費活動を起こしているかは検証が必要、という話に展開した。



仕入先にとってA社はふるいつきあいの顧客になるが、年間の売上額としてはほとんど貢献していない。にもかかわらず、呼び出されることも多く、ひとつの少額の取引きに手間がかかるということらしい。



たしかにA社は仕入先にとって購買の可能性がある「対象顧客」かもしれない。だが、理想の顧客か?と問われればそうではないのだ。

A社との取引きが増えれば増えるほど赤字に近づくことになり、ふるいつきあいということ以外、ほかの取引先と比べて特筆すべき点はない。むしろ、その情が足かせとなり、売上げにならないにもかかわらず手間ひまをかけざるを得ないのはマイナスである。



弊社も以前、小さな会社の戦い方として、ランチェスター戦略を取り入れていた時期がある。内容は今でも有効な部分も多いが、その当時のわたしは真面目にすべて学んだとおりに、ということで極端に商圏をせばめて商売をしていた。

正確にいえば商圏のエリアをせばめたのである。小売店などの来店スタイルの商売であれば有効であるが、せばめたエリアに対象顧客が少ない業種などは、単純にお客の数が減り、商売が成立しないのだ。



建前上の表現としては「地域密着」とか「地元に愛される企業」ということになるが、あとでわかったのは真の対象顧客はせばめた商圏内ではなく、車で1時間圏内のエリア全般に存在するということであった。

よって、足もとの地元は距離こそ近いが優先するメリットのないむしろ非対象であることも多く、「地元なんだから早く来い」とか「地元優先にしろ」というのはお門違いということになる。



対象顧客とは自社を価値ある会社として扱ってくれ、購買をし続けてくれるお客様のことを指す。近くにいるにこしたことはないが、距離は最優先する項目ではない。つきあいの長さよりも何を求めるかの方が大事だし、理想の顧客は自社を儲けさせてくれるのだ。

小さな会社のリソース(資源)には限りがある。対象顧客の質にもこだわって、いい循環のみを残していこう。

自前の釣り糸をたらして、引きがある池が商圏である。池の古さや自宅からの距離、大きさは関係ない

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