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専門性を活かした痒い所に手が届くポジション

同じ業態でも市場を絞り、特化した専門性が秀でていれば濃いターゲットにリーチできる、という話

来週に始まる大型案件の工事の準備を進めていたところ、いくつか不備があることに気が付いた。工事用のちょっとした材料なのだが、今では大抵のものがアマゾンやモノタロウなどのネットショップで手に入る。

ところが実際に手に取って現物を確かめたい材料があり、近所のホームセンターに向かったのだが、その道すがら新しい工具専門のショップを発見し入ってみることにした。

弊社の近所には、ホームセンターが大小数件ある。特色は様々で家庭用のDIYに力を入れた店、プロ専門を謳った店、古くからある金物屋にちかい業態の店とバリエーションも豊富なため、用途や購入するものによって使い分けている。

その新しい工具専門を謳ったショップは競合店ひしめくエリアの中心にあり、よほどの差別化がなされていなければ既存店から顧客が流入するのはかなりむずかしい立地である。

マーケティングの観点からも興味をそそり、いざ入店してみたのだが、店舗自体はさほど広くなくコンパクトにまとまった感じであった。

しかし、店内を回ってみてすぐにその強気な出店攻勢の意味を理解したのである。

近所の既存店を数軒回っても見つからなかった工具や材料がかなりの確率で在庫してあるのだ。

一般の家庭では使わないようなものであるが、プロの職人からしたら目が輝くような品物が豊富にある。今まではリアル店舗では入手困難なため、ネットショップで探していたようなものがそこかしこにあり、まさに職人の欲しいものを理解しているのがよくわかるのだ。

そして見やすく区分けしてあり、コンパクトな店内は目当てのものを探すのに広い店内を歩き回ることなく、初めて入った私でもすぐに探していたものをみつけることができた。

DIYに特化した大型店などは一般の顧客が広い店内を楽しみながら探し回るのもひとつの醍醐味ではあるが、プロの職人は忙しい最中、目当ての商品をいち早く手に入れて現場に向かいたいのだ。しかも、珍しい部品などは数軒回って探す必要もあり、正直急いでいるときにはイライラがつのる。

このショップのラインナップならはじめに飛び込むほどの信頼をおける。逆にここになければ諦めようとさえ思えるのだ。

他にもプロ専門を謳うショップはあるが、ここは格が違うと感じた。おそらくかなりプロの職人の仕事に詳しい人間が内容をデザインしているとみえる。

そんなわけで、私も店内を回り終えた頃には、お目当ての材料のほかに、以前から探していたものや初めて見て手に取ったもので予定よりかなり買い込んでしまったが、それ以上にこのショップへの信頼が今回の買い物での一番の収穫と思い、店を後にした。

やはり現場を知り、その対象顧客を徹底的にリサーチしている会社は強い。このショップも現在は出店したばかりのため、そこまで混雑はしていなかったが職人のクチコミによって数ヵ月後には人気店となっているのは想像に難くない。

古い業態でも今のターゲット層の心理を徹底的にリサーチすれば狭い分野で圧倒的に勝つことはできる

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