見出し画像

自身で育てた市場は刈り取ってから次へ進む

新しい市場の成果物は売り上げや利益だけではない。その市場の潜在ニーズや売上げにつながるプロセスのデータの蓄積こそが本当の価値、という話

新しい市場を開拓する際にもっともエネルギーを消費するのが0から1を創出するフェーズ。

何もないところから仮説を立て、それを自身が組み上げたロジックにのっとて確実な利益とするまでが何より大変なのだ。

時間や資金という資源を投入しても芽が出るかわからず、仮に芽が出てもその萌え芽が成長し、事業の軸となるまで枯らすことなく果実を実らせてくれるかどうか、なかなかに忍耐が必要となってくる。

そして、自身がたてた仮説など陳腐で頼りないと理解しておいた方がいい。ひらめいたアイデアが画期的と思っているのは自分だけ、ということが往々にしてあるからだ。

だからこそ、ひとつの仮説に過信するのではなく、枯れる前提で種は多く蒔いた方がいい。ウミガメの産卵ではないが、逆算した生存率からアイデアの卵を無数に産み落としたところで、その中から孵化し、大人になるまで無事に育つ生存確率はビジネスのアイデアと同様。

ここでの成果物はアイデアを捻出する際のプロセスとなる。繰り返しアイデアを練り、そのアイデアが市場で価値を生む可能性を試行錯誤するプロセスが筋トレとなり、その筋肉がその後のプランの確信へとつながる。

その後、無事にアイデアの芽が出始めスクスクと育っていく過程で少しずつ利益をもたらしてくれることになるが、ひとつのビジネスプランにも残念ながら寿命がある。

創出期からはじまり、成長期、成熟期、衰退期というビジネスの成長サイクルが存在し、どんなに画期的なプランであっても一発当てた程度で未来永劫会社を儲けさせ続けてくれるようなことはないだろう。

しかしながら、ここでも真の成果物は利益ではない。その成長サイクルを全うする経験値であり、プロセスになるのだ。

よくこの成長サイクルの成長期から成熟期に慢心している会社を見ることがあるが、この先の下降カーブに差し掛かるという前提で好調なときほど危機感を持った方がいい。

そして一連の流れを把握した前提で今の市場を俯瞰して刈り取れるものは刈り取りつくすことでひとつのフォーマットをインストールしたことになる。そのフォーマットが今後の経験として生かされ、応用するにしても役に立つことになるのだ。

好調期に潤沢な利益を元手に新規事業を次々と繰り出しては収拾がつかなくなり、全体的な価値が薄まった挙句沈んでしまう会社があるが、成長サイクルを冷静に捉えていれば次の手を出すタイミングももう少し慎重になるのではないだろうか。

現在地が好調であればその先には衰退期の入り口が待っている。危機感と冷静な視点をもって、市場を刈り取りきるところまで丁寧な仕事をしよう。丹精込めて育てた芽を、果実が実ったら手を抜くということでは次の農作物は育たない。

果実は刈り取る作業まで完工し、そのプロセスという腐葉土がまた次のプランの栄養になる。

地道で忍耐力を要するプロセスになるがそうした長いサイクルが確実な力をつけてくれるのだと思う。であるからして、一発逆転や大当たりは会社にとっては毒になるのだ。

事業の寿命を俯瞰して見届けてやる。その間に得た経験値こそ本質的な成果物となる

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?