どれだけ相手方の気持ちに寄り添えたかで、仕事の成果は変わる
昨日どうしても処理できなかった業務があった為、休日出勤である。出社後のルーティンではじめに行うのはメールチェックであるが、今朝届いていたのはどれも直近で見積りの依頼を申し込んだ案件による外注先からのものだった。
ひとえに見積りといえど、メールの主によって内容は様々。関心事の一つは金額や扱う商材になるのだが、どこを自分のセールスポイントとしているか、という点において、メールの文面や商材の選定、価格の提示などによって大きく違うので興味深い。
価格面のみを考慮して他社とは差別化をはかり、激安の見積りを何の説明もなく送ってくる人もいれば、いただいた情報をもとに自分なりに最善の提案をこしらえてくる人もいる。
ケースバイケースでその案件に最適な提案というものはあると思うのだが、今朝いただいたメールの中でひときわ光る見積りを提案してくださった方がいた。
相場より少し高い金額ではあったが、メールの文面での説明は、経験値から想像できうる懸念事項や、初期費用こそ少々かかるが長く使うことを考慮した商材の選定、そして関わる他業者への配慮からの注意事項など、私が送った見積り依頼のメールを、私のみならず、提供する予定の相手方、そしてそこに関わる可能性がある他業者のことまで考えて寄り添う、という姿勢が表現されていた。
ここまでくると、この方の姿勢は人間性の部分もあるだろうが、考えるクセが身についているというほかない。当然私の心は鷲掴みにされたし、提供する相手方の感情も動くに違いないのだ。
とはいえ、様々な事情も絡むゆえ、100%決まるともいえないのだが、それでもこの見積りの内容であれば高確率で受注できるだろうなと、この方の仕事に思わず唸ったのだ。
低価格は誰にとってもメリットになるが、その価格に根拠や適正な利益が上乗せされていなければただの飛び道具である。表面上は喜ばれるが、顧客はその先のことも求めてくるのが常なのだ。
低価格で提供したことは一瞬で忘れ去られ、その後続く使用感や快適性などのクオリティーはその価格以上のものを欲する。「安いからしかたないか」とあきらめてくれるのならまだマシだが、安くとも仕事は仕事、と急に厳しい態度を示す顧客も少なくない。
その際、始めから状況に合わせた適正な価格を提示して納得してもらう努力はすべき義務があると思うのだ。今回の業者さんは双方、あるいは関わる人に気持ちを寄り添わせたから誰もが最適な選択、と思える提案ができたのだ。
価格を削り、安く仕上げる方法もないわけではないだろうが、色々な観点から考慮した上でその選択をしなかったということ。表面上の価値を与えるより、本質的な改善を提供することが、長い目で見ても価値があるということを理解している。
誰かが作った無難なマニュアルや、ルールは確かに便利だが、そこに自身の配慮や考慮といった一捻りが加えられないことが難点であるからして、単純な流れ作業や、特に付加価値を盛り込む必要のない業務以外は、そこに過信して寄りかからない方がいい。
一通のメールではあるが、朝から質の高い仕事を見せていただいた。私もこの方に見習い、責任から逃げない良質な提案を心掛けようと思った所存である。
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