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既存取引先からの独立は客先が増えたことになるのか?

できる営業マンの独立話は期待できるものか、それとも単なる過信からくるものか、という話

去年末あたりから業界の新陳代謝へ向けての動きが顕著になりつつある、という洞察は以前の記事にも書いた。

その大きな動きが影響しているかどうかは定かではないが、近辺で退職や転職といった話を立て続けに聞くことになり、なんだか落ち着かない気分である。

会社を離れる人間はいずれもその会社でそれなりの役割りや働きをしていたとされる立場だったゆえ、その会社では大きなダメージになるだろうと想像する。

大企業のビジネスパーソンというわけではない、いずれも従業員20人未満の小企業の話。しかしながら、少数で回しているだけに、できる人間が一人でも欠けると、その会社はその穴埋めにてんやわんやするのだ。

そして縁起でもない話だが、小さな会社が傾きはじめるひとつのきっかけが、できる人材の退職となる。

この先、役員や経理担当者が退職するとなると、いよいよ倒産へのカウントダウンとなるのだが、私の直感からすると、まだそこまで深刻な現状ではないと考えている。

そして、そのうち1社の営業マンが退職前の挨拶として、来社してくれた。取引先としても長く、先代の代からのお付き合いとなるのでざっと20年以上の取り引きとなる。

正直、今年弊社で関係を整理していくうちの名前が上がっている会社で、この営業マンの仕事ぶりで取引きを継続していたに過ぎず、その他の条件としてはマイナス面が多く、しばらくは先代の父の顔を立てて、とも考えていたが、いよいよ許容できない領域にまで影響を及ぼすようになっていたところだったので、いいきっかけかと感じている。

この営業マンの退社をきっかけに以前から関係を清算したかった会社が1社片付くと思ったら悪い話ではない。

その後の動向としては独立して新しく会社を興すのだそうで、是非そちらで取引きを継続したいと申し出てくれた。

だが、その申し出にはさりげなく返答を控え、送り出したのである。

この不況にかぎらず、この手の話は頻繁にあり、その度に取引先が増えてラッキーということではないのだ。

できる営業マンはそれまでの仕事ぶりに過信して会社を興す。そのうち軌道に乗せることができるのは10人いたら1人いるかいないかというレベルだろう。

しかも、個人または知人数名で立ち上げる会社に資金力があるはずもなく、仕事ができようが、信用は完全にゼロにまでリセットされるのだ。

であるからして、独立した途端、まわりが急に手のひらを返す態度を取るのは当たり前のことで、今まで安心して付き合っていたのは前社の看板あっての話、ということに気がついているのはほんのわずかな営業マンのみだ。

今回独立する営業マンがこの先うまくいくかどうかはわからない。しばらくは少額の取り引きのみという条件で様子を伺うのもいいのだが、私の感覚では、独立後、実際に仕事を振ってくる案件は一つか二つ、その後は資金が続かなかったか、転職にシフトしたか、いずれにしても軌道には乗らなかったという流れになるかと思う。

逆境に立たされた時にこそ、その人の真価が問われるが、本気で道を切り開いていく人はそんなには多くないはずだ。よって今回の独立話も期待せず見守ってみようと思っている。

独立する人間は、今の成果は現在の会社あってのものということを自負してから考えるといい


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