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【馴染みの店】愛着かただの面倒か、理髪店にみるスイッチングコスト

自社の商品(製品・サービス)において、他社の同等品に乗り換えられてしまわないか様々なコスト面から考える、という話

散髪したての髪がサラサラと気持ちがいい。

月に一度の頻度で散髪をするのだが、通っている理髪店はここ11年変わっていない。おそらく店主が引退されるということがないかぎり通うことになるだろう。

しかし11年変わらず通っていた状況に小さな変化があった。私が住居を移したため通う道中が変わったのだ。

元々先日まで住んでいた家から歩いて10分弱という距離も常連になる理由のひとつでもあった。

他に通う理由として同じ歳の店主とはウマが合うという点があげられる。そこでしか話せない話題に花を咲かせることも多く、いつしか月に一度の楽しみになっていたのだ。

カットの仕上がりにも満足しており、長年通っていることからも私の髪の癖なども熟知してくれていることも他の店に浮気しない理由になる。

だが、この度の引っ越しでその理髪店からの距離が少し離れてしまった。離れたといっても、徒歩10分弱だった距離が徒歩15分強になった程度。

その距離を歩くのが面倒とか、辛いと感じる人もいるだろうが私にとってはあまり大きな問題ではなかったのだ。

家を出てすぐのところに理髪店を見つけたのだが、そちらの店に足を向けることはないだろう。やはりそれだけ通いなれているということは大きいのだ。

いわゆる「スイッチングコスト」とというやつで、利用している商品(製品・サービス)を他社、他店のものへと切り替える際に発生する時間・費用・心理的な負担のことで、今回のケースでいうと切り替える心理的コストを考えたということだ。

状況や環境が変わるタイミングが様々なコストを見直すきっかけになると思うが、自社の取引きでも受注がパタッと途絶えてしまったなんて経験はないだろうか?

少額や単発の取り引きならまだしも、高額や大口案件などを抱えている太客との関係が途絶えてしまうのは避けたいものだ。

そのためには日頃からこのスイッチングコストを念頭に、切り替えられないような施策を打つことが重要である。

信頼関係を深いものにする、なくてはならないもののポジションを取るなど他社との商品(製品・サービス)が同等のものである際に、変えるのが面倒とか馴染だからというアドバンテージを持っておくと有効である。

昨日の私の場合、通う距離が遠くなったというデメリットがありながら、帰り道散髪した髪が気持ちいいという感覚が上回ったのは、散髪中の会話や長年の付き合いから信頼してカットを任せられるというメリットが大きかったからだ。

店主がそこまで深く考えて商売をしているとは失礼ながら思わないが、無意識な姿勢が結果的に繁盛した商売につながっていると思うのだ。

繁盛の証しとして店主が一人で切り盛りしているとはいえ、当日のカットは望めない。少なくとも平日なら1週間前、週末なら最低でも2週間前から電話を入れなくては予約は取れない。

それもこの店の特徴として今では慣れてしまっているが、人によってはデメリットと捉えるかもしれない。散髪以外に価値を感じている私にとってはなんら問題はないし、なにより日常でなくなると困る存在になっているのだ。

そうした存在を目指すにはどうすればいいか、これから月に一度の道中は「自社の商売を考える散歩」として理髪店に通うメリットのひとつに加わるかもしれない。

どんな要素が選ばれている理由か、そこを磨き上げる必要がある


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