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意図した赤字、損して得取れの精神

仕事を受注する際に信用や実績を獲得するための捨て駒的赤字仕事を利用する、という話

一昨年から粛々と取引先の改定を進めている。

進めていくにつれ、顕著になってくるのが取引先との関係の優先度だ。自社の売上げの何%を占めているかなどを指標に優先度が決まってくるのだが、仮に優先度がもっとも高い取引先の層をA層としよう。

A層への貢献を活動の軸にしていくのだが、このA層からなる売上げのすべてを自社で定めた利益率にのっとっているわけではない。様々案件をこなしていくなかで、どうしても利益の出にくい構造になってしまう案件や、普段ならキッチリお代をいただくような案件も場合によっては日頃の感謝ということでサービスしてしまうケースがある。

わかりやすい「えこひいき」であるが、そうやってA層の方々には関係を継続していただくための小細工をしてでも気持ちよくなってもらう必要があるのだ。

競合他社ひしめく業界内で、相見積もりも取らず、一途に弊社に仕事発注していただけるという恩恵に対して、わずかばかりの感謝の気持ちを赤字覚悟でお返しすることに一切の迷いはない。

先日もとあるA層のお仕事で小さな発注があったのだが、同時進行で大型案件も受注しているということもあり、利益度返しの金額で処理をした。わざわざ「利益はほとんど載せてません」などとはお伝えしなかったが、相手方の利益になることであるなら長い目で見て弊社にとっても利益になるという考え方だ。

時々、真面目過ぎる会社が自社のルールにのっとり、1円たりとも融通を利かせなかったり、他の顧客層と同じ扱いを施し、意図せずA層のお客様を蔑ろにしてしまうような行為に発展してしまうケースがある。仕事で価値提供ができていれば問題はないのだが、関係を築く上では優先度の違いはあってもいいと私は考えている。

A層に媚びへつらってヘコヘコせい、というわけではなく、自社に価値を感じ、より高い利益をもたらす仕事を年間通して提供してくれる顧客層に感謝の意を何らかの形で表することは当たり前だと思うのだ。

お客様は平等ではあるが、自社への貢献度から優先順位は自ずと決まってくるものだ。足しげく通っていただいているお客と、単発の一見さんが同じ扱いのわけがない。平等とは商売上、最低限の振る舞いのことであって、その先誰しも同じレベルの扱いとすれば、A層は離れ、その他の層は変わらず高いクオリティーのサービスを当たり前とし期待するだろう。

お金を落とすお客が去り、たまにきてわずかなお金しか落とさないくせに多くを要求するお客だけが残るというのは、商売として悲惨極まりない状態である。

まあかく言う弊社も以前はお客様は全員同じ、という解釈で商売を進めていたところ、経営自体がボロボロになってしまった経緯がある。

お客様は平等という思想は、誰を幸せにしたいか、誰のお役に立ちたいか、それが明確になっていない証拠であり、来るもの拒まずなのだろうが、儲からない体質に自ら突っ込んでいくスタイルとして「皆平等にそこそこの価値を提供します」と宣言しているようなものだ。

考え方は様々ゆえ、この発想が一番いいとは断言しないが、弊社のようなキャパの小さい会社はできることも限られているので、優先度を定めて集中的に価値提供するほか生き残る方法がないと今のところ確信している。

関係構築のために損して得取れを発動することも有効


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