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取引先の高齢化を考える

零細企業において、会社の寿命に大きく影響する要素として事業継承がなされるか否か、という点がある、という話

昨日の投稿で、前期の売上げが振るわなかった原因に向き合う旨を書いていた。
早速過去3年分の売上げのデータを観察し、あれこれ想像も交えて考え、頭をひねる。

全体の売上げを構成する上位10%とその予備軍を中心に数年前と現状の発注状況や、変化があるのならその変化の原因をある程度究明したかった。

まずピックアップした十数社を会社の規模別にわけると、数社が5名未満の零細企業。会社の規模こそ小粒だが、それでもその数社は前年度も大きな売上げを計上しているのだ。

だが、分析するにつれ、その数社に共通する事実に今後の不安を感じたのだ。それが社長の高齢化。おまけに跡継ぎがいない。

幸い、この数社の社長はいずれも元気である。だが、失礼な見立てであるが商売を継続するにあたり、仕事ができるのもあと5年が関の山だろう。本人がどこまで考えているかはわからないが、正直いつ体の不調を訴えても不思議ではない年齢になるのだ。

跡継ぎの存在や、今後のことを視野にいれたM&Aなどを考えていれば話は別だが、零細企業の世界でそこまで事業継承に強い思いを抱いている例は皆無である。

つまり、現社長の寿命が、そのまま会社の寿命となるケースがほとんどになるのだ。

たとえ直近数年の業績がよかろうが、その業績はその先の数年後も確実に持続するとはかぎらない。この先の予測としてはポジティブな要素として捉えるには無理があるし、少なく見積もってあと3年で消滅すると腹をくくっておいた方が賢明である。

私個人としては当然、長く元気に大好きな仕事に携わっていてほしいが、現実問題として厳しい見方をしなくては自社の今後の業績に多大な影響を及ぼすのは火を見るよりも明らかなのだ。

ここはあくまでもドライな分析として、あえて心情などは省くとするが、この分だとあと3年以内にその数社に変わる取引先を確保し、補充する必要がある。

既存顧客の底上げも頭には入れていたが、それと同時進行で新規顧客の獲得にも力を入れていかなくては間に合わなくなる可能性が高い。その際に、今後はあらためて狙っていく属性として、寿命に限りのある零細企業は省くことで長期的な売上げの安定は確保できるのかもしれない。

建設業の人手不足、高齢化、跡継ぎ問題などは以前から危惧されていたが、この先数年は本格的に問題が顕在化され深刻になってくるだろう。しかし、規模の問題で淘汰されてしまうのであっては世の中から零細企業は姿を消すことになる。

取引先の分析を進めるにあたり、建設業全体の問題に向き合うことになり、自社の今後も真剣に考えなければいけないが、自社だけが生き残ればそれでいいのか、という思いも同時強まるのである。

ひとつだけ確かなのは、このままでは厳しい現実に飲み込まれるだけという揺るぎない未来である。

取引先の寿命も自社の経営の材料に取り入れ、その上で将来の方向性を定める


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