【アドバンテージ】「中卒」が強みになる世界
昨日の現場にて、とある内装業者の方と一緒になった。
あまりの仕事ぶりに目を奪われ、休憩時間に声をかけたところ、その方はまだ30歳だという。
建設業では若くしてスタートを切る人が多いため、30歳という年齢は中堅にあたる。その方は中学を卒業してすぐに内装業に就いたということで、キャリアはすでに15年ということであった。
しかも2年前の28歳で独立し、小さいながらも会社を経営する社長である。20代で社長という話はたまに聞くが、建設業では30代半ばから後半が平均で、2代目ともなると40代から50代に先代の逝去により社長の座に就くというケースも多い。
わたしが社長になったのが37歳だったので、3代目というケースでは早い方であったが、10年近く会社を経営して感じているのは「もっと早く継げばよかった」である。
当然のことながら1年でも若いと体力や気力、行動力にいたるまで余力がある。
年齢という軸から考えても時間という猶予もあるので、例え失敗してもリカバリーが効くのだ。
それが仮に50代で先代から経営権がスライドしたらどうだろうか。業績に問題ない会社ならともかく、零細企業の場合、ほとんどは瀕死の状態で引き継がれることになる。
冒頭の方のように、独立するにしても最初はゼロスタートであり、最初の数年はガムシャラに基盤作りをせねば、軌道には乗らないのが現実だ。
業績に問題ない会社を引き継ぐ以外は、いずれのパターンも安定ラインに到達するまでにかなりのエネルギーが必要になり、そうなると年齢は若い方が有利ということは自明である。
わたしは引き継いだ当初、経営には経験やノウハウなどを蓄えた年齢が最適だと勘違いしていて、若さによるエネルギーが最重要などと考えていなかった。
経験やノウハウなど走りながら積み上げていけばよく、失敗を含め何度転んだかがポイントになるゆえ、50代では一度転んだだけで骨折、または立ち直れないケガにいたることが予想される。
そして余計なプライドが邪魔して、取るべく行動が選択できなかったり、新しい情報に疎くなり、古い体制のまま泥船のように沈んでいくのを傍観して静かに倒産していった会社をいくつも見てきた。
中卒は一般的な社会では不利に働くことも多いが、その方はそのアドバンテージを存分に有利な方へ投下しているように思えた。
まあ、わたしも最終学歴が少年院のような高校をギリギリ卒業したレベルなので学力的にはほぼ中卒だが、それからの寄り道、迷い道が長かったせいで貴重なアドバンテージを棒に振ってしまった感はある。
「たられば」の話になるが、もし、あと数年でも若い時期に会社を引き継いでいたら、もう少しマシな現状があったかもしれないと、若い方を見るとついつい考えてしまうのはわたしの悪い癖かもしれない。
わたしもりっぱな中年だが、「今が一番若い」精神でこの先も邁進していきたいと思う。
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