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【エクストリーム登校】最後のアオハル編③登校前に「セリ」見てきた!

 新感覚・青春アクティビティ、エクストリーム登校。
 クラスでのたわいもない会話から生まれ、2021年度獅子児祭の一コンテンツとして発信されてきたANNEXお馴染み企画だ。
 始動から11ヶ月が経ち、もはや僕らの人生の「青春」と呼べる時間も残り少なくなってきていた。
 こうして、僕らの青春に有終の美を飾るために、「【エクストリーム登校】~最後のアオハル編~」が開催された。
 今回は、その最終回である。

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 今回の旅の友は後輩のふぃくすちゃ君。獅子児祭の活動で知り合い、今はすっかり気が知れた仲だ。僕のペンネーム「へいすてぃ」に寄せてきているのがなんとも言えないが、企画を後輩に引き継いでいく(?)という意味では最後のエクストリーム登校に相応しいパートナーだろう。
 そして今回の訪問先に僕が選んだのは、豊洲市場。
 マグロのセリを見て海鮮丼を食べてから出社するのは、本家「エクストリーム」である「エクストリーム出社」では相当有名なテンプレコース。コロナ禍にあって諦めていたこのコースだが、ついに最後の「エクストリーム登校」にて挑戦を決めた。かねてから行きたかったコースでもあったので、疲れていたはずの僕も前日からワクワクが止まらない。

 4:45 起床。お馴染みの4時台だが晩秋の早朝に似つかわしく、あたりは若干冷え込んでいる。学ランのボタンを止めて1人、静かに暗闇の家を抜け出す。
 ただ信号機と電灯だけが僕を真上から見下ろし照らす様は少し不気味である反面、自分一人しか歩道を歩いていないことにどこか優越感のようなものを覚える。暖色のあかりが煌々と灯るコンビニの前を通り過ぎ、朝5時を回った頃に電車に乗り込むと意外と多くの乗客がいた。この時間の電車はスマホをいじる人よりも寝ている人が多く、いつもと少し違った光景だ。電車からバスに乗り換えてしばらくすると「市場前駅前」に到着。「前」という字が二度登場するこのバス停は青果市場の前にあり、入り口に繋がった幹線道路では大小様々なトラックが忙しなく行き交っていた。

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 現地で相方のふぃくすちゃ君と集合したのだが、エクストリーム登校初体験の彼は深い朝焼けの街を背にテンションが高い模様。バス停で待っていた間に若干冷えていた僕の体も、彼のエネルギーで温ためられたかもしれない。ゆりかもめ市場前駅からの直通路を辿って早速目的地の水産卸売場棟へ向かう。市場関係者と思わしき方々ともすれ違いながらしばらく進み、巨大なマグロのオブジェの前を過ぎるとガラス張りの見学者ルートが現れた。
 ガラスからは床面を見下ろす形で陳列された冷凍マグロを望むことができる。マグロのすぐそばでセリが行われている様子を見ることができ、見学者のゾーンにもその雰囲気が伝わるようセリの声が入るスピーカーが繋がれているようだ。「手やり」をしながらマグロの買い手をつけていくセリは6時過ぎ頃にピークを迎え、場内では複数のセリが同時多発的に行われていた。見学者ルートからは距離の近い範囲しか見えないため奥で行われているセリまではよく観察できないが、おそらく相当広い空間なのだと見てとれる。

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 冷凍マグロの上にのせられているのは一匹一匹の尾びれがカットされたもの。セリの参加者らはこの尾びれを叩いたり引っ張ったり、懐中電灯で照らして覗き込んだりしながら鮮度や品質を見極め、品定めをしていく。床面が緑色なのはマグロの赤色の補色を床面に設定することでこの観察をしやすくするためだという。場内は水が撒かれていて全員が長靴を履いており、主役のマグロたちは首のあたりに「手鉤(てかぎ)」をかけられ、引きずって運ばれる。100キロ近くあるというマグロたちはまた、ターレと呼ばれる市場の運搬車(写真左上)に載せて運ばれもするのだが、このターレが想像以上に速く小回りもきくのでだいぶ便利そうだ。そういえば相方もこのことに注目していたような。市場関連のトリビアは非常に興味深く、「セリの値段はどう決まるのか」、「通常はいくらほどの相場なのか」、なんてことも調べておきたいくらいでキリがなさそうだ。もし見学に訪れたいという方がいれば、是非とも入念な「予習」をオススメする。

 セリを見始めてから20分ほど経過したところで陳列されていたマグロの多くは買い手によって回収され、満足した僕らは続いて隣の建物(こちらも豊洲市場の水産関連の施設の一部)の屋上緑化広場へ。カメラ趣味の僕にとっては(市場には入らず、写真目的で)何度か訪れたことのあるお気に入りの場所だ。

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 朝焼けに染まる東京の街。南方にはレインボーブリッジ越しの富士山、西方には東京タワーや虎ノ門ヒルズなど都心の高層建築物がひしめき合いながら立ち並んでいる。相方もご満悦のようだ。
 東京の街の美しき佇まいを堪能し、気づいた頃には時刻はもう7時ごろ。場内に戻って海鮮丼を頂いた。

 いざ場内を後にしガラガラのゆりかもめに乗って豊洲駅へ。地上からだいぶ高い位置を走るゆりかもめの車窓から東京湾岸部を眺めると、まるで鳥になったような浮遊感。僕にとっては最後のエクストリーム登校なのでだんだんとしみじみとしてきているが、相方はまだまだ楽しそうだ。

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 豊洲駅で有楽町線に乗り換え、永田町駅経由で学校へ向かう。田園都市線に乗り込むあたりから、いつも通り登校する学園生徒たちの渦に、非日常を味わい尽くしてきた僕ら二人が静かに溶け込んでいく。

 まもなくして無事、遅刻せず学校に到着。僕の最後のエクストリーム登校はこれにて幕を閉じた。

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 普段のありふれたような会話をきっかけに2020年12月1日に初挑戦したエクストリーム登校。「神社巡り対決編」から獅子児祭の動画企画とし、周囲の友人を取り込みながらシリーズを重ねてきた。企画を運営していく中で初めは僕だけが書いていた紀行文を他のペアにも書いてもらい始め、ついにはサムネの作成や動画の編集まで参加メンバーに協力してもらったことで、いつのまにかひとつの「エクストリーム登校チーム」が完成した。僕とクラスメイトのW氏だけで始めた企画が、さまざまな人のドラマになり、一つのチームとなったのには発案者としてこれほど幸せなことはない。

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 発案者として主なシリーズを振り返っておくと、「神社巡り対決編」では早朝の神社を巡り「距離×個数」のポイントを算出し対決し、続く「湘南満喫編」では湘南に関わるお題をくじ引きで各ペアに割り振り、湘南の穏やかで美しい朝を満喫してもらった。「湘南満喫編」は、「神社巡り対決編」の雰囲気とは一変して映像自体の美しさを求めての企画だった。第三弾となる「デカイ編」では「各ペアが『デカ@イ』というテーマの中でどんな場所を訪れるのか」に注目。そして迎えたのが今回の「最後のアオハル編」であった。

 「男子校らしいバカバカしさ」。そんな言葉がぴったりのこの「エクストリーム登校」を、誰か引き継いでくれる人はいるだろうか。僕としては、ふぃくすちゃ君をはじめとする後輩たちにはむしろこの企画を進化させ、より興味深いものにしていって欲しいと願っている。

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 エクストリーム登校の参加メンバーのみんなには心から感謝しているし、一緒に朝の非日常を楽しんできた思い出は絶対に忘れられないと思う。そんなみんなへ、そしてこの企画を暖かく見守ってくださった先生方へ、ご視聴いただいたあなたへ、本当にありがとうございました。

※エクストリーム登校のコンテンツは獅子児祭HPで公開中。以下リンクからお楽しみください!

へいすてぃ(高校2年)

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