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ANNEX編集室

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世田谷学園「学友ANNEX」の生徒編集委員による記事を上げていきます。中高生の目に映る様々な世界の姿をお楽しみください。
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#エッセイ

【エクストリーム登校】〜登校前に神社お参りしてきた〜(後編)

前編はこちら↓ (文:M.S・高校1年)  朝、4時30分、家を出た。外は思いのほか寒くはなかった。これからの道中で何が起こるかわかわない好奇心と不安でいっぱいで、寒さなどはこれからしばらく忘れるのであった。ふと見上げると満月に近いおぼろ月が見えていた。  目的地である神社までの道中人3人と猫一匹しかいなかったので、少し寂し気だ。最寄駅近くの踏切を通り過ぎる時に、違和感を抱いた。というのも、まだ始発の電車さえ到着していないのに、なぜか信号が緑色でなく黄色であったのだ。理由も

【エクストリーム登校】〜登校前に神社お参りしてきた〜(前編)

 前回の【エクストリーム登校】「登校前にビーチフラッグスやってみた」は予想以上の反響を頂いた。  登校前に何らかのアクティビティをこなし定刻に登校するこの「エクストリーム登校」。最近流行りの「エクストリーム出社」にあやかって始めたものだった。  前回の挑戦をきっかけにして友人たちも興味をもってくれるようになったので、参加希望者を集め、クリスマス当日に第2弾のエクストリーム登校を企画していた。しかし、コロナ禍で学校が休校となってしまい、その計画は全て先送りに。そして今回、新

地下鉄vs俺たちの足

地下鉄で行くか、自分の足で行くか。 東京の地下鉄に乗っていると、どちらの方が速く目的地へ到着するのか、疑問を抱くことがある。 あなたはどちらが速いと思うだろうか? 場所によっては走った方が速いのか。それとも、やはり途中で地下鉄に追い抜かれてしまうのか。 2020年の終わりを前に、4人の高校生がこの疑問に答えを出そうとしていた。 ーーーーー 【走者】 ○M.S  (高一 水泳部 鉄道好き) ○ワダポッシブル  (高一 マジック同好会 自称「10km40分」男。) ○へい

オンラインライブの可能性

みなさん、オンライン文化祭は楽しめましたか。 楽しいと思えた人もいれば、対面で見たかったと思う人もいるでしょう。 今見始めたばかりだよという人もいるかもしれません。 コメントは送れても相手の状況が分かりにくいのがオンライン開催の特徴です。 どうしても対面の”つながり“には勝てません。 でも僕はこんな“つながり”もアリかなって思えるようになりました。 *  *  * オンラインの良さを身に染みて感じたのは一ヶ月ほど前のことだった。 今年開かれる予定だったライブイベントは

つながりを抱きしめて

If I got locked away, (もし、僕が閉じ込められたら)... R. CityとAdam Levine による楽曲Locked Awayは、この一節から始まる。 MVを見る限りここでの”locked away”は、「ムショにいれられる」を意味するようだが、今回は違う視点から考えていきたい。 なにしろ2020年は、”locked away”の年だった。複数の都市ではその名の通りロックダウン、すなわち”lock down”が実行され、人々の動きは定められた区

家族へのプレゼント

自分に出来る限りのプレゼントを贈りたかった。 家族の誕生日は毎年祝っているけど今年の誕生日会は一味違った。 父と母の誕生日は4月と5月。 外に出掛けることが出来ないから誕生日プレゼントは買えなかった。 Am*zonはバレるから頼めないし。 だから昨年密かに買ったものをプレゼントした。 なんとなく可愛かったから買った誕生日カード。 文字にすると後から読み返されるから怖くて書けなかった。 僕の文章はまだ未熟だから。 けれど今年は違う。 少しでも言葉を出し惜しみしたら相手に

水は、この森からやってくる

 日の出前に都心を飛び出し、辿り着いたのは奥多摩湖。写真に収めた広いこの湖を背にし、奥多摩山内へ足を進める。この一帯は、東京都部への水の供給を支える貴重な森のひとつだ。私たちが何気なくコップに注いで口にする水も、何割かはここからやって来ている。  数時間沢沿いを進むと、森が開けてきた。今日は特別に学校が休みとなる創立記念日だ。おかげで平日の山内には人気がなく、「丹沢の男」と自分しかいない。リュックを下ろし、水面へ身をかがめる。  「うまい。」  透き通る水をすくい、口に含ん

当たり前の危うさ

 新型コロナウイルスに変化を強いられたことによって、さまざまな新しい文化が形成されてきている。ということについて、「創作の源泉」で書いた。  現代文の授業で丸山眞男著「日本の思想」「『である』ことと『する』こと」という文章を扱った。  その中に「不断の民主化によって辛うじて民主主義でありうる」という一文がある。この文は、民主主義を何もせずに享受できるものとして捉えず、行動することによって、その制度を保っていかなければいけないという意味を持っている。    当たり前だと思って

決断への第一歩

高1にもなると、文理選択(文系と理系のどちらを選ぶか)を考えなきゃいけなくなる。 これだけは全国の高1共通の悩みなんじゃないかな。 すぐこの選択の成果が出てくれれば、そこまで悩む必要はない。 「良い大学に受かればいい」 本当にそうだろうか。そもそも「良い」って何を以って「良い」って言えるんだ? 自分の人生だから「悔い」を生みたくない。 だからこそ悩む。 文理選択は人生において一つの通過点に過ぎない。 でもこれから何が起こるかも分からない僕たちには あまりにも大きすぎる決

【エクストリーム登校】登校前にビーチフラッグスやってみた

 日の出90分前。2人の獅子児(世田谷学園の生徒の呼称)が制服で家を出た。  令和2年、冬。本校の毎年の行事である臘八摂心(座禅会)がコロナで中止となり、獅子児たちは無念の涙を飲んだ。  しかし、本来であれば摂心初日の12月1日、例年通り早朝に起きてしまった2人。彼らは始業時刻までの3時間30分を最大限に使って登校することにしたのだった。  ーーーーーーーー  待ち合わせは藤沢駅。登校の友はクラスメートのW氏だ。久々に4時台に起床し、制服に着替える。最寄駅を朝5:00に

主体的創造への一歩〜オンライン文化祭を終えて〜

 オンライン開催となった獅子児祭(世田谷学園の文化祭)は大成功だった。 上記リンク先では、一部の作品をアーカイブとして残しています。動画については、権利者の許諾が得られ次第、公開されます。  各学年および各部活・委員会はホームページ上やYouTube 、クラスターやマターポートを用いて個性的な展示を展開し、さらにはバンドやラジオなどのライブ配信で盛り上げた。  オンライン文化祭としての新たな主軸になった「クラスター」や「マターポート」は今回で初めて体験したという参加者も

ふわっと落ちて

僕のすぐ右横で、同い年くらいの女子高校生が本を読んでいた。 変な音がした。 電車が揺れて、みんなの体が傾いた。 僕の目の前を何かが横切った。 女子高生の方から飛び出したしおり。 落ちていく。 そして、空気抵抗を受けながらゆっくりと着地した。 僕の目の前で。 僕は一瞬戸惑った。 だが、考える前に、体が動いた。 落ちたしおりを手に取り、手渡した。 互いにほんの会釈だけして、それで終わった。 僕はあの一瞬、なにを戸惑ったのだろう。 気づいた時にはもう彼女はその場所を

創作の源泉

「創作」 そこには無限の可能性があるという。 解釈するのは、僕ではない。 あなたによって変幻自在に移りゆく。 伝えることの楽しさに魅入られ、 「かいては」みるのだけれど。 思ったようにかけなくて、それでもやっぱりかきたい。 母国語すら、まともに使えなくても。 心ない言葉を受けても、それでも。 上手だ。面白い。そんな作品には、何かがある。 そんな何かを追い求めて。 でもまだ姿も見えないけれど。 「かくこと」は、「知ってもらう」ことだから。 新たな風が吹き、人びとは変化

九段下〜変わりゆく駅と過去の名残〜

東京千代田区にある九段下駅は、周辺には日本武道館や靖国神社も存在する歴史あるエリアだ。 「九段下」の名前は市ヶ谷方面へ延びる靖国通りの坂「九段坂」に由来する。江戸時代、この坂に沿って築かれた石垣が9段だったことから、「九段坂」と名付けられたという。 九段下駅では、つい先日、改札の撤去工事が終わり、半蔵門線および新宿線から東西線への乗り換えがより早く行えるようになった。 オフィスワーカーのみならず学生などの利用も多い九段下駅だが、乗り換えが便利になったのは今回が初めてではな