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地下鉄vs俺たちの足

地下鉄で行くか、自分の足で行くか。

東京の地下鉄に乗っていると、どちらの方が速く目的地へ到着するのか、疑問を抱くことがある。
あなたはどちらが速いと思うだろうか?
場所によっては走った方が速いのか。それとも、やはり途中で地下鉄に追い抜かれてしまうのか。

2020年の終わりを前に、4人の高校生がこの疑問に答えを出そうとしていた。

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【走者】
○M.S  (高一 水泳部 鉄道好き)
○ワダポッシブル  (高一 マジック同好会 自称「10km40分」男。)
○へいすてぃ  (高一 硬式テニス部 カメラ好き)

【記録・助っ人】
○K.W (高一 軟式テニス部 エクストリーム登校の友)

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(文:へいすてぃ)
 先日のエクストリーム登校の時と同じように日の出前の起床。だが、今回はまた別の企画だ。

それも「地下鉄vs俺たちの足。」

 きっかけはある昼休みの何気ない会話だった。男が電車と競走するという趣旨の動画について話していたところ、実際やってみたらどうなるか、と考えついた。M.S君を中心に企画が進み、ひとけのない日曜7:00の渋谷集合となった。直前に助っ人として呼び出したK.W君も参加。さっそく企画が幕を開けた。

-ルール-

基本的には、改札から改札まででどちらが速く到着できるか勝負する。スタートを電車の出発時刻に合わせることはせず、全体の検証結果が一般性を持てるようにした。(一部の競走は地上出入口から行われたケースもあったが、全体の結果にはさほど差異はないと考えられる。)

第一回対決:新宿→代々木

走者:M.S &へいすてぃ

(走者組:へいすてぃ)
 記念すべき第一回は都営大江戸線との勝負。新宿駅で大江戸線の改札前からスタートだ。
 とりあえず改札前からは飛び出した走者組の我々2人だが、どこの出口から出れば良いかよく分からない。しかし、調べたり表示を見たりしている暇はないので、一目散にエスカレーターをかけ上ると、甲州街道に出た。恐ろしいほど閑散とした朝の新宿を駆け抜けていき、初めから高スピードで代々木を目指す。JR線と並行するように南下し、日中は人であふれているはずの階段を下る。さっそく息が上がってきたが、スピードは保たれている。そのまま出入り口に突入し、しばらく下りて大江戸線改札に着いた。そこに、地下鉄組はいなかった。
 2分ほど待つと地下鉄組が到着した。地下鉄組曰く「新宿駅の改札からホームまでのエスカレーターが長く、そこが敗因だった」そうだ。この調子で対決を続けよう、と脚をそろえて次の対決場所へと向かった。

(地下鉄組:K.W)
 電車なら山手線・中央総武線を利用するのが最速だと分かり切っているこの区間で、わざわざ都営大江戸線を利用するというのも、なんだか新鮮味があった。
 大江戸線改札前で走者組と別れ、ホームへ向かう。しかし、ご存知の方もいるかと思うが、ここはホームまでがとてつもなく遠いのだ。長めのエスカレーターが2ヶ所ある。3分ほどかけてようやくホームに到着。だがこの日、大江戸線は、乗務員の新型コロナウイルス集団感染により、通常の7割程度の本数での運行となっていた。そのためホームでさらに3分ほど足止めを喰らってしまった。やっとの思いで代々木駅に到着したが、既に走者組が改札の前で待ち構えていた。まさかの初戦敗北スタート。大丈夫だろうか?

【結果】走者組勝利
【勝数】走者組:1 地下鉄組:0

第二回対決:北参道→外苑前

走者:ワダポッシブル

(走者組:ワダポッシブル)
 北参道駅改札口から勢いよくスタートし、明治通り沿いの出口から地下鉄との勝負が始まった。
 朝早い時間ということもあり、人通りは少なく走りやすい。天候も相まって良いスピードで走ることができた。明治通りを下り、国立競技場の方へ向かって走っていった。ここまでを約4分ほどで駆け抜けた。ここからが外苑前までは上り坂ということもあり、なかなかスピードを出すことができなかったが、それでも全力で駆け抜けた。
 結果、北参道駅を出発してから12分で外苑前駅にたどり着いた。そして、電車組が到着したのは私が到着してから約7分も後のことだった。

(地下鉄組:M.S)
 我々地下鉄組は北参道駅にて走者ワダポッシブルが階段を駆け上るのを見送る。副都心線はまもなく入線してきた。ところで、今回はZenlyという位置情報アプリを使いながら対決を行った。走者及び地下鉄組の動きが同時に地図上に表示され、互いの位置を一度に確認することができる。そしてこのアプリの面白いポイントは速さの表示。動いている端末が時速何キロで動いているのかが表示される。
地下鉄組の私たちは、このアプリで彼を見守りながら副都心線に乗り込んだ。動き出したアイコンは激しく加速していき、一度は20km/h台が表示された。さすがはワダポッシブル。速すぎる。
 集合以来の本日2度目となる渋谷駅に着き、半蔵門線の入線を待っていたが、その頃にはもう、ワダポッシブルは外苑前駅に着いているようだった。表参道駅で銀座線に乗り換えていったが、改札には余裕そうなワダポッシブルの姿が。地下鉄組の完敗であった。

【結果】走者組勝利
【勝数】走者組:2 地下鉄組:0

第三回対決:外苑前→青山一丁目

走者:M.S &へいすてぃ

(走者組:M.S)
 今回は外苑前駅と青山一丁目駅間で、青山通りのちょうど真下を走る銀座線と勝負する。外苑前駅の改札から走者組の我々は勢いよく出口の階段を駆け上がり、青山通りへと突き進んだ。途中で謎の時計を右手に見ながら走りつづけると、ゴールの青山一丁目駅の出口がみえてきた。しかし、中間点である銀杏並木との交差点で無念の赤信号。信号が変わるないなや、今まで以上のスピードで最後のラストスパート。最後は出口から階段に向かう階段を下る。最後に改札に向かって走るが、果たして地下鉄で来るワダポッシブルとK.Wは既にいるのだろうか⁉︎
 全力で滑り込んだ改札には、こちらを待っている二人の姿が。これで今回の企画で初となる地下鉄側の勝利となった。ダッシュ側の敗因は明らかに銀杏並木との交差点の信号であろう。

【結果】地下鉄組勝利
【勝数】走者組:2 地下鉄組:1

第四回対決:溜池山王→六本木

走者:ワダポッシブル

(走者組:ワダポッシブル)
 溜池山王駅改札口から地下の歩道を通り、12番出口から六本木通りに飛び出した。この区間は比較的信号が少ないもののラストに待ち構えている急坂まで体力を温存しなければいけない。そこで、序盤は比較的自分が体力が落ちない走りかとを意識する。
 そしていよいよラスト200メートルの坂登り。ここで少しタイムが落ちたものの六本木には8分ほどでついた。そしてこの後、電車組が到着するまで約18分ほど待たされた。

(地下鉄組:M.S)
 溜池山王駅で南北線を待っていると、へいすてぃが、「なぜ南北線はホームドアーが高いのか」と投げかけた。答えはわからないが、私としては、二番目に新しい地下鉄であることから未来感を出したかったのではないだろうかと思う。ちなみに、このホームドアには何種類かの色がある。
 そうこうしているうちに入線してきた南北線に乗り込む。そういえばと、ワダポッシブルの位置を確認するためにアプリを見る。既に六本木通りに出ていてもおかしくないのだが、不具合でうまく確認できない。
 永田町駅で長い「動く歩道」を通り、半蔵門線ホームに辿り着いた。へいすてぃが一瞬、間違って逆に乗ろうとしていたが、こんなこともよくある。(現に私も同じことを渋谷駅でやってしまった。)半蔵門線に乗り、青山一丁目駅で都営大江戸線ホームまで降りた。なんと次の電車まで9分らしい。ワダポッシブルはもうとうに六本木駅に着いているだろう。
 六本木駅で大江戸線を降りたが、さすがは、日本一深い駅。改札に出るまで、ものすごく時間がかかった。ワダポッシブルはまたもや余裕の表情で改札で待っていた。

【結果】走者組勝利
【勝数】走者組:3 地下鉄組:1

 六本木を後にした一行は、気分転換の為都内を散歩することに。地下鉄日比谷線で虎ノ門ヒルズへ向かい、官庁街を歩く。警視庁前を通りすぎたところで目の前に地下鉄有楽町線桜田門駅が現れた。皇居の目の前の出入口で、辺りには寒空の下マラソンを楽しむランナーも数多くいる。すると走者担当3人が突如走りたいと言い始めた。そこで急遽、桜田門から対決を始めることとした。

第五回対決:桜田門→大手町

走者:M.S &へいすてぃ&ワダポッシブル

(走者組:M.S)
 K.Wが地下に行くのを見送った走者組3人は桜田門に向かった。ここで、歩いても勝てそうな気がしてきた我々は皇居を写真を撮りながらお散歩気分で歩く。皇居を出てK.Wの居場所を確認しようとアプリを見ると、更新されておらず、位置を確認できなかった。そのため電話をかけてみると、なんとK.Wが乗る電車を間違えたという。これで焦ることがなくなった走者組は、私の希望もあって、予定していた出口からは少し離れた讀賣新聞社前に向かった。ちょうど1週間後に開かれる箱根駅伝のゴール地点で10分弱の時間を潰したところで、やっとK.Wの姿が。一応試合自体は走者組の勝利ということとなった。実はこの後、へいすてぃにより新しいまた別の企画が誕生してしまう。

(地下鉄組:K.W)
 電車のルートとしては、有楽町線の新木場方面に乗車し、有楽町(日比谷)駅で地下鉄千代田線に乗り換えるというシンプルなもの。しかしその有楽町線にまさかの落とし穴があった。
 3人と別れホームに駆け下りるとそこには和光市行の電車が停車しており、焦りながらそれに飛び乗った。しかし前述の通り、ここでは新木場行に乗車しなければならなかった。が、普段あまり有楽町線を利用しない筆者は、ここで逆方面に乗ってしまう失態を犯した。結局有楽町線内でかなりの時間をロスした筆者は、集合場所大手町駅に走者より15分ほど遅れて到着した。
 電車組の失態により、一応走者組の勝利とはなったがなんとも歯切れの悪い格好に。この区間でどちらが速いか知りたい方は、どうぞご自身でお確かめ下さい(笑)。

【結果】走者組勝利
【勝数】走者組:4 地下鉄組:1

第六回対決:飯田橋→九段下

走者:ワダポッシブル

(地下鉄組:へいすてぃ)
 大手町駅から飯田橋駅まで東西線で移動し、飯田橋駅から競争を再開することにした。ホームに入線してきた東西線車両の乗降ドアは異常に広い。特に広い乗降扉の幅は1,800mmもあり、これは一般的な車両は1,300mmに比べると遥かに大きい。この広いドアも都内屈指の通勤路線・東西線の混雑を緩和するために取り入れられたものだ。
 飯田橋駅で一同は集合の出入り口を確認し、走者ワダポッシブルを送り出した。
スマホの画面を見ながら彼の動きを追っているうちに、乗り込んだ電車は九段下駅に到着した。これまでですでに地下鉄組は1勝4敗。もはや結果は分かりかけていたが、小走りで駅構内を進む。
 たどり着いた出入口にはワダポッシブルが待っていた。どうやら走者の圧勝だったようだ。このままでは地下鉄組の大敗となってしまうが、地下鉄組に勝ち目はあるのだろうか?

【結果】走者組勝利
【勝数】走者組:5 地下鉄組:1

第七回対決:九段下→神保町

走者:M.S &へいすてぃ

(走者組:へいすてぃ)
 かねてから計画されていたこのコース。二駅間は半蔵門線及び新宿線の2路線が並行して繋いでいる。
 競走の出発点は九段下駅の改札前。走者組はすぐさま駅を飛び出し高スピードで九段坂を駆け下りた。
 しかし、集合場所についての互いの認識が食い違い、集合が出来ず。しばらくして再会できたものの、電車の遅延もあり競争は不成立となった。

(地下鉄組:K.W)
 この区間は半蔵門線と都営新宿線が並走している。どちらを選ぶかも重要になる。
 九段下駅の改札で走者組と別れホームへ急ぐ。向かった先は都営新宿線の新宿方面ホーム。この区間に同行していたワダポッシブルが、半ば独断で決めてしまった。電車の出発は10:51だったのだが、2分ほど遅れてやってきた。これでは流石に勝ち目はないと思いながらも、神保町駅に到着。すると出口に走者組の姿はなかった。但し、これは私たちが勝ったのではない。集合場所の認識が食い違ってしまっていたのだった。

【結果】不成立
【勝数】走者組:5 地下鉄組:1

第八回対決:神保町→水道橋

走者:ワダポッシブル

(走者組:ワダポッシブル)
 神保町の改札口からA5出口から一定のペースで走ることを意識した。
 この区間は信号は多いもののその間隔が短いものがほとんどであるが、水道橋の最後にある信号が引っ掛かりとても時間ロスになってしまった。ここでのタイムロスで電車組との差が縮まってしまうと考えた私はその信号から猛ダッシュ。その結果、電車とほぼ同着という結果になった。(若干私の方が早かった気もしなくはないが……。)

(地下鉄組:M.S)
 今回は都営三田線と走者の対決となった。先程の対決では神保町駅間での集合場所を互いに正しく認識していなかったことを反省し、しっかり集まる出口を指定して競争に入った。三田線が入線してくるまで少し時間がかかったが、アプリを見ると、ワダポッシブルは順調に走っているようだ。地下鉄組の我々が電車に乗った時はには彼は既に水道橋駅の直前で、交差点を渡るだけということになっていた。  我々は焦ったが、ワダポッシブルが信号で長らく待たされているのを見て、もしかしたら勝てるかもしれなと思い始めた。ワダポッシブルは信号が変わるないなや、一時時速24kmの速さとなるのを見ると、ホームに電車が入線。
 程なくして到着した水道橋駅で我々も電車を降り、急いで改札に向かう。すると改札にちょうど同じ時にワダポッシブルがやってきた。結果は引き分けとなり、我々は、これで初めてワダポッシブルの息が上がっているのを見ることとなった。

【結果】ドロー
【勝数】走者組:5 地下鉄組:1

 さて、こうして終わった神保町~水道橋の都営三田線との対決であったが、地下鉄組は電車が来るまで比較的長く待たされたものの、結果はドロー。そこで、走者を変え、もう一度三田線と勝負することになった。

第九回対決:水道橋→春日

走者:M.S &へいすてぃ

(走者組:へいすてぃ)
 走者の我々2人は初めから全力で走り出し、水道橋の出入り口を飛び出して白山通りを直進していく。人をかき分けながら突き進むと、頭上ではジェットコースターの乗客が悲鳴をあげていた。自転車のおじさんを追い抜かして先へ先へと進み続ける。しばらくすると春日駅の出入口が目に飛び込んできた。そのまま誰もいない階段を下って改札へ。高スピードで春日駅改札へ辿り着いた。
 1分ほど後にやってきた地下鉄組。電車が来るまではそれほど待たされなかったらしい。乗り換え無しの1駅間の競走であり、2駅間は特別距離が近い訳でもないので、今回は単純に走者組の足が速かったということになるだろう。

(地下鉄組:K.W)
 またしても都営三田線での対決となった。直前までワダポッシブルの大荷物を抱えていた筆者は、走ってもいないのにバテバテである。
 水道橋駅のホームへ降りると、1分ほどで西高島平行がやってきた。急いで電車に飛び乗る。乗り換え無しの1駅間の競争だっただけに、地下鉄の勝利を確信していた所もあった。しかし、現実はそう甘くない。先に春日駅に到着したのは、またしても走者組。ここで勝てないとなると、一体どこでなら勝てるというのだろうか。

【結果】走者組勝利
【勝数】走者組:6 地下鉄組:1

第十回対決:日本橋→日比谷

走者:M.S &へいすてぃ&ワダポッシブル

(走者組:M.S)
 日本橋駅から日比谷駅という今回の対決で走る側にとっては最長距離となる2km越えの対決。地下鉄側も銀座線と日比谷線を乗り継ぐ(銀座駅乗り換え)少し遠回りのルートである。(実は同時進行で行っていたある別の企画の移動手段として開催した対決であるのだが、それは置いておこう。)
 今回は日本橋の出口をスタート地点としたのだが、年末の日本橋の中央通りは相変わらず人が多く、飛ばすことができない。ただ、すぐに南方向へ曲がり、別の道に入った。私は、小学生の時に数回通ったことがあり、かつてそこにあったはずの塾を探しつつ走っていた。他の走者の二人はそんな私には気づいていないようだ。
 まあ、そんなことはともかく、東京駅八重洲口に出た。ここで突然、へいすてぃが八重洲の由来は何かというクイズを出題。他の2人はこれに答えられなかったが、へいすてぃが答えを教えてくれた。1600年に日本に漂着したヤン•ヨーステンがその由来だという。ヤン•ヨーステンはその後徳川家康の通訳となり、屋敷を与えられた。 この時に「耶楊子(やようす)」という日本名から、屋敷周辺は「八代洲(やよす)河岸」という地名になり、やがて「八重洲」と呼ばれるようになったらしい。
 そんな会話をしていると信号の色が変わった。再び我々は走り出す。進んでいるのは南北に走る道路で、今はちょうど12月の午後だ。傾き始めた太陽が眩しい。そんなことを感じつつ走っていくと、東京国際フォーラムが見え始め、ゴールの日比谷も近くなってきた。
 最後には人が大勢いたので、ダッシュはできなかったものの、日比谷駅の出口に到着。ホテルの横の出口であるからなのか、出口と改札へつながる階段は雰囲気があった。急いで改札に向かうが、果たして地下鉄で来るK.Wはいるのか。

 またしても、いなかった。これで、地下鉄組は1回の試合不成立と引き分けを挟む5敗を喫してしまった。やはり、地下鉄は勝てないのだろうか……。

(地下鉄組:K.W)
 日本橋近くの大きな交差点前の出入り口からスタート。走者ワダポッシブルが持ってきた大荷物を抱え、地下鉄銀座線渋谷方面ホームへと急ぐ。すると渋谷行の黄色い電車が颯爽と駅を後にして行った。いきなり出鼻をくじかれ、3分の足止めを喰らう。気を取り直して1本後の渋谷行に乗車。2つ先の銀座駅で地下鉄日比谷線に乗り換えだ。多くの人々で賑わう銀座駅。足早にホームへ向かったつもりだった。 しかし、悲劇は繰り返された。自らのツキのなさに呆れながら、5分待ちで中目黒行に乗り込み日比谷駅へ。当然、走者組に間に合う訳もない。改札を出ると、汗だくの走者3人が待ち構えていた。相当なスピードで走ったのだろう。それに比べて地下鉄組は…いや筆者の運のなさは一体どうなっているのか。何とも言えないモヤモヤを抱えながら次の目的地へと出発した。

【結果】走者組勝利
【勝数】走者組:7 地下鉄組:1

第十一回対決:高輪台→五反田

走者:M.S &へいすてぃ&ワダポッシブル

(走者組:M.S)
 今回の最終対決となったこの区間、地下鉄では都営浅草線で一駅1分という非常に短い距離である。もう辺りも暗くなり始めていた。出口を出た走者組の3人は、国道1号を勢いよく走り始めた。すぐに下りに差し掛かり、既に五反田駅に入線してくる山手線の姿を捉えることまででき始めていた。これで11度目の対決、朝7時からもう9時間以上経過していたため、疲れていたが、これが最後だということで我々は全力疾走。ワダポッシブルだけは下りの方が上りよりきついと嘆いていた。一回信号で少し止まったものの、(東大合格者数全国一位の実績?を持つ)予備校の前の出口から五反田駅に入った。果たして、地下鉄で来るK.Wは到着しているのか……⁉︎︎

 そこに彼の姿はなかった。走者組が勝利したのだ。
 これで、走者組は今回の対決で大きく勝ち越し、全体で8勝1敗1引き分け1試合不成立ということとなった。

(地下鉄組:K.W)
 最終対決は、これまで1度も利用していなかった都営浅草線。最後くらいは地下鉄の意地を見せたい所だ。
 そういえば「お前(筆者K.W)は走らんのかい」と思っている方もいるかも知れない。色々あるんです、色々。(へいすてぃ追記:彼は運動部員であるにも関わらず走ることが嫌いなようです。)
 またしてもワダポッシブルの大荷物を抱えて高輪台駅のホームへ急ぐ。するとすぐに西馬込行が入線してきた。「これはイケるかもしれない」。そんな期待を胸に、五反田駅に到着。勢いよく電車を飛び出し、改札口へ。今度こそイケるか……!?

 いた。走者組の3人が余裕の表情で立っていた。

【結果】走者組勝利
【勝数】走者組:8 地下鉄組:1

総括

結果は、
走者組が8勝1敗、地下鉄組が1勝8敗、1引き分け、1不成立となった。

 日曜だったこともあってか、地下鉄組は所々で長く待たされ、走者組に差をつけられてしまったのかもしれない。ただ、今回の結果を踏まえると、やはり「東京では地下鉄に乗るより走ったほうが速い」と言えるだろう。今回対決の舞台は当初「走者でも勝てそう」な場所に設定されていた。しかし、数回目から、「走者だと負けそう」な場所も舞台にし始めた。それが例えば水道橋駅〜春日駅間だったりしたのだが、そこでもやはり走者組が勝ってしまった。

 競争にかかった時間は7時から16時までの9時間。途中、昼食や同時進行で進んだ他の企画に費やす時間もあったとはいえ、1日がかりの企画だった。
 この企画を通して出た結果は「走ったほうが速い」であったが、それが出る過程の競争もそれぞれ十分興味深いものが多かった。地下鉄によってその深さも全く違うし、ちょうど地下鉄の真上を通っていると思うとなんだかワクワクしてきた。

 ふと思いついた企画だったが、ここまで楽しめるとは思わなかった。
 素敵な日曜日をくれた友人たちと、今日も明日も走り続ける地下鉄たちに、心から感謝を告げたい。

対決場所(対決ごとのスタート地点)

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Photo by Robert V. Ruggiero on Unsplash

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