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グロインペインの復帰プログラム!『Holmich Protocol』‼

はじめに

今回はグロインペイン(鼠径部痛)の復帰プログラムを紹介します。

以前のブログでグロインペインと予防についてまとめていますので興味ある方はどうぞ!


グロインペイン予防にはコペンハーゲンexが効果的です。
コペンハーゲンexはぜひトレーニングに取り入れて頂きたいです!

復帰プログラム

予防してもグロインペインに悩まれる方も多いと思います。
以前名称だけ紹介しましたが、
グロインペインの復帰プログラムは、エビデンスが高いのは

『The Holmich Protocol』です。

このプロトコルは1990年に発表されたもので古くから使用されています。

図の説明をすると上の段が2週間のメニュー、下の段が3週目からのメニューです。
1. 仰向けになっているときに足の間に置かれたサッカーボールに対する股関節内転。各30秒、10回の繰り返し

2. 仰臥位で膝の間に置かれたサッカーボールに対する股関節内転。各30秒、10回の繰り返し

3. 腹筋運動。 10回の繰り返しの5セット

4. 仰臥位から始めて、膝の間にサッカーボールを置いた状態での腹筋運動と股関節屈曲の組み合わせ(折り畳みナイフのエクササイズ)。 10回の繰り返しの5セット。

5. 斜め方向の腹筋運動。 10回の繰り返しの5セット

6. バランスボードで5分間のバランストレーニング。


7. スライディングボードでの片足のエクササイズ、足の向きは平行。および足の間の角度が90°。各脚で、両方の位置で1分間の連続作業を5セット行います。

8. スライディングボードでの片足のエクササイズ、足の向きは角度が90°。各脚で、両方の位置で1分間の連続作業を5セット行います。

9. 横になっている脚の内転のエクササイズ。 10回の繰り返しの5セット。

10. 横になっている脚の外転のエクササイズ。 10回の繰り返しの5セット。

11. 腹筋運動。 10回の繰り返しの5セット

12. ベッドの端に腹臥位で股関節の伸展運動。10回の繰り返しの5セット。

13. 片足チューブでの内転運動。10回の繰り返しの5セット。

14. 片足立での運動は、同じリズムで膝と腕を曲げたり伸ばしたりします(片足でクロスカントリースキーをします)。10回の繰り返しの5セット。

15. バランスボードで5分間のバランストレーニング。

16. スライディングボード上で5分間横方向にトレーニングします。

どの運動でも痛みがNRSで2/10以下で実施することを推奨されています。
NRSで1/10なら負荷を上げる、3/10以上なら負荷を下げる必要があります。

週3回、1時間半、8~12週間実施します。
6週~痛みなければランニング開始、4か月で復帰となります。

内転筋に掛かる負荷はどれくらいか?

『The Holmich Protocol』の中でいくつか内転筋の筋電図を取ったデータがあります。
アスリートであれば、筋力低下を防ぐため、1回の運動が最高出力80%以上の筋出力が推奨されます。
どれも股関節内転筋群の中の長内転筋のデータです。
1の運動は87%、2の運動では118%、4の運動では33%、14の運動では13%の筋収縮が示されています。

※4の運動では腹斜筋の、14の運動では中殿筋の筋収縮が高値を示していました。
単純な運動ですが、しっかりやると意外と負荷は掛かっていることが示されています。

ただ、内転筋の遠心性収縮トレーニングが足りないとの指摘もありますので、コペンハーゲンexを追加したほうがいいかもしれませんね。

まとめ

グロインペイン(鼠径部痛)になってしまったら、病院で診察を受けましょう。
その後、理学療法士やトレーナーの指導で回復に努めましょう。
今回のブログが治療計画の一助となれば幸いです。

理学療法士 稲吉直哉

参考文献

Holmich P, Uhrskou P, Ulnits L, et al. Effectiveness of active physical training as treatment for longstanding adductor-related groin pain in athletes:randomised trial. The Lancet. 1999;353:439-443.

Kasper Krommes,et al.: DYNAMIC HIP ADDUCTION, ABDUCTION AND ABDOMINAL EXERCISES FROM THE HOLMICH GROIN-INJURY PREVENTION PROGRAM ARE INTENSE ENOUGH TO BE CONSIDERED STRENGTHENING EXERCISES – A CROSS-SECTIONAL STUDY. International Journal of Sports Physical Therapy · June 2017. https://www.researchgate.net/publication/320891457

Yousefzadeh A, et al. Effect of Holmich protocol exercise therapy on long-standing adductorrelated groin pain in athletes: an objective evaluationBMJ Open Sport Exerc Med 2018;4:e000343. doi:10.1136/bmjsem-2018-000343

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