【対談】学生・地域企業の理想の未来に向けて~金沢大学×金沢の人事部のチャレンジ~
今回は、対談企画の第二弾として
金沢の人事部 後援先である
「金沢大学ENGINEプログラム」にて
”地域に開かれた学びと実践の場”を
つくってきたお二人にお話を伺いました。
この記事を通し、学生が地域で学び働くことの意義や、地域企業と大学それぞれが金沢のまちで果たすべき役割について、金沢の人事部に関心を寄せてくださる皆さまとご共有できれば幸いです。
「ENGINE」プログラムに込めた想い
ーまず、お二人が共に創ってこられた「金沢大学ENGINEプログラム」について教えてください。
広瀬:
全学域・全学年を対象とした
”地域の変革人材を育成するためのプログラム” です。
大きな特徴の1つが、信州大学・富山大学・金沢大学の3大学で連携していること。オンライン・オフラインのハイブリッドで講義を行い、学生同士が刺激し合える学びの場を提供しています。
先日は、信州まで行ってきました!
ゲスト企業6社と24名の学生でいくつかのグループになり、地域企業の課題についてディスカッションを行いました。
もう1つの特徴は、3つのフェーズからなる教育プログラムです。
まずは地域について「知る・考える」機会を提供し、学生のリテラシーを強化する。次に、地域の大人と「交流する」ことで、自分はどう働きたいのか、どう社会と関わりたいのか、自身のキャリアをデザインしていきます。最後に「実践の場」として、課題解決型インターンシップに参加する、といった構成です。
実際に、金沢の協力企業3社と学生7名で産学連携型長期インターンシップも実施しています。
ー大学として、ガクトラボにどのようなことを期待していましたか?
佐川:
僕の信条は、「大学らしくないことを、大学らしくやる」です。時に反発を受けることもありますが、どうすれば面白くなるかなということを常に考えています。
「金沢大学ENGINEプログラム」を面白くするには、外部の専門家の力が必要だと感じました。ガクトラボがコーディネーターとして積み重ねてきた実績・ネットワークをお借りすることで、学内のリソースだけでは得られない学びや出会いに触れてもらうことが学生にとって大事だと。
広瀬:
このプログラムが発足する前から佐川先生と関わらせてもらっていますが、僕たちが学外の人間だからこそ気づく違和感や改善案をお伝えしたときに、いつも否定せず「面白いね」「いいね、やってみよう」と言ってくださるんです。
学生が地域とつながるためのお手伝いができるということで、僕たちにとっても有難いお話だと感じました。
学生の「本気スイッチ」を入れる
ー日々多くの学生と接する中で、感じている課題があれば教えてください。
佐川:
就職面接で「大学4年間でがんばってきたことは何ですか」って聞かれると思うんだけど、この問いが学生や大学の課題に向き合うヒントだと思います。
一生懸命バイトしてました!というのは結果としてそうなっただけで、大学での学びと、地域での学びや実践がつながっていない。僕から見れば、それは つまんない と思ってしまう。
僕が所属する地域創造学類には、公務員志望の学生が多いですが、その人たちって地域をなんとかしたいから大学に来ているわけですよね。単位を取るためだけの勉強、公務員試験に合格するためだけの勉強に大学での4年間を費やすのはもったいないんじゃないかな。だって、そんな人ばかりが公務員になったら、市民としてうれしくはないでしょ?
公務員志望の学生に限らず、社会に出てからは自分で課題を見つけて解決していく力が求められる。勉強したら何かできるようになるのではなく、解決したい問題があるから学ぶのが本来の姿じゃないですか。だけど、現状はあまりそうなっていない。地域に飛び出し、チャレンジする学生をもっと増やしていくことが大学としての課題でもあるかもしれません。
広瀬:
佐川先生、学生に対して「もっと地域に飛び出してください」ということを繰り返し伝えていらっしゃいますよね。僕らも、”学生はチャレンジすることが仕事だ”と考えています。もちろん座学も大事ですが、実践でしか学べないことも多々あると思うので、そこをコーディネートしていくのが僕らの使命ですね。
ー学生が地域でチャレンジしていくために、必要なことは何でしょうか。
佐川:
学ぶことと働くことをバラバラに考えないで、一致させること。
学び終わったら働く、と考えている学生が多いけど、それは違うでしょ?
学生に対してはよく「スイッチを入れてほしい」と言っています。
本気でなにかをしようと思ったら、そこに学びがなければより深みにいけない。
学生だからといって、地域でのチャレンジを”練習問題”だと思う必要はないですから。そんな本気スイッチが入る学生を、1人でも2人でも増やしていかないといけないね。
広瀬:
学生の本気スイッチを入れることは重要ですよね。
「金沢大学ENGINEプログラム」は、そのきっかけとしても作用していると思います。
具体的には、ロールモデルになるようなかっこいい社会人と出会うきっかけになる「しごとーく」。ぼんやりとしていたキャリア観がよりクリアになって、自分の進みたい道が見えてきたり、逆に現実を知って別の選択肢を考え始めたり、といったきっかけになっていると思います。
また、「地域のトップリーダーをつなぐ」は、学生の視座を高めて地域社会を捉え直すきっかけとしても有効です。例えば、【旅行】ひとつとっても、ただ旅に行くというのではなく、その地域には雇用があり食があり、外国人観光客などグローバルな視点も関わっていたり・・。自分たちが暮らしている地域への解像度が上がることで、関心もぐっと高まると感じます。
「学都」金沢の再定義
ー地域と学生をつなげることによって、金沢をどのようなまちにしていきたいでしょうか。
佐川:
やっぱり 学都・金沢 ですかね。
でもそれは、人口10万人当たりの大学数が日本一だという事実だけでは足りない。
そこには学生の学びが溢れているとか、活躍しているとかさ・・!理想を言えば、学生が地域に対して様々な提案をし、それが採用され、そのチャレンジに対して市民が拍手を送るようなまちになってほしい。
もしかすると、学都の定義は”チャレンジ人口の多さ”だと考えてもいいのかもしれない。
広瀬:
とても共感しますし、おもしろい視点ですね!
金沢にいる学生は他の地域と比べても、地域に飛び出してチャレンジしている人の割合が高いと言えるようになりたいです。
佐川:
金沢は 歴史と伝統のまち でもあるよね。
そういうものって、むしろチャレンジとか変化をし続けてきたからこそ、現代まで残ってきているわけで。
チャレンジすることこそが、金沢らしさだと評価してもらえるまちを目指していきたいですね。
メッセージ
ー 最後に、この記事を見てくださっている人事担当者や経営者の皆さんへメッセージをお願いします!
佐川:
大学として、学生たちを囲いの中に置いておくのではなく、どんどん外に出していきたいと考えています。あるいは、塀を高くせずに多くの地域企業が学内にもっと入ってきてくれるように努めていきたい。
人事の方々には、”出来上がった人を採用する”以上の関わりを、期待をしています。地域で活躍できる人材を育成するところから一緒にやりましょう。
僕は大学4年間のうち半分はフィールドワークでいいとも思っているので。大学の先生が「大変なことになってます、学生が教室にいません!」って困るぐらいの事態を、むしろ歓迎していますよ!・・それは僕だけかもしれないけど(笑)
広瀬:
「ENGINE」プログラムでは実践の場としてインターンシップも用意されていて、学生さんが地域でチャレンジする絶好の機会になっています。
地域企業の現場が抱えているリアルな課題を提供いただくことで、アカデミックな場では得られないような学びに繋がっているんです。
これは僕たちの力だけでは実現できないことなので、金沢の人事・経営者の皆さんとは、地域の学生の主体性を育むところから一緒に取り組みたいと願っています。
そうした思いに共感いただける方は、きっと金沢の人事部にもマッチすると思いますので、ぜひご一緒させてください!
▼対談企画 第一弾
▼金沢の人事部公式HP
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?