見出し画像

【夢ゼミ】誰かの何かの話が今後の人生のどこかでパッと思い出されることがあったら素敵だなと思う

隠岐國学習センターでは12月から新しい夢ゼミを開講しています。通塾している2年生を対象としたゼミで、高校コーディネーターや寮ハウスマスターなど魅力化プロジェクトメンバー10名が結集してお届けしています。

この夢ゼミの狙い・願いについては、以下の記事をご覧ください。

この夢ゼミでは、生徒たちが「ホームグループ」と呼ばれる5つのグループに分かれ、2〜3名の「ガイド」とともに定期的に集まります。

今回はガイドを担当するひとり・石田なつ子さん(愛称はなっちゃん。魅力化プロジェクトの総務を担当。魅力化プロジェクトにおけるオカン的存在。)と、夢ゼミの準備をしたひとりであり、ガイドのひとりでもある・澤正輝さんがゼミについて語っています。

私もそこに入りたい

:なっちゃんが夢ゼミに参加してくれたのは本当に大きいと思ってるんだ。

なっちゃん:今回の夢ゼミの内容を聞いて、私もそこに一緒に入りたいなぁーと思って参加させてもらったの。

:もともと入ってもらおうと思ってたから、相思相愛だったんだよ。

なっちゃん:そうなの!?

:いい意味で、普段から学びに向き合ってる人じゃない人が入ってくれたほうが良い夢ゼミになると思ってたんだよ。そういう時になっちゃんがパッと浮かんでた。タイミング的にお互いにちょうどよかった。

なっちゃん:普段、総務の仕事をしているから、生徒との触れ合いはほとんどないんだけど、ああいった少人数の夢ゼミに関わると、関係性がしっかりできて、顔と名前が一致して、人となりがお互いに分かっていいなぁと思う。

夢ゼミアレルギーだと思ってた

:今まで「夢ゼミ」に対してはどういう印象を持ってたの?

なっちゃん:私が感じる「夢ゼミ」はどんどん変化してる。昔はもっとゴリゴリしてた印象。深く掘るみたいな。その後も、分野が広がったり、方法が変わったり、色んな時代があったと思う。

夢ゼミに対して苦手意識を持つ生徒がいるじゃない?

:アレルギー反応みたいなね。

なっちゃん:そうそう。私が高校生だったら、「自分がやるべきこと」を形にしないといけないってことに対して、それこそアレルギー反応を示しちゃう。イメージとしてはずっとそんな感じがあった。だから夢ゼミを良しとしない子がいるのもよく分かる。

でも、実際に自分が新3年夢ゼミに関わってみると、できることならみんなで時間を過ごしたいなぁと思うようになった。新たな夢ゼミの一面を発見したというか。

実際に入ってみたら、「あら、けっこういい時間じゃない」っていうのはある。「こうあるべき」っていう形が意外とないじゃん!って思った。

だから、私はスタッフの中だと夢ゼミアレルギー体質だと思ってたけど、「あら、鼻ムズムズしないわ」って感じ。

:それはよかった(笑)

なっちゃん:でも、自分たちで「どんな場にしたいか」から作るってしんどいね。

:簡単じゃないよね。

なっちゃん:そうそう。大きくテーマはあったじゃない?迷うとこのテーマを見てイメージし直すんだけどね。

今回の夢ゼミのテーマ

作る側のしんどさ、大変さを知らなかったし、見えてなかった。分かってるようでホントは分かってなかった。だから、「生みの苦しみ」を経験できたのは良かったと思う。

あと、自分たちが時間をかけて企画して作り上げたものを生徒に出したときに、その企画通りにいかないこともあって。そんな時に、それを受け入れる度量というか、受け流す術を竹内さん(学習センター)と澤多さん(ハウスマスター)は持っていて、2人に背中を見せてもらった感じがある。自分も頭では分かってるんだけど、「あれだけ企画したのに…」って思っちゃう。

だから、夢ゼミを通して、チームワークとか、一人一人の役割がよく分かった。夢ゼミは学びの宝庫だなぁと思ったよ。単純に楽しいしね。

:今聞いてて、純粋に元気を貰ってる。いいエネルギーを貰ってる。ありがとう。

石田:ハハハ、それはよかった(笑)。夜学習センターに来るのが楽しいのよ。平日の夜、活気がある学習センターにいると、それこそパワーを貰えて。だからけっこう夢ゼミが楽しみだった。

山小屋のひとつみたいなもの

:今回の夢ゼミは方向性とか、立ち帰るポイントについては時間をかけて作ったんだけど、それをどう実現するかはまるっと各チームに任せた。だから、それぞれの色が出て欲しい。ズレが出てきたらミーティングで調整するけど、いい意味で予定していた形から変わっていってほしい。

自分が全部設計しても、全部任せても辛いから、その間をとりたい。そのバランス感が1番みんなが楽しめるのかなぁと思ってた。だから、今回いい感じの混ぜ方だったなと思う。

なっちゃん:絶妙ですよね。チームのカラー、ガイドのカラーが出てるけど、バランスがいい。まぁ、悩みながらだけどね。

あの時間だけは「生徒とスタッフ」じゃない関わり方ができてると思う。一人一人がプレイヤーという感じ。だから、何を出してもいいって感じがある。

:なっちゃんのチームとは違って、僕らのチームは打ち合わせも振り返りもしてない。最初は「2人ずつ喋る」みたいな感じだったけど、途中でそれを辞めて、今は全員で喋ってる。だから、チームごとでやり方がホントにバラバラなんだよね。

石田:不思議ですよね。

:そのバリエーションの多さが楽しいなぁと思ってる。

石田:ホントに一期一会感がある。だからこそいい時間になってると思う。

:今は高校2年生が3年生になるタイミングでゼミをやってるじゃないですか。時期的なところはどういう風に感じる?

石田:「最後の1年間」って、あと1年は心構えの準備ができる期間だと思う。その準備に向けて夢ゼミがいいスイッチになると思った。

同級生や、おじさん、おばさん、お兄さん、お姉さんの今までの人生の話、生き方の話、大切にしたいことの話を聞いて、誰かの何かの話が今後の人生のどこかでパッと思い出されることがあったら素敵だなと思う。だから、そういう話を7回っていう絶妙な回数分聞けるのはすごくいいと思う。

:名残惜しさはけっこう大事だと思う。完成しちゃうよりは、「もうちょっと...」みたいな感覚が残ることを大切にしたい。「やりきらない」ことの大切さは年々感じる。だから、「あともうちょっとやりたかった」みたいな感想を貰うと嬉しい。欲がでて終わってくれてるからね。

なっちゃん:うんうん、ゴールじゃないよね。7回目が終わった時に、どうスタートを切れるかを考えてる。本当のスタートを切るのは1年後だから、準備のスタートっていうイメージかな。人生もそれの積み重ねだと思うし。

:ゴールから逆算して考えるという捉え方じゃなくて、中間地点みたいなイメージだよね。

なっちゃん山小屋の1つみたいなイメージかもね。その後はみんなバラバラにそれぞれの人生を歩んでいくわけだからね。

なっちゃんがガイドを担当するグループ

今のメンバー、今の自分だからできるもの

:ここまで色んなことを聞いてきたけど、逆に僕に聞きたいことはありますか(笑)?

なっちゃん:聞きたいこと(笑)?なんだろうなぁー。「夢ゼミ」のこれまでの変化について、澤さんがどう感じてるのか聞いてみたいかも。私と澤さんでは感じ方が違うと思うし。

:なるほどねぇー。でも、最初に言ってたなっちゃんの夢ゼミ像はなかなか正確だなと思った。それこそ先人から受け継いだものを大事にしつつ、自分の色を出してやってた。

でも途中で1回飽きが来たというか、このやり方のままいくと自分も幸せじゃないし、これ以上いい場ができないなと思ったことがあった。その時に、自分以外の色んな人に夢ゼミの主導権を渡してみたんだよね。自分は渡したくても、なかなか受け取ってくれなかったり、色々葛藤はあったんだけど。

そうやって葛藤しながらも、主導権をたくさん渡していく中で、「これでもいいな」と思う時があった。そこから、基本的に全体の主導権を人に渡していった。でも、渡し方とか、渡すときのコミュニケーションの取り方とか、オーナーシップの割合とかがそれぞれ違うから、その辺を見極めながらやっていった。すると、自分の器では作れない夢ゼミが育ってきて、森みたいになって。

そんな中で、「今ならできる」と思ってやったのがこの「新3年夢ゼミ」。全員にオーナーシップを渡して、僕も1人のプレイヤーになりつつ、同時に全体を見るみたいな。だから、この夢ゼミの形は、葛藤の中から生まれた、今のメンバー、今の自分だからできる夢ゼミの総括みたいな感じ。

だから、夢ゼミをみんなが語ってくれるのがけっこう幸せ。僕が来た時はそんなことなかったから。今、夢ゼミがみんなのものになって、「あぁ、頑張ったなぁ。」っていう感覚。みんなのものにした時に、先人から受け継いだ夢ゼミの原液みたいなものが薄まるんじゃなくて、大きく原液を広げることができた。そのプロセスに時間をかけて取り組んできたから、今の状態を見て「よかったなぁ」と思う。

夢ゼミについて話をするガイドたち

ありのままを受け入れる

:じゃあ最後に、なっちゃんにとって夢ゼミってどんな場ですか?どんな場であってほしいかでもいいです。

石田:えぇー!なんだろう...やっぱり受け入れる場であってほしいし、今はそれが出来てると思ってる。

大前提に、受け入れてくれること。受け入れたうえで、可能性を広げてくれる。寄り添ったうえで、引き出してくれる。それができる時間であってほしい。

あらかじめ用意された答えとかゴールがないし、成績もつけない、ある意味無責任な時間。だからこそ、ありのままの自分を受け入れてもらえて、必要であれば寄り添ってくれる場。そういう場であってほしいなー。

そういう余白がある場って足りてないんじゃないかな。新3年夢ゼミに参加してる生徒以外は味わえてないような気がするけど。

:僕はね、そういう島になってほしいんです。そのための一個の布石だと思ってる。

なっちゃん:へぇー。島全体にそういうふうになってほしいんだ。

:もっと言えば地球。僕の夢は結局そこ。

なっちゃん:澤さんの夢が判明したよ(笑)。へぇー、そんなことを考えてる人がいるとは。

:「自分でいられる」って誰もが求めてるけど難しいことじゃん。

なっちゃん:まぁ、実現はできてないね。でも、私はあの場でそれを実現できてるなって思うよ。

そう感じてる人が増えて、そういう場を作ってくれる人が増えて、そういう関係性が増えて、当たり前になっていく。でもそれって1人じゃできないことだから、ふわぁーって広がっていってくれるといいな。

なっちゃん:そっかー。私も今回の夢ゼミに1人で取り組むのは無理だっただろうなー。チームのメンバーそれぞれの個性がマッチすることで成り立ってるしね。

【筆者あとがき】
お二人それぞれのあり方が素直にカッコよかった。
まずはなっちゃん。相手の話を聞いてから受け入れるのではなくて、まず存在を受け入れたうえで話を聞く。そして、正解は分からないけど、とりあえず相手に「よくなってほしい」とは思うから懸命に考える。そうあることは、なっちゃんにとってごくごく自然なことなのでしょう。本当にありがたい存在です。
そして澤さん。世界を自分が願う形に近づけるために、地道に行いを積上げていく。細かいところまでこだわりを持って組み上げていく。願いを、分かりやすく表出させることで伝えようとするのではなく、内側に凝縮させることで伝えようとしている。そういういぶし銀な感じがなんかよかったです。
(文:伊藤亮太)


この記事が参加している募集

探究学習がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?