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学芸員の必需品 [仕事道具を紹介します]

「仕事道具」て、なんとなく憧れる言葉です。

料理人の包丁。美容師のハサミ。文豪の万年筆。

「これがないと仕事にならない」そんなこだわりのつまった愛用品の話を読んだり、聞いたりするのって楽しいですよね。

私もそんなことを言ってみたい!と思って、学芸員の仕事道具を考えてみました。何かあったかな。思いつくままに挙げてみましょう(写真撮ってくるの忘れたので、Amazonの画像で代用します)。

■メジャー

巻き尺ですね。作品のサイズを測る時に使います。作品にあてるものなので、よく胸囲とかを測る時に使う柔らかい素材のメジャーを使います。こういうやつ↓です。

理想としては、2m以上のもの。150cmのものだと、一息に測れない場合が多く(たとえば日本美術の屏風の通常サイズは、縦が160cmを超えます)継ぎ足して測らないといけなくなります。

あと、目盛りが左右両方についていると、作品の右から当てても、左から当てても測れるのでオススメ。

しょっちゅう使うので、だいたい巻き取るスイッチが作動しなくなってきて、新しいのを買うことになります。

作品に直接当てない場合は、ステンレス製の方が手早く簡単に測れるので、そちらも持っています。こういうやつ↓

■白手袋

作品の素材によっては、素手でさわるのを避けた方がよいものがあります。銀製品は手の脂がつくと、そこから変色(酸化)します。そのため、布製の手袋をはめて扱います。通称「白手(しろて)」です。

よくテレビで貴重なものを触る時に、うやうやしく手袋をはめているのを見かけますよね。あれです。
でも実は現場ではそこまで多用しません。本当に手の成分が化学的変化を引き起こすような場合をのぞけば、きちんと手洗いをして清潔な状態で素手で触ります。
手袋越しで繊細な感覚がつかめない方が、作品を扱う時の障害になりますからね。

■マスク

これは説明不要ですね。作品を扱う時に唾が飛ばないように、マスクをします。
マスクがない場合はハンカチで口を覆って、作品に近づくのが作法です。

■ペンライト

ペンライトという呼び方でいいのかわかりませんが、携帯型の小さいLEDライトです。何かとよく使います。最近はアウトドアブームもあってか、小型でも超強力な光を照射できるミニライトが多いですが、手元を照らすだけなのでそんなに強力なものは必要ありません。安物で大丈夫です。

作品の調査、コンディションチェックをする時に、手元を明るくしてじっくり観察する必要があります。天井の照明ではわからなくても、ライトで様々な角度から光をあてることで、絵の具の亀裂やわずかな浮き上がり(支持体から剥離している状態)が見えてきたり、凹凸やしわが見えてきたりします。

また、美術品の大敵カビの発見にも役立ちます。通常のカビは白カビで、よほどこんもりと育ってこないと肉眼で発見しにくいです。これもライトを横や斜めからあてると、発生しかけたわずかなカビの胞子も発見できます。

■カッター

何かというと、使うのがカッターです。

作品を保護のために梱包する時、ロール状の薄葉紙(「うすようし」と読みます。透き通るくらい薄い中性紙です)やクラフト紙で包むのですが、サイズにあわせてサクッと切ります。

展示用パネルを作るときも、スチレンボード(↓)をせっせと切ります。

最初の頃はかっこつけて、プロ仕様っぽいカッター(こういうやつ↓)を買って悦に入っていました。

でも、惜しまず刃を替えていくのがキレ味を保つ秘訣だと気づいてからは、職場の備品の事務用カッターを使うようになりました。糊付きのパネルボードとか切っていると、すぐ刃がベタベタしてくるんですよ。

てなわけで、こういう(↓)ふつーーーのカッターを使ってます。

■デジタルカメラ

一番、仕事道具っぽいのがカメラですかね。一眼レフではなく、コンパクトデジカメです。私が今使ってるのは、これ↓

タフさが売りです。それ以外は別にです。オススメじゃ無いです。

図録に使うような写真を撮るわけではないので(それは基本的にプロに依頼)、学芸員がカメラを使うのは作品の調査で、記録用に撮影する場合です。ですので、一眼レフではなく扱いやすいコンパクトデジカメで充分だったのですが、いつの間にかiPhoneの方がきれいな写真を撮れるようになってしまいました。

というわけで、最近は普通にiPhoneで撮ってます(シャッター音が問題ない場所であれば)。なんか、こだわりなくてごめんなさい…。

まとめ

とりあえず自分の仕事用ポーチに入っている道具を挙げてみました。職場に置いてある道具を挙げ出すとそれこそきりが無いので(ガンタッカー、水平レーザー、テグス、けさん)。

あまり特別感のあるものがなくて、さびしいな…。


バックナンバーはここで一覧できます(我ながら結構たくさん書いてるなぁ)。


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