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子育て中の親にだって、ゆっくり美術鑑賞してもらいたい

未就学児、小学校低学年、それぐらいのお子さんを連れて、美術館にくるお母さん、お父さんがいます。

本当はゆっくり鑑賞したいですよね。

でも、子供は美術館なんて退屈ですから、「はやくー」「つまんなーい」「もうでるー」と親の手をグイグイひっぱります。
周りにいるお客さんの手前、騒がせておくわけにもいかず、親は一つの作品の前で10秒以上たちどまることもできません

かと言って、展示室で子供から目を離すわけにもいきません。走り回ってしまうし、触っちゃいけないものを触ってしまうかもしれません。作品を壊してしまうかもしれません。
だから親は常に子供に目を配りながら、急かされるように作品を見て、あっという間に退室してしまいます。

せっかく入館料払って入ってくれたのにもったいないなと、思います。

美術館では静かに鑑賞したいんだから、親は子供なんか連れてくるな。非常識だ。子供が小さいうちは美術館に行くのは我慢しろ。

そんなきついコメントをYahoo!知恵袋で見たこともあります。

え、子育て中の親は美術館に行ったらいけない?
まさか、そんなわけないでしょう。

むしろ忙しい育児中に、それでもわざわざ時間をつくって美術館に足を運ぶってすごいことですよ。
子供が騒いでゆっくり見られないかもしれなくても、それでも一目で良いから美術作品を見たいと思って、覚悟を決めて美術館に来てくれるなんて、とてもありがたいなぁと思います。

それだけに、せっかく来たのに足早に展示室を一巡して、残念そうに帰って行く子供連れのお客さんを見かけるたびに、何とも言えない気持ちになります。
一方で、静かな環境で落ち着いて美術鑑賞したい人の気持ちも尊重すべきですから、いくらでもお子さんを騒がせていいですよ、とも言えません。うーむ。

話が突然飛びますが、私が通う歯科医院は、親が治療している間、小さい子供が遊べるスペースがあります。ちゃんと1人見守りスタッフ(保育士さん)が常駐しています。
これいいなぁと思いました。

すべての美術館でできるはずもありませんが、大きめの美術館は親が鑑賞中に子供を預かるサービスを考えたらどうですかね。
まぁ、いざやろうとすると、子供を預かる以上何かあった時の責任問題がありますから、そのあたり慎重にならざるを得ませんし、それなりに子供に慣れているスタッフを雇わなくてはいけません。結構ハードルが高いです(私が勤める美術館も正直難しいです…)。

でも調べてみたら、すでにやってるところがありました!

横須賀美術館です!

なるほど月一ぐらいのペースで、日時指定で託児サービスをするわけですね。
常時やるわけではないなら、人員もなんとか確保できるのか。

場所は会議室を使っているみたいですね。専用スペースを作らなきゃと考えてしまいましたが、頭を柔軟にすればやりようはいくらでもあるわけですね。

それでも、事故があったら、子供同士がけんかしたら、急に体調不良になったら、考え出したらいくらでも心配ごとは出てきます。つまり、やらない理由を探せばきりがありません。
それでもあえて、託児サービスを始めた横須賀美術館は立派だと思います。

あそこ眺めもいいし、展覧会の内容もいいし、良い美術館なんですよねー。
少しずつこんなサービスが広がったら、優しい世界になりそうです。


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