|003|本間智希/駆け出しの建築史家/33歳
中学時代の担任が国語の教師で、自分の人生で数少ない恩師と慕う尊敬する女性だった。建築の道に進まなかったら国語教師になっていたと思う。
人一人の一生よりも長い寿命のものづくりに憧れて建築の道を志したが、理系で工学のはずが、気づけば建築史研究室の門戸を叩き、史料や古文書を読まねばならなくなった。大学院の時は、週に最低1日は開館から閉館まで大学図書館に1日中こもっていた。建築の棚は片っ端から読んだし、文化芸術、デザイン、歴史地理、哲学、小説、随筆、雑誌のバックナンバーなど、自分の