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|005|山下朋文/再生建築研究所/27歳

本を読めば人生が変わるー。というと大げさかもしれないが、私の大切な哲学のいくつかは、友達からではなく、先生からでもなく、本から学んだ。
高校を卒業する頃、父親から建築の道に進むのであればこれは読めと渡された本が『建築に夢をみた(NHKライブラリー)』だった。なんとなしに読み始めたテキストに妙な興奮を感じたのを今でも覚えている。次世代のために良い環境を残していくことが建築家の役割、というメッセージ(と私が解釈したもの)はまさに青天の霹靂だった。私にとっての1冊目の建築本は、今も建築に挑む時の原動力だ。

今となっては読書で文字を追うことで頭が整理されリフレッシュした感覚になれる。最近は隙あらばどこでも本を読めるように電子書籍で読むことが増えた。東京への引っ越しの際、紙の本は兵庫の実家にほとんど置いてきてしまい、現在所持している本は以下の写真1枚に納まる。2枚目の画像は電子書籍のスクリーンショットで、これらも去年から購入した本が多い。今回はこれら手持ちの本の中から、読むと認識が更新されて、世の中がちょっと楽しく見えてくる系の本を3つ紹介する。

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『Yes is More (TASCHEN)』
個人的に気にいってる理由は、絵とテキストを同時に伝える媒体として「漫画」を採用し、ユーザーに対しての新しい建築のコミュニケーション手法を開発した点だ。従来のメディアに縛られない姿勢には共感する。

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『シャノンの情報理論入門(ブルーバックス)』
内容は、「価値ある情報を正確にできるだけ早く送る」ためにシャノンがどのように考えたのかを紹介するもの。建築が情報の複合体であることを考えると、情報伝達の基本的作法として知っておいて損は無いと思う。

『現場から見上げる企業戦略論(角川新書)』
東京大学の藤本隆宏さんの著書。インテグラル型、モジュラー型の設計思想は、建築の話として読むことができる。日本がこれから如何なるポジションで戦うと良いのかという点も明快に示していて勇気が出る一冊。


●棚主プロフィール

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山下朋文/再生建築研究所/27歳
京都工芸繊維大学大学院修了。大学院在学中にデンマークに2年滞在。デンマーク王立芸術アカデミーに1年間交換留学の後、環境建築スタートアップレネアグループ(Lendager Group)で1年間勤務。現在は日本で再生建築コンサルタントをしています。私個人の挑戦テーマは、建築の循環系を追求すること。具体的に建築ストックの改修活用、マテリアルアップサイクリング等の分野を研究しています。


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